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メイドごーれむと異世界転生  作者: じゃこさぶろう
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旅立ちと躓き

林業を主とするレイン島

そこで伐採される木々は品質の高さから

世界中へと輸出されていく


木材は勿論の事

加工品、家具や建材など様々な形で船に乗せられて輸出される


レイン島には幾多もの港があり

行き先も様々だが

広大な海には数多くの魔物が生息しているため

島伝いに航海するのが

ほとんどの船の常識である。ある一定の大きさで魔物対策を施された船以外は


結局、15歳の誕生日は

家で迎えた。


何が悲しくて異世界の大冒険に母親同伴で

向かうのやら


家出するのにも準備が必要なので

こっそりと準備していたある晩の事


母ちゃんが納屋から古い背負い鞄と何かしらの道具を部屋に持ち込んで鼻唄を唄っていた


何故か猛烈に嫌な予感がする

父ちゃんが「どうしたんだ?昔の道具なんて」と聞くと「えへへ♩内緒」と満面の笑みで答えてる


母ちゃんと父ちゃんは昔旅を一緒にしてた時期があったらしい


父ちゃんにこっそりと今までの話をする

「父ちゃん、俺世界を旅しに行きたいんだ」


「目的は?」父ちゃんは困ったような顔で尋ねる


「この大きな世界を見て回る」


「そっか、母ちゃんには?..って言ったのか

それで昔の荷物か、付いて行く気だなありゃ」


「何とかしてよ父ちゃん!母ちゃんが付いて来たら台無しだよ!」


「お、おぅ、一応はやってみるけど

間違いなく追いかけるぞ?」


「母ちゃんと一緒に冒険なんて笑われるよ!」


「わかった、わかったよ、で?いつ出発するんだ?」


「近いうちに...」


「そうか、よし任せとけ!いつでもいいように準備はしといてくれ」


それから数日が過ぎた

夕食の時間に父ちゃんの木樵仲間がやって来た


急に来たのに母ちゃんは人数分の料理を作り

宴会が始まる、母ちゃんがお酒を飲むのは

初めて見た気がする。


宴会の途中で父ちゃんから「行くなら今晩だ」

と告げられて、部屋に戻り準備と母ちゃんへの

置き手紙を書く

「いままでありがとう、必ず帰ってくるので心配しないで」みたいな事を書いて窓から家を抜け出す

バイトで貯めたお金で船に乗って島を出る予定だ

家の裏の森に沿って行くと暗闇に父ちゃんが

待っていた。


「母ちゃんは?」キョロキョロしながら尋ねる


「久しぶりに酔って寝てるよ、本当に行くんだな?」


「うん、我儘言ってごめん」


「いや、俺の子供だし仕方ない。餞別だ」

父ちゃんは大きな風呂敷に包まれた荷物を持って来ていた


「何これ?」


「昔、冒険者をしていた頃に使ってた道具だな」


「父ちゃん、冒険者だったの?木樵じゃなくて?」


「木樵はお前が生まれてから始めたんだ

冒険者は危険な商売だからな、まぁいい説明するぞ、これは小剣とそれを収めるベルトだな

まぁ使えなくても何とかなるだろう。あとは色々な薬、瓶に名前が書いてある。」


「お金はあるのか??」


「うん、町でお手伝いしてお金貯めた」


「そうか、で、この2つはとても大事な物だ

絶対に無くすなよ」

そう言いながら父ちゃんは

古びたネックレスと腕輪を取り出した


古びたネックレスは紅い牙が無骨に付いている

「このネックレスは紅龍の牙で出来ている」


腕輪は、青い宝石がはめ込まれ沢山の文字のような物が彫られている

「この腕輪は命が危ない時に祈る事で腕輪の製作者を一度だけ召喚する事が出来る」


「製作者??」


「母ちゃんだ、母ちゃんはああ見えてこの世界では超有名な魔法使いのエルフだ、もし命の危険が迫ったら必ず母ちゃんを呼べ、母ちゃんが叶わない敵はまず存在しないはずだ。」


「.........」

その言葉の意味を理解しようとしていると


「ただし、その後は285年は一緒だから考えて使えよ」ゲームオーバーじゃねえか!!と突っ込みをいれて父ちゃんの道具をありがたく貰う


「で、行くあては決めてるのか?」

実はまだ迷っていた


「いや、まだなんにも決めてない」


「それなら、船で龍王国を目指すと良い

冒険者になるならまずはしっかりとした武術を学ぶ事が大事だ、武王国は遠いから先ずは一年ほど龍王国で修行すると良い」


「一年か、伝もないけど修行とか出来るのかな?」


「心配はいらない、さっきのネックレスは龍王国の前王から頂いた物だ、父ちゃんの名前を出せば追い返されたりはしない筈だ」

イージーモードきたわーなどと一人で興奮していると


「もし、武王国に行くのならドノバンを訪ねると良い、武王国で一番有名なドノバンと言えば大体誰でも知ってる筈だ」


「誰なの??」


「父ちゃんの昔の知り合いみたいなもん父ちゃんの名前を出せば分かる筈だ」


「うん、わかった。父ちゃんありがとう」

父ちゃんがこんなに出来る男だとは思わなかった


「旅の途中にもしエルフが困っていたら必ず助ける事!これはエルフの決まりだ、お前はハーフだが半分はエルフだからな、必ず困った時には世界中にいるエルフが助けてくれる」


「うんわかってる」


「最後に1つ必ず無事に帰ってくる事!これだけは約束しろ!」


「うん、絶対に無事に帰ってくるよ」


ギルド登録用の書類に父ちゃんのサインを貰い


最後に父ちゃんに力強くハグされて頑張れ!と

送り出された、涙を堪えて旅立つ背中に


「明日には母ちゃんが出発すると思うから急いで遠くに行くんだぞ!今日中に船に乗らないと最悪船までの一人旅だからな!」と父ちゃんの声が


俺は慌てて逃げるように港を目指した。


港に着き父ちゃんの助言通り龍王国行き夜行船のチケットを手に入れ船までの空き時間でギルドの手続きを終えて待合室でドキドキしながら船の出発を待つ


そんな、俺に

「おい、坊主こんな夜中にどこにいくんだ?

家出か?」と声を掛けてくる


誰だ?と見たが全然知らない猿の獣人がいた


「家出じゃない!冒険者だ!あと、坊主でもない!漢だ!!」そう言いながら小剣を叩く


「悪い悪い、余りにも若く見えたから、で?冒険者様はどこに行くんだい?」


「龍王国だ!武者修行にいく!」


「そいつはすげぇや!その若さで修行たぁ立派な漢だ!」おれは、煽てに弱い


「あぁ!おれはやってやる、世界一の剣豪になってやる」多分無理だろうけど


「そうか、俺の目に狂いが無けりゃお前さんは後世に語られる英雄になるね、いや絶対だ!」


「そ、そうかなぁ?へへ」

コイツは見る目があるに違いない


「あぁ絶対そうさ!じゃあ未来の英雄様に会った記念にお酒でも奢らせてくれよ、な?な?」


お酒は飲んだ事がないが

「船の時間まで少しあるから付き合ってやるか!」と見栄張って言ってみる


「そう来なきゃ!流石は英雄様だ!!」

などと、煽てられてお酒を飲んでみると

途端に意識が遠のく


「じゃあな、未来の英雄様」

そんな言葉を最後に意識を失う


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