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07 目標設定とお勉強

遅れて申し訳ありません。

「なぁ…」

「ユァッシャー!!!ンンン~♪」

「なぁってば」

「ユァッシャー!!!」

「なぁ、てか歌ってんじゃねぇ!著作権にけっかかるだろうがああ!!」

「やかましいわね。やかましいともてないわよ」


 俺は今、絶賛修業中だ。

 精神と時の部屋みたいな場所でだ。

 それは、まだいい。

 問題はこのくそアマこと、マグリア様が俺のすぐ横で某アニメの主題歌を口ずさみ、俺の訓練を邪魔してくれちゃってるからである。

 しかも、歌詞うろ覚えだし。

 地味に歌が上手いのがさらに腹立たしい。

 その苛立ちを力に変えながら修業に励む。

 というか、励むしかない。

 ここは三十年たたなければ出口が現れない仕組みになっているらしく、おとなしく修業に励むしかないのだ。

 けど、外の時間というか、俺の体の時間は一日しかたってない何ともデタラメな魔法だな。

 そう思いつつも、目の前にいる自分の分身を一撃で斬り伏せ、残身をとる。

 精神世界のなかでようやく二十一年目か…。

 一日中、戦ってばっかだとまともに思考が働くなってきたな。

 そう思い、俺は剣を鞘のなかに納めマグリアに顔を向けた。


「そろそろ、休ませてくれね?」

「まぁ、いいわよ。てかよく平気でいられるわね」

「いや、なんか、こう、慣れたとか?」

「自分でもわかってないのね。普通、考えてずっと戦い続けたら精神に以上をきたすわよ。それをまぁ意気揚々と剣を振り回せるわね」

「人を異常者みたいに言うじゃねぇよ」

「悪かったわね。でもどうしてなのかしら」


 マグリアは顎に手を当て考え込んでいる。

 確かに常人は21年間ずっと戦い続けていたら確実に発狂する。

 だが、俺にはその兆候すらみられない。

 ここが精神世界で精神と時の部屋みたいなからくりだから異常をきたさないといったら説明がつくだろうがそれだけだと至らない部分もある。

 薫は剣を床に置いて体育座りし、マグリアを見ていた。

 マグリアは悶々と考えており、固まった石のように動かない。

 瞬きすらしない。

 そこまで考えられるってことは俺の体って結構すごいんだろうか。

 そう思い、体の節々や色々な所を触り、もとい撫で回してみる。

 まぁ、ひとつだけ言えることはお尻と胸の柔らかさと肌の滑らかさは素晴らしい。

 美少女の体って最高と考えているとマグリアが突然立ち上がった。


「わかったわ」

「どわぁ!?、なな、何が!?」

「あなたの精神に異常がない理由のことよ」

「ふ~ん。それで原因は?」

「わからない」

「はぁ?」

「わからないってことがわかったのよ」

「俺もお前がなにを言っているのかさっぱりわからない」

「まぁ、追々調べることにしましょう」

「いや、話をうやむやにするなよ」

「だってわからないのよ。わからないことを延々と考えても意味はないわ」


 そう言ってマグリアは左人指し指で空にYを描き俺の額に指を当てた。

 その瞬間に泥々とした黒い物体が地面から吹き出した。

 間欠泉のように勢いよく吹き出し、それが段々と人の形を成してゆく。

 奇妙な呻き声と覚束無い足取りでこちらへ向かってゆく。

 精神世界とはいえ、曲がりなりにも21年間、剣を訓練しているのだ、あんな化け物ごときに負けるはずがない。

 俺は剣を肩に背負い一足跳びでときの声とともに敵に斬りかかる。

 なるべく、反応しにくいした斜めに体をそらしながら一気に袈裟懸けをして相手の脇を狙い、剣を振った。


――ドスッドス、ドス!!


 脇腹に激しい痛みが走る。

 痛みで膝をつきそうになるが追撃をされる可能性があるため、その場で踏ん張って体勢を維持する。 脇腹には特殊な機巧を備えた銀色の美しい剣が深々と刺さっていた。

 しかも、刺さっているだけではなく、すでに刺されたあとまである。

 あの一瞬で二回も連続で突きを放ったのか。 

 ここで後ろに退くと剣が抜けるが血が噴射して出血多量で死ぬ。

 だが、前に出てたところで剣が更に深く突き刺さりやはり、死ぬ。

 ならば!!

