【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな○○がいたら
【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな赤絨毯持参のヘリ救助隊が来たら
【子供を救助! といえば‥‥‥】
ここは、変わった前歴を持ったツワモノのパイロットが集うヘリ会社。
そのモットーは、
『俺たちは、運ぶ中身は一切問わない。他のヤツらがビビっちまう仕事も引き受ける。
魅力ない仕事はお断りだ!』
でも、ひとつだけ熱心に受ける仕事があった。
それは、
「人命救助だけは何があっても断らない‼︎」
彼らほど我々ヘリを必要としている奴らはいないハズだぜ。
ある火災現場。
凶暴な煙と炎が渦巻く高層ビルの60階で救助を待っている人々がいた。
そこに現れたのは、リムジンを想像させるような大型ヘリ。
待ち焦がれた救助隊に大きな歓声が上がったがすぐに静寂が訪れた。
ヘリから放たれた赤絨毯。
お付きの黒スーツのダブルオー要員が2人、ワイヤーロープを着用するやホバリングする
ヘリから身を乗り出しあたりを伺った。
中から出てきたのは、なんと女王陛下。
『血筋』と刺繍された赤マントをひるがし、ヘリはビルに近づき、
炎と煙が巻く中、手を伸ばし赤ん坊をすくい上げ見事救助した。
それは聖なる教会で産湯から拾い上げた光景に似ていた。
「俺たちも乗せてくれ!」
大勢の人だかりを押しのけ真っ先にヘリの飛び乗ろうとする男を
女王は見逃がさない。平手打ちでキッパリ拒否。
赤ん坊のおかあさんを女王陛下お付きの黒スーツたちがヘリに招き入れた。
「はあい、この子は『ミランダ』ね。こんにちはミランダ」
「あの、助けていただいてなんですが、ウチの子恭子っていいます」
助けてもらった負い目でハッキリ否定できないお母さんを尻目に黒スーツは
ヘリに備え付けの端末で戸籍データにアクセス。ミランダと名前を変えた。
「あの、女王様困ります、勝手に名付け親になってもらっちゃ」
小瓶を取り出した女王陛下は蓋を開け、『ミランダ』にふりかけ始めた。
「聖水はいりませんから! もう本当に結構です。名付け親もいりませんから、
素直に救助だけにして!」
「あら、次はどこの現場に行こうかしら」