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06 言葉と初勝利

文章力と速筆の力がほしいでござる

 精神世界での一日目…。

 俺は剣を手にかけ、一瞬にしてすらりと抜こうとしていた。

 だが、未だに訓練という戦いは始まらない。

 そう、それは……。

 剣がまったく抜けないからである。


「ふぬぬぬぅぅう」

「ぷくくく、何やってのよ。ド、ドリフのコントじゃないのよ。くくく」


 そう言っても抜けないものはしょうがないじゃん。

 後、笑うんじゃねぇ。

 しかも、最悪なのは全く抜けないのではなく、剣の半分抜いた状態で残り半分が鞘につっかかって取れない。

 つまり、最初はすらりといったのに段々と抜けなくなっていく最高にダサい状態なのだ。

 幸いにもマグリアが用意した分身も同じ状態に陥っていた。

 完璧に実力が一緒って言ってたけど、ずっと抜けないままだったら確かにこれは平行線を張るわ。

 お互い、剣が抜けないじゃな、勝負すらなってない。

 自分でも滑稽に思え、ちょっと卑屈になった。

 すると、いい具合に力が抜けたのかするすると剣が抜け始めたのだ。

 そして、剣を鞘からようやく抜いた。

 敵に向かって一本また、一本と踏み出した。

 一気に駆け出し、剣を大きく振りかぶて振った。

 だが剣をピタリと止めてしまった。

 面倒になった?いや、正確には怖くなったんだ。

 人ではないが人を斬るのが人を殺めるのが怖くなった。

 黒い自分を模した影のようなもので顔なんか見えないが、なんとなく怖がっているように思えた。

 剣を地面に向けて俺は呆然としていた。

 頭のなかでよくわからない感情が固まっては崩れて固まっては崩れてとまるでグルグル回転するように逡巡した。

 ぼーっとしていると腹部に焼けるような激しい痛みが走った。

 そこには剣が俺の腹に突き刺さっていた。

 口から生暖かくて鉄臭いものが一気に流れ出る。

 地面が朱に染まる。

 ふらふらと体が揺れだした。

 まぁ、よかったかな。

 これで。

 俺にこんなのできっこないし、そう言って、倒れてしまった。


「あらあら、負けちゃったわね。まぁ、及第点よ」

「はぁ!?あれのどこが!!」

「敵に優しさを見せたところがね。まぁとも言うかな。けど君は敵のことを思える思慮あるだけましってことだよ」

「そ、そうなのかな」

「そうだよ。人格欠落者が見せる良心の欠如がない。それだけわかっただけでも次は決めてね。戦闘に次なんてないんだからね」


 叱咤してるのか甘やかしてるのかわからないがマグリアの一言ががあった。

 まあ、物言いようだ。

 優しさを甘いた言い替える奴もいれば甘さを優しさと言い替える奴もいる。

 できなかったことを責めないマグリアの厚意に少しだけ嬉しいが決めなければならないのだ。


「やらされてばっかだったけど今回は違うぞ」


 俺の胸の奥でなにが固まった。

 もう一回だけあの訓練をやった。

 今度は一回で剣を抜けた。

 さっきの一回だけだがコツがわかったのだ。

 力を抜きゆっくりと剣を鞘から抜く

 素早く剣を突きだすように構えた。

 素人丸出しの構えだが、不思議と迫力があり、気合いに道溢れていた。

 敵は先程と同じでまだ剣を抜けきってない。

 あたふたと慌てているようにみえる。

 なら…。

 今だ。

 今しかない。

 俺は一気に駆け出して、剣を袈裟をかけながら斬撃を放った。

 風を切る音と肌を通り抜ける疾走感が体を駆け巡る。

 ズッと鈍い音を立てて剣がつ突っかかる。

 そして、分身の体に剣がみりみりと入り、突き抜ける。

 目のなかに光が突き抜ける。

 一瞬だった。

 分身は煙のように霧散して消えた。

 分身の体につっかかったが一撃で倒すことができた。

倒せたことを素直に喜んどおけとマグリアに言われたが喜べなかった。

 でも固めることはできた。

 俺は剣をもう一度握り直した。


 ◇


「この世界の現状については以上です。何か質問は?」


 そう言って、シレーネは周りを観察して、質問を受け付けている。

 私もそうだが、周りの皆は先程の全世界砂漠化の話を受け呆然としている。

 いきなり、世界が三年後にすべて砂漠になって滅んでしまうなんて突飛な話を普通は信じないだろう。

 私ならまず信じない。

 証拠云々よりもまったくといっていいほど、現実味がないからだ。

 逆に世界が滅ぶ姿を間近で見れば考えは確実に変わるだろうと私は思う。

 だが、今は違う。

 状況が状況だけに信じるしかない。

 シレーネの話はすべて現実味を帯びている。

 世界を救わなければこの世界のすべて住人が死ぬ。

 これはなんとしても防ぎたいと考えるのが自然だ。

 考えに耽っているとシレーネがアイコンタクトをし、私にこっちに来るように指示してきた。


「何かしら?」

「あなたのこれからについてお話ししたいとおもいましてね」

「それってどういうこと?」

「まず、一年間。ここで訓練してください。その次にこの国から西南西にある新大陸に行って、そこにある聖剣を引き抜きに行ってください」

「一年間って。私たち確実にここで暮らすことになっているのね」

「はい、そうことですね。ついでに文明レベルでいうと近世とか、近代とかってレベルですから現代に慣れ親しんだあなたたちからするとかなり、不便に感じるでしょう」

「まぁ、慣れるきゃっないかな」

「ウォシュレットの便利さに感動を覚えるかも知れませんよ。あと、お米の素晴らしさも気付くことでしょうね」

「私ら、外国からの観光客かよ」

「まっ、それは置いといてですね。まず、訓練の内容は魔法と剣術、槍術などの武器の扱いを学び、その次に戦術訓練などもします。その後に実戦にうつります。」


 シレーネは憮然とした態度で答えていた。

 私はさっきのことