夏至
何度目かの記念日がやってくる。
最初のころはいろいろ頭を悩ませたものだけど、
今ではすっかりプレゼントの中身を忘れてしまった。
実用的なものがいいだろうと、目覚まし時計や、服や、その他もろもろ。
そして、何個かのアクセサリー。
梅雨時の街を相合傘で歩いて、ふざけあって水たまりにはまったり、
「本当に変な人だねぇ」なんて、自分のことを棚にあげて笑ったり。
いつのころからだろう、プレゼントをしなくなったのは。
今いちばんきみがほしいものは自由だろう。
そう思っているきみ自身が、ぼくを虜にしているんだよ。
書いても書いても埋らない気持ち。
時の流れを、これからの時間も、ぼくはここにいると宣言するために買った
アニエス・bのリスト・ウォッチ。
「もしいらないなら捨ててもいいよ」とメッセージして箱につめた。
流れるように進む秒針。
確実にまた、夏至の日がやってくる。