エルフの教えとステータス
家族で食卓を囲む
母ちゃんの作る料理はどれを食べても美味しい
何故か今日に限って料理の味がしない?
ポチは美味しそうに食べている
父ちゃんも美味しそうに食べている
俺だけが味を忘れてしまったのだろうか?
母ちゃんに味がしないと訴えても
微笑むだけ、なにしてんだよ母ちゃん!!
涙とともに目が覚める
目を覚ますと小さな部屋の
ベッドに寝かされていた。
何をしていたのか?記憶を辿る
「あれ?ここはどこだ?」
掠れた声で呟く
拉致されて売られた後に絶体絶命の所を助けられたのだと思い出し部屋の中を見渡す
ベットの他は小さなテーブルとソファが有り
そこには、助けてくれたエルフが寝ていた
俺に気付いたエルフは
「やっと起きたかアレックス」
そう呟き身体を起こして頭を掻きながら
近づいてくる
少しビビリながら
「助けてくれて有難うございます」
と言うと
俺の瞳を覗き込むように
「いや、あのまま放置すれば世界の危機が訪れるからな」と笑いながら話す。
「母さんは元気か?」と優しい顔で尋ねてくる
「僕の母ちゃんを知っているんですか?」
俺の名前も知っていたし母ちゃんの知り合いかもしれない
「うん?あっそうか、まだ成人の儀式を終えていないんだな?お前の母ちゃんとは昔同じ村に住んでいたんだ」
成人の儀式?いや、それよりも
「なぜ、僕を助けてくれたんですか?」
「なに?母ちゃんはエルフの教えを伝えていないのか?」
「エルフが困っていたら助けるですか?」
「その通りだ、エルフは他のエルフを見捨てたりしない必ず助けるのだ、それがエルフの精霊との盟約でありエルフの証拠でもある」
精霊?知らない単語が後から後から出てくる
「他の子供達は??」
「冷たいかも知れないがエルフ以外は助ける義理がない、そんな事ばかりしているとあっという間に犯罪者になっちまうからな」
実際犯罪ギリギリだったからなにも言えずに
感謝してはいるが何かモヤモヤしてしまう
「世の中から犯罪をなくそうなんて馬鹿げてる
助けられるなら助けるがお節介は恨みを買う事になるからな」
「いえ、本当に感謝しています」
これは、本当のことだ
「なぜ、あの馬車に僕が乗っているのが分かったんですか??」
「まぁ、そのうち判るとは思うがエルフは成人の
儀式で精霊とある盟約を結び精霊の力を貰うことが出来る。その1つに精霊視があって、これは成人のエルフのみが見る事が出来る情報を看板の様に表示させる事が出来る」
え?看板?
「僕にはどんな情報が表示されているんですか?」何故か猛烈に嫌な気がする
「あ、いや、そのうち判る。そのうちにな
名前とかだ....」目の前のエルフは目を逸らしながらどこか申し訳無さそうに説明する
自分の着ている物が自分の物でない事に気付き
「あ!父ちゃんから貰った荷物全部取られちゃったお金も無いやくっそぉあの猿覚えてろ!」
などと、怒っていると
「今回は運良く助かったが次は無いと思え
荷物は失っても命があったんだ、高い授業料だと思えばいいじゃないか」
「明日からどうしよう、お金も荷物も無いのに冒険者なんて出来ない」絶望して泣きそうになる俺に
「冒険者ギルドに行けば初心者は宿泊させて貰えるし借金も受け付けてくれる、そんなに自棄になるな」と、優しく諭してくれる
「そう言えばここは、どこですか?」
肝心な事を聞くのを忘れていた。龍王国なら
父ちゃんの名前で何とかなるかもと甘い考えで
「ここは、自由連合国の西の都だ、東に行けば
首都がある。昔の王都だな」
やはり、そんなに甘くないかと項垂れる
「助けてもらって厚かましいのですが僕を弟子にしてもらえませんか?」かなりの魔法使いだと思うのでダメ元で尋ねてみる
「弟子にしてやりたいが、お前の母ちゃんに殺されるのはゴメンだ。悪いが無理だな」
...か、母ちゃん、なにをしてきたんだ今まで
「いえ、すいません厚かましくて」と謝り
ギルドの場所を聞いて部屋を出ようとする。
「俺は明日にでもこの街を去る。またどこかで会ったら今日の事が笑い話に出来るように頑張れ」
「はい!ありがとうございました。あ!お名前を聞いてなかったです」
「あ、あぁそうだなエルヴィスだ」
そう言いながら笑うエルフはどこか懐かしく始めてあった気がしない。記憶を辿るが思い出せず
気のせいだと思い部屋を出る。裸足のままで...