 俺は敵の剣を自分の剣の柄頭で思い切り思い切り殴りつけた。

 突き刺さった部分から衝撃が走りそれが猛烈な痛みとなって俺の体に響く。


「うあぁ、がぁ!」


 口から血を吐き出し、朦朧とする頭で霞んだ視界で敵の腕を確認する。

 やはりな。

 膠着状態では、敵も自分も相手の出方をまず、見極める。

 この状態だと、わざと刺さりにいくかそれとも退くかの二択しかない。

 だから、゛予想外の行動には出る゛とは思わない。

 敵自ら、武器を引いてしまう。

 案の定、敵は武器の握りを甘くしてしまい、体勢が引けぎみなり引け腰になってしまってる。

 俺は敵の剣を持つ腕を狙って剣を横凪ぎにする。

 その瞬間に敵の腕が血を噴射しながら空を飛ぶ。

 俺は脇腹に剣が刺さったまま剣を振りかぶり、猿叫のごとき叫びを上げて剣を振りかぶり、斬る。

 



 だが、剣が切り裂いたのは、敵の体ではなく空だった。

 薫は避けられた反動によってよろけた体を立て直し、敵に正眼の構えで向き直る。

 向き直ったが薫の目の前には銃口があった。

 額にぴったりとくっ付けられ、放さない。

 そして、銃口が強烈な閃光と共に鋭利な弾丸が飛び出し、薫の頭を貫いた。

 後には乾いて反響する銃声が響き渡り、薫はゆっくりとゆっくりと地に沈むように倒れた。


「ふ~ん、あんた結構、善戦したんだけどね~まっ仕方がないかな。私が知る限りの最強の魔人の影が相手なんだからね」


 マグリアがそう言い放つと魔人の影は自らの腕を拾ってくっ付けてニヤリと笑った表情を作ると地面に泥々と溶けるように消えた。


「はぁ、責めて薫には゛あいつ″を倒すレベルになってもらわないとね」


 マグリアは薫に近づき薫の顔を蹴りつけ、起きるように催促した。

 あ~ダメだ、さっきの一発が完全に決まってんじゃん。

 待つか、起きるまで。


「うう…ん」

「大丈夫かしら?」

「あぁ…、てか、さっきのやつなに?」

「ああ、あれ。あれはね。私が見た限りで最強の魔人よ。今でも同レベルの奴と戦ってもあなたの実力が上がるわけじゃないからね。あいつと戦わせたのよ」

「お前、あれそこまで強くなかったじゃないかよ」

「その台詞はかってから言いなさい。てか、踊らされたことにも気づけないなんて先が思いやられるわよ。まったく」

「むっ、踊らされていたってどういうことだよ」

「そんなの簡単よ。あいつの策にあんたはまんまとはまり、そしてあいつの筋書き通りにやられた。」

「腕をその場で切り落とされるのが作戦なのかよ」

「ええ、いかれてるしその場で威力偵察って余裕綽々って感じね。まっ今度はもっと頑張ることね」

「え?まだ続くのこれ…」

「そうよ。あいつが倒せるまで強くなってもらわないと困るわ。そのままじゃあんた、抵抗する間もなく瞬殺されるわよ」


 そう言うとマグリアは俺の尻を思いっきり蹴って起きるように催促した。

 

「マジかよ。まだ続くのかよ………」





 ◇


「どっ、動詞が真ん中にきて何で主語が一番最後にくるのよ。それに接続詞が一番最初なによぉぉぉ!!!?」


 私は爆発する怒りともに叫びをあげていた。

 シレーネとか言うくそ女から共通語の勉強を命じられ、訳もわからないまま教室のような部屋で皆、本とにらめっこしている。

 私もわからないので本を凝視し必死に勉強に取り組んでいる。

 訳がわからない言葉の連続で頭がパンクしそうになっていたのだ。


「いっ、伊織ちゃん落ち着こうよ」


 すると隣に座っている女の子が話しかけてきた。

 ウェーブのかかったショートカットに小動物のように愛らしい瞳、おどけた仕草。

 一言でいって美人だ。

 その子が私の精神状態を察してくれたのか励ましにきてくれたのだろう。


「あなた、名前は?」


「遠山莉沙だよ」


「そう、遠山莉沙ちゃんね。ありがとう。私は…。知っていると思うけど近藤伊織よ。これからよろしくね」


「うん」


 彼女は返事ともに髪をフワァと揺らして可愛らしい笑顔を作った。

 なんだろう。

 すごく、可愛い。

 庇護欲というものがそそられる。

 子犬のような愛らしさご感じられる。

 超、抱き締めたい。

 いや、やめよう。

 今の私はなんか、変態みたいだ。

 自重しよう。

 

「ん、どうしたの?伊織ちゃん」

「ああ、なんでもない。何でもない……」

「そう?それは良かった」

「うう…うん、そうね」


 莉沙は確認すると顔をスッと本の方へ向けて食い入るように見ていた。

 この語学の本の何が面白いのかはさっぱりわからないが、

まぁ、ファンタジーな世界だ。

 色々なものに興味が湧くのはわからないでもない。

 現にこの語学の本に載ってる言葉や文章も英語や日本語とはまったくといっていいほどに違う。

 他の言語をやってみてようやくわかることなのだが、英語はかなり簡単な文型をしているのがわかる。

 やはり、日本じゃないがものすごく出てくる。

 私も語学の本に目を落とした。




 でもわからないかった………。

 むずかしすぎるよ。

これからもよろしくお願いいたします。

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