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ー巨星の章14- 影武者5号の四(よん)やで!

 なにいいいいい!と家康は叫び、影武者5号を叱り飛ばそうとする。だが、すでに影武者5号の姿はどこにも見えなくなっていたのである。家康は、はああああと深いため息をつき


「あいつ、秀吉殿の子飼いの将だからと言って、油断していたでござる。で?うちの女房連中は俺の顔とあの男の顔の違いがわからぬほど、まぬけなのでござるか?」


「いやあ?そう言うことではないでござるぞ?そりゃ、女と言えども性欲はあるでござる。でも、殿(との)の家臣たちが殿(との)(めかけ)とイチャイチャしていたら、大問題でござるよな?でも、影武者となれば別でござる。名目上は殿(との)本人でござる。なら、影武者5号とイチャイチャしてても、(めかけ)たちは周りからはたいして、文句は言われないでござる」


「文句は俺が言いたいでござるううう!俺は影武者5号のあの男と穴兄弟になってしまったでござるううう。ひとがせっかく、信長殿が開く合婚(ごうこん)に参加して、おっぱいがご立派さまなのばかり集めたと言うのに、ひどい話なのでござるううう」


「たっぷりねっとり堪能させてもらったやで!」


 どこからか聞こえてきた影武者5号の声に、家康が激怒し、部屋に飾ってある刀をむんずと掴み、鞘から刀身を抜き出すのである。


「あいつの声が今、確かに聞こえたのでござるううう。あいつのいちもつを叩き切って、三条河原に晒してやるでござるううう!」


 家康が激怒している姿を忠次(ただつぐ)榊原(さかきばら)忠勝(ただかつ)が、はあやれやれと言う顔付きで見ることになる。


「大体、何故、そんなにおっぱいがご立派さまばかり選ぶのだぎゃ。殿(との)には瀬名せなさまと言う、立派な正室がいるのだぎゃ。さらにはすいかのようなおっぱいを持っているのだぎゃ。それだけで満足できないのかだぎゃ」


 家康は榊原さかきばらに痛いところを突かれて、うっ!と口から漏らしてしまう。


「だ、だってでござる。瀬名せなはもう、今年で46歳でござる。かなり、おっぱいが垂れてきているのでござる。俺、若くてご立派さまな女性とイチャイチャしたいでござる」


 家康は言いながら声が尻すぼみになっていく。


殿とのが結婚した時は、確か14歳だったでござったな。それで、瀬名せなさまが24歳だったでござるか。あれから20年以上、経ったでござるか。いやあ、時の流れと言うものは残酷でござるな。ざまあみろでござる」


「すいかがへちまになるのも時間の問題なのだ。なんで、家康さまは10歳も年上の女性なんかと結婚したなのだ?普通、逆だと思うなのだ」


 忠勝ただかつの問いに、家康が口をもごもごさせながら


「だって、14歳の時に、あんなすいかなようなものを見せつけられたら、誰だって、舞い上がってしまうのでござる。しかも、そのすいかを俺が自由にして良いのでござるぞ?あの機会を失ったら、俺、一生後悔していたでござる」


「それでも10歳上は無いでござるよ、殿との殿とのは、おっぱいだけで女性を判断してはいけないのでござる。性格もちゃんと見るでござる。瀬名せなさまを殿とのが相手をしないから、最近は特に癇癪かんしゃくがひどくなっているでござるぞ?」


 忠次ただつぐの言いに、まじでござるかあああと想う家康である。


「元々、癇癪かんしゃく持ちだったのだぎゃ、最近は手がつけられないと正信まさのぶ殿まで嘆いている始末なのだぎゃ。影武者5号のいちもつを叩き切る前に、殿とののいちもつが瀬名せなさまの手で叩き折られるのだぎゃ」


 榊原さかきばらの言いに、家康はタマがひゅんとなる想いである。


「こ、こわいのでござるううう。また、瀬名せなの奴にいちもつを折られるのは嫌なのでござるううう。結婚してから、もうかれこれ5回は叩き折られているでござる。忠次ただつぐ榊原さかきばら、お前ら、俺の代わりにいちもつを折られてくれでござるううう!」


 家康が涙眼になりながら、忠次ただつぐ榊原さかきばらに懇願するのである。


「嫌でござるよ。自分の嫁の面倒くらい、自分で見てほしいのでござる。大体、殿とのが悪いのでござる。正室を差し置いて、めかけたちばかりを相手するのが悪いのでござる」


「あれ?思ったのだぎゃ、影武者5号に瀬名せなさまの夜の相手をさせればいいのではないのかだぎゃ?そうすれば、瀬名せなさまが影武者5号のいちもつを叩き折ってくれて、殿とのめかけに手を出されることはなくなると思うのだぎゃ」


 榊原さかきばらの提案に、家康がおおおおお!と感嘆の声をあげる。


「さすが、榊原さかきばらでござる!そうと決まれば、あの男を捕まえてくるでござる。さすれば、俺のいちもつが2度と折られる心配はなくなるでござる」


「わいの52の得意技のひとつに、隠形の術があるんやで?わいを簡単に捕まえられると想ったら、大間違いやで?」


 家康は声のする方向をギロリと見るが、そこには誰もいない。家康は、くっと唸る。


「まあ、夕飯時には必ず顔を出すと想うなのだ。人間、必ず喰う寝るをするなのだ。そんなに血眼になって探す必要はないなのだ」


 家康がうーむと息をつく。


「わかったでござる。夕飯時にとっ捕まえて、瀬名せなのところに送ってやるでござる。2度と俺のご立派なめかけたちには手を出させないでござる!」


 その数刻後、影武者5号は、ブリを食材にした料理の数々を皆に振る舞うことになる。それに舌鼓を打った家臣一同は、この男に恩を感じ、瀬名せなさまのところへ送らぬように嘆願書を出すのである。家康は歯がみをしたが、家臣一同の嘆願を無視することも出来ず、自分のめかけたちに許可なく近づかぬことを約束させるにとどめるのであった。