エルヴィスに服と靴を貰い冒険者ギルドにやって来た。白い立派な3階建ての建物のドアを開け
受付に立つ綺麗なおねいさんの前に立つ
「いらっしゃいませ、ギルドに何か御用かな?
お使いを頼まれてきたのかな?」天使のような微笑みを受けて、今までの経緯を話す。
被害届と手配書の作成
情報に対する少ないが褒賞などなど
かなり時間がかかったが無事にギルドの仮眠室を
一部屋借りて少し借金をして一応の装備を整えることができそうだ
ギルド登録は島から出る前に済ませていたので
助かった書類などもう一度取りに帰る事など出来ないからな
ギルドに登録するメリットは色々ある。宿泊も借金も登録していないと出来ない
後はギルド内においてある魔法器具が使用可能になる事だ。この魔法器具は個人のステータスを表示させる事が出来る。
それによって受ける依頼も決められ
どの職業を選ぶかのアドバイスもしてもらえる
俺のステータスを受付のお姉さんが測ってくれる
LV 4
HP 400
MP 0
獲得スキル
剣術 8
格闘 6
魔法 使用不可
木樵 20
調教 2
状態 呪い(最上級)
加護(最上級)
種族 ハーフエルフ
「........えーっと冒険者を目指してるのよね?」
申し訳なさそうにお姉さんが聞いてくる
「はい!世界一の剣豪を目指してます」
「えっと、まずはステータスからね。体力が400これはレベルの割には高い方よ、次に魔力これが0
普通はすくなくても20〜30はあるのだけれど」
何か納得いかない表情のままお姉さんは続ける
「次にスキルなんだけど大まかな区分として
1〜30は見習い
31〜40は初心者
41〜50は一般者
51〜60は中堅
61〜70は上級者
71〜80は達人
81〜90は指導者
91〜100は選ばれし者と、認定されているわ
100以上は昔はいたと言われてるけどいまは
その存在が確認されていないわ」
「で、君は剣術が8格闘が6魔法に至っては
始めて見たけど使用不可?唯一使えそうなのが
木樵20、それでもまだ見習いの域を超えていないわ、なので前衛の斧戦士かな?」
「あと、気になるのが状態の呪いと加護、しかも最上級って聖王国の神官くらいしか直せない呪いなんて一体どこでかけられたの?高度な魔法を使う魔物にでも襲われたの??」
...多分母ちゃんだな
「あ、それは多分身内が掛けたんで大丈夫です」
お姉さんは、「え!身内が!!」と複雑な顔をしていたがそういう人なんだうちの母ちゃんは。
「まぁそれじゃぁ伐採関係の依頼をこなしながら
LVを上げて首都に行ってゴーレムでも手に入れることね、貴方のスキルだとPTには入りづらいでしょうから盾役になるゴーレムは必須よ」
まぁハーフとは言ってもエルフだしな
そんなことを考えながら
依頼の受け方こなし方報告の仕方などを説明してもらい一日が終わる。ギルドの、仮眠室は質素で何もないが不便なこともない。
美味しくないがご飯も食べさせてくれる
付近への奉仕活動で親の居ない子供と一緒に食べる
早くお金を貯めて西の都に向かおう
そう心に決めて眠りにつく
色々思い出して中々眠る事が出来ないが
高い授業料だと無理矢理納得して
歯を食いしばり明日に備えた