沙耶の過去
時系列です!
「八雲が死んだ?!」
それは悲しい知らせだった。その悲報が届いたのは土曜日の夜クラスのグループで電話をしている時だった。この少女、八雲とは幼馴染になる高校2年生の二宮沙耶。
そんな、何で......? まだあの件の仲直りも何もしてないのに......ちゃんと謝りたかったなぁ。
あれ、私何でこんなに悲しんでるんだろ......只の幼馴染なのに。そう、翔とは只の幼馴染。そうなのに......
「そうなの、昨日の夕方に小さな女の子から車から轢かれそうになっていたのを庇って助けたらしいよ」
「可哀そうだよねぇ」
「まぁ、悲しむのはアイツの家族位でしょ。てか沙耶、三条のこと名前で呼んでたっけ?」
そう、私は八雲との幼馴染の関係は学校では秘密にしている。理由は......
「まぁ、あの陰キャがいなくなって教室の空気が変わるんじゃない?」
「それある! ははは!」
「いやいや、元々無かったものなんだから変わんなくね?」
人が死んでしまったというのにこの様子......
そう、その理由は翔が陰キャの中の陰キャだからである。
八雲とは小学校からの付き合いである。私は小学校の時に虐められていた。理由は私は少し言動が尖っていて皆に強く当たりすぎていたためだ。
それを八雲がクラスの人たちを問い詰めて時には突っかかりながら体を張って苛めを止めてくれたのだ。
物凄く感謝した。何で今まで関わった事もないのに助けてくれたのか理由を聞くと
「何となく見てられなかった」
とそっぽを向きながら答えてくれた。
恥ずかしかったのだろう、その言葉を聞いて私も恥ずかしくなった。
それから八雲はまた苛めがあるかもしれないからと言ってずっと私と一緒にいてくれた。凄い嬉しかった。中学に入っても一緒だった。
でも私達が中学三年になってから私に寄って来る男子どもが急増した。
そう、モテ期ってやつ。それでいつも一緒にいた八雲が邪魔になり、のけ者にしていった。クラスの皆も私自身も、凄く後悔した。
あの時助けてもらったのに......
そんな時、八雲からメールが届いた。
「放課後に屋上で待ってる」
一行だけのメールだった。
私は決心して放課後屋上へ向かった。
彼は気だるそうに待っていた。
「何よ、急に呼び出してキモイんだけど」
あぁ、違う。何でいつも強く言っちゃうのかなぁ......最近尖らないようにしてたのにどうしても八雲の前では少し素でいたくなる自分がいる。
然もこのシチュエーションって、こ、告白だよね......
き、緊張してきた......
「あぁ、悪いな。さっさと用件を伝えるわ、口でないといけないから」
はぁぁぁ////く、口でって/// や、やっぱり///
「単刀直入に言うぞ」
よ、よし、返事は決まっている。YESよ沙耶!
「俺にはもう関わらないでくれ」
「はい!」
え? 今なんて? あっ、ま、回りくどい告白の仕方だなぁ。ははは
「分かってくれたか、まぁこれはお前のためだ。俺みたいな陰キャといるより他のイケメンどもと一緒にいた方がお前のイメージアップ的にも評価的にも困らないだろ。それに俺がいなければ好き勝手できるだろ。と、いうことだから......じゃあな」
そういって八雲は出口の方に歩いて行った。
え? なにこれ......
告白かと思ったらまさかの関わらないでくれ宣言?! 今になって告白かと思ったらこれ?!
何かが私の中で切れたような音がした。
それで私は帰ろうとする彼の腕を掴みこう叫んでいた
「こっちから願い下げよ! あんたみたいな陰キャと関わりたくないわよ! バカ!!」
それから私は放課後の校内を走りながら帰っていた