初めての魔法
「取り敢えずそこへゲートを繋げておく。もう一度聞くが八雲君、人生をやり直す気はあるかね?」
コリンが真面目な顔で問いかけてきた。
だから怖いよ!
そう、答えは決まっている...... 俺がこうまでしていきたい理由は
刺激が欲しい......変な意味じゃないよ!
そう、刺激だ。何故なら三条八雲は現世日本で影の陰キャボッチとしてジメジメ過ごしてきた。
絶対頑張って体も精神も強くなれば絶対楽しくなる! いや、そうさせてやる!
「やり直させてもらう!」
俺は元々か細い声を努めて元気な声で返事をした。
これから新しい人生が始まるのだから。
「よし、分かった。そこのゲートを潜るがよい。そこが目的の場所じゃ。最初は辛いと思うが頑張ってくれ」
――ブヲォォン
「それでは行ってきます!」
「うむ。達者でな」
「はい! ではまた」
それから俺はゲートを潜り着いた先は......
****
――フェックション! 寒!! 何ここ?! え?! 雪国?! ちょっ吹雪がヤバイんだけど!
こんな所にいたら死んじゃうかもよ!!! ヤバイかも。あ、だからコリンはああいうこと言ってたのか
納得納得......
じゃない!!
「ここが目的の場所なのか? えらく寒い場所だが」
とんでもない所に召喚されたものだ......
どうしよ、取り敢えず叫んでみるか。
「すいませーーん!!! 誰かいませんかーー!!!」
スイマセーン! ダレカイマセンカー
な、何だと......いきなり詰んだか?
周りをキョロキョロしていると何か青黒い岩肌が見えた。
「はっ! あれは洞窟か! あそこに行けば吹雪とこの寒さを防げるかも!」
早速行動だ!
ハアハアハア......雪で足が埋もれて動きずらい! 元帰宅部には辛いよ!
俺は重い足を引きずるように歩き出した。
やっと着いた! ん? 洞窟なのに明るい? 一先ず声を掛けてみるか。
「す、すいませーん! 誰かいませんか?」
暫くすると奥の方からしわがれた声が返ってきた。
「ああ? 誰だ? こんなクソ寒いところで」
そこには見たところ暖かそうな毛皮のコートを羽織った70位の三白眼の目つきの強い爺さんがいた。それと滅茶苦茶ゴツイ。
え、ここの人達はイカツイ人達しかいないのですか?! 怖いよ僕......
「あん? てめぇ今変なこと考えなかったか?」
何このデジャヴ、エスパーか何かかこの爺さん........
「いえいえ、そんなことは無いですが」
「はぁ、まあいい。そんなことより何でこんな所にいるんだ?」
爺さんは訝しげに聞いてきた。
「はっ! そうだ! 貴方邪神と知合いですか?」
「ん? 邪神? あの白髪頭か?」
気だるげに答えてきた。
ここに来て確認しておくのを忘れない。
「はい! その人です!」
「おぉ知り合いだぞ。昔からの腐れ縁ってやつだな」
そういうこの人は遠い目をして呟いた。
良かった~この人かもしれない!
そこで俺がここに来た理由を話し、紹介状の話に繋げたら
「それで、紹介状を預かっているのですが.......」
「紹介状だぁ?」
元々キツイ目を更にキツくしながら問いかけた。
だから怖いよ!
しかしここで負けるわけにはいかない!
「はい! 強くなりたいと言ったらここに行けと言われまして......」
と少し強めに言っても怖いよこの人
「ふむ。アイツの紹介ねぇ......」
それからその人は俺を品定めするかのようにジロジロ見てきた。
「お願いします! 強くしてください! ここで引くわけにはいかないんです!」
「理由は後で聞くとして、まっ! 取り敢えず魔法使ってみろ」
「あの、私まだここの世界に来たばかりなので魔法の使い方分からないです」
「はぁ、コリンの野郎......せめて魔法の使い方を覚えさせてから来させろよ......!」
物凄い溜息つかれたよ?! それとなんかキレてるんですけど!?
なんかすいません! ほんっとすいません!
「あ、それより自己紹介してなかったな。私の名前はカイルだ。」
あ、ここに来て自己紹介かよ! 長すぎるな!
「俺の名前は三条八雲です!」
「よし、三条八雲よ、イメージしろ。体の中に流れる未知なるエネルギーを!」
そう言ってカイルは目をつぶれと言った。
俺は目をつぶって未知なるエネルギーのイメージをしていたら何かが体の中でぐるぐると蠢いている感覚が生まれた。
おぉお?!
な、何だ?! この感覚......! 空腹感とは違う感覚だ。
「分かるか? それが魔力だ! そのまま炎のイメージをし、そして手に集めるのだ」
言われた通りにやったらなんか手に物凄い魔力を感じる......! す、すごい!!
「そうだ! そのまま放出してみろ!」
よっしゃ! やってやるぜ!!
オオオオオオオォォォ!!!!! アレ? 何かヤバイ気がする......
気を抜いてたであろうカイルが、
!? ヤバイ! バリア!!
――ドッカアァァァァン!!!!
え? んん??? 何?! 何が起きた?!
そっと目を開けるとそこには何かが爆発したであろう跡が八雲を中心に広がっていた......
洞窟なんてありゃしない。
――嘘だろ......