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なろう演出祭  作者: 空伏空人
ダークネスハント・リーパー【フィーア・ラングーレ×めんつゆ】
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二話

 自室でのシャワーを浴び終わり、私は再び局長室にいた。目の前には父親である局長が座っている。


「今回の任務もスモラーフィシ討伐だ。新型ノアの開発者がデータ収集したいと言い出してな」


「了解です」


 即答。私の返事はそれしかない、それだけで充分だ。


「それと任務には新しいメンバーも同行する」


(な!?)


「新しい……メンバーですか?」


「そうだ。大尉入ってこい」


 お父さんの声で局長室のドアが開いた。私はゆっくりとドアの方へ振り向く。局長室に入ってきたのは綺麗な水色の瞳をしたセミロングの女性だった。ちなみに髪の毛は金髪だ。年齢は私と同じ18歳かそれより一つ年上だろう。年下には見えない。私とは違う特装制服を着ていた。


(こいつが新しいメンバー……)


「紹介しよう。彼女はパミル・カイバチーケ大尉だ。お前と同じ新型ノアを使用している。お前とは違いサイズではなく、スナイパーライフル型だがな」


「あなたが噂の『暗黒を狩る死神』……ダークネスハント・リーパーね。私はパミル・カイバチーケ、よろしくね」


 彼女は笑顔で、私に右手を伸ばし握手を求めてきた。どうやら友好の証のつもりらしい。


(友情ごっこのつもりか? お気楽なやつだな)


 私はこんな女のことは無視をして、視線を逸らしお父さんに話し始める。握手を無視されてもパミルは嫌な顔ひとつしていない。


「私に仲間など不要です」


「お前ならそう言うと思った。しかし、ここ数日はヴァイスの行動が活発化している。お前一人では危機に陥る場面があるかもしれない。ましてや、まだ新型ノアを使い慣れたばかりだ。いざという時の為にチームワークを学んでおいた方がいい」


(チームワーク!? 理解不能だ……私さえいれば問題ないのに)


「で、ですが、おと……局長!」


「安心しろ。パミル大尉は実戦経験が豊富だ。お前とのチームワークは最高だろう」


(違う。そうじゃない、そうじゃないんです。お父さん……)


「よろしくねリヴィナ」


 どういうことだ、握手を無視されても笑顔で挨拶をするなんて。


「……」


(ちっ……)


 仲間など不要だと考えていた矢先にこんなチーム式の任務を言い渡されるとは……最悪だ。以前からお父さんは私に単独行動より集団で行動すべきだと言っていた。理解不能だ。それでも私は一人を選んだ。なぜなら、もう大切な人を失って悲しみたくない。何より自分の無力さを知りたくないからだ。


「では二人ともスモラーフィシ討伐任務、任せたぞ」


「了解です局長」


「了解……です」


パミルははっきりと返事を返したが、私はしぶしぶ返答した。私は深く頭を下げ、パミル・カイバチーケより先に局長室を後にする。同じチームとなっても馴れ合う気は全く無い。話したくもない。


 私が局長室から去ったあと、局長は難しい顔をしながらパミルに言った。


「パミル大尉……娘を頼む」


「もちろんですよ。私と同じ特別型のノアです、きっといい友達になれます」


 そんな会話を二人がしていたことも知らず、私は武器保管庫に向かった。ガスやガソリンなどが混じった匂いがする場所だ。資金もない為、設備が完璧ではないのだ。破損している部分もある。ノアの管理やメンテナンスなどを担当しているのは男性二人に女性一人スタッフだ。


(鉄と油のにおい。でも嫌いじゃない)


 ガダガダと休むことなく周辺の機械が鼠色の煙を出しながら動いている。自分のノアを取り出すには指紋認識と私の体内に微量だが流れている特別なヴァイス細胞の認識が必要だ。ノアに適合する際に特殊なヴァイス細胞を体内に注射される。それが個人の体内で様々な細胞と融合し、自分だけが持つヴァイス細胞へと進化する。


 少し武器庫を見回っていると、女性スタッフに声をかけられた。


「あれれ? リヴィナさん、これから任務ですか?」


「あぁ、そんなところだ」


 そっけなく返事をする。ノアの管理やメンテナンスなどをしている女性が話しかけてくる。その女性の衣類はガスや機械油によって黒く汚れていた。私は職人としての立派な証だと思う。


「リヴィナさんは凄いですよね。誰も使うことができなかった新型ノアに適合するなんて」


「別に凄いことじゃない。ただ使えただけだ」


「最初に暗黒鎌ダークネスサイズに触れた人なんて、他人のノアに触れた時みたいな拒絶反応を起こしてヴァイス細胞に侵食されそうになったんですよ」


「そう」


「だから、私達も期待しているんですよ。私達もできる限り整備をします、がんばってください!」


 どうもこの人は苦手だ。いくら無愛想に返事しても、逆に高感度があがっているように感じている。


「え、ええ」


私たちは自分のノアしか使えない。他人のノアを使うことはできないのだ。もし、他人のノアを使った場合、その人だけが持つヴァイス細胞によって侵食されヴァイス化する。ヴァイス化した人間を元に戻す方法は現状はない。つまり、殺すしかないのだ。今まで他人のノアを使ってヴァイス化した人間は一人しかいない。


「リヴィナさんのノアもしっかりメンテナンスしておきましたからね」


「ありがとう」


 女性スタッフにお礼を言うと、横から女性の声が割り込んできた。さきほど聞いた声であった。

 

「私のノアは?」


 この声は……パミル・カイバチーケ。どうしてこの人と一緒にヴァイスを狩らなければならない。お父さんには申し訳ないが、今度から単独任務をさせてもらう。それが最適解。


「パミル大尉のノア、『ヘルスナイパー』も完璧に調節などをしておきました」


「ありがとう♪」


 暗黒鎌ダークネスサイズとパミル専用新型ノア、ヘルスナイパーが収納されている鉄のケースが格納庫からガダガダと音を立てながらレールで運ばれてくる。自動でケースがゆっくりと開く。ヘルスナイパーは全体がシルバーで赤と黒のラインが特徴的だ。


「私が後方で援護するから」


「そんなものは不要だ。仲間自体私にとって必要ない、はっきり言ってお前は邪魔だ」


「ひたすら孤高の道を進んで楽しいの?」


「この世界に楽しさなどない。あるのは絶望と化した現実だけ」


「クールガールなのね」


「どうでもいいそんなこと」


(どうでもいい、どうでもいい、どうでもいい。私に関わるな、私に興味を持つな)


 私はパミル大尉に背を向けて、一人暗黒鎌ダークネスサイズを片手に武器庫から出て行った。任務場所までは輸送車に乗って向かうこともあれば歩きで向かうこともある。今回は輸送車で向かうことになっている。さっさと輸送車に乗りこんで任務を終わらせよう。


 私の後姿を見ながら、パミル大尉はつぶやいた。彼女にはその背がどう映ったのだろう。

 

「他者を拒絶する、まるで存在自体が暗黒鎌ダークネスサイズみたいねリヴィナは。あの鎌と同じで近づく人は全て傷つける……不器用な生き方ね」

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