「わいの52の得意技のひとつ、男心を掴むには胃袋を掴めやで!皆さん、ありがとうやで?おかげで、わいはまだまだ現役でいられそうやで!」


 そんな家康の事情を知ってか知らずか、武田軍の方でも同様な夜の営み問題が起こっていたのである。


「ああ、長々と合戦をしていると、男ばかりを喰うことになって、少々、食傷気味なのだわい。野田城を陥落させた祝いに、若くておっぱいがおしとやかな女子おなごで今夜は楽しみたいのだわい」


「何かまた殿とのがおかしなことを言い出したのでござる。三河の者は男から女まで強情なのでござる。この前、高坂がさらってきた女子おなごを拙者が味見しようとしたら、いちもつをへし折られたのを忘れたでござるか?」


「あれはけっさくだったのでごじゃる。馬場殿が、小便があらぬ方向に曲がるでござる!大変でござる!って、ぼくちんに言ってきて大爆笑だったのでごじゃる」


 内藤が馬場のあの事件を想い出し、あはははっあーははははっ!と大笑いするのである。


「だから、僕はやめておいたほうが良いと馬場さまに忠告していたのでございます。強情な女子おなごを屈服させるのは燃えるのでござるなんて言うから、そんな眼にあうのでございます」


 高坂は、やれやれと言った顔付きでそう言うのである。


「で、実際問題、どうするので(そうろう)?野田城の兵たちはことごとく斬ってしまったので(そうろう)。この周辺の土地の者たちの多くが、その兵たちで(そうろう)。住民たちの反感は相当なもので(そうろう)殿(との)のいちもつがへし折られるなだまだしも、命を取られては大変なことになってしまうで(そうろう)


 山県やまがたの言いに、うーむ、困ったと言う顔つきになる信玄である。


「いくら、腹が立ったからと言って、少しばかり殺し過ぎたのだわい。これでは、この地を治めることも難しいのだわい。あーあ、こういう時は、わしの行いを諫めるのが家臣たる務めだと思うのだわい?」


「いやあ、すまないでござる。拙者も頭に血が昇っていたのでござる。野田城のやつら、最後の抵抗にクソを投げつけてきおったでござるから、さすがにブチ切れてしまったのでござる」


「ぼくちんは華麗に敵城から飛んでくるウンコをひらりとかわしていたのでごじゃる。馬場殿はどんくさいでごじゃる。たっぷりとウンコを頭から喰らっていたのでごじゃる。馬上から指揮するのが恰好良いでござるとか言わずに、城攻めの時は、ちゃんと下馬しておくでごじゃるよ」


「本当、あの時は僕も馬場さまにはキレそうになったのでございます。ウンコまみれの恰好で馬にまたがり、暴れまわっていたので、こちらにウンコが飛び散ってきたので、こいつ、殺してやろうかって思わず、槍を構えて、馬場さまの馬の尻に刺してしまったのでございます」


「高坂。お前が馬場殿の馬にそんなことをしたから、余計に大参事になってしまったので(そうろう)。馬場殿のお尻を刺せば良かったので(そうろう)


「そんなことされたら、拙者、死んでしまうでござる!でも、あの時ばかりはブチ切れしすぎたのでござる。拙者、反省しているゆえ、肥溜めに拙者を落とそうと計画しているのをやめてほしいのでござる」


 ばれていたかと、ちっと舌打ちする面々である。


「馬場さまがブチ切れていたのはウンコのせいだとわかるのでございますが、信玄さまがブチ切れていたのは、やはり、こんなところで1カ月半以上も費やしてしまったことでございますか?」


 高坂がおそるおそる信玄に聞く。信玄は、ふううううと嘆息し


「城攻めが困難なことくらいわかっているのだわい。だが、野田城の城主が斬首の際に、【アハハハッ!武田信玄ともあろう男がこんな小城ひとつ、3日で落とせぬとは笑止千万!末代までの恥でござる!】とタンカを切ったことが原因なのだわい。あればかりは腹が立ってしょうがなかったのだわい。ノコギリで首級(くび)を削ぎ落してやったくらいだわい」


「つくづく、剛毅な奴でござったな。あれほどの男、斬るには多少、惜しかったのござらぬか?」


「もちろん、助命嘆願を聞いてやろうとはしたのだわい。だが、その時にあのタンカを切られたのだわい。わしもまだまだ若いのだわい。こんなこと、日常茶飯事のはずなのに、つい、やりすぎたのだわい」


「で?殿(との)、いちもつを折られるだろうでごじゃるが、女子おなごをさらってきたら良いのでごじゃる?おっぱいはどれほどの女子(おなご)が良いでごじゃる?」


 内藤がそう信玄に尋ねたと同時に、彼はごふっ!と言う咳と共に大量の血をその口から吐き出すのであった。

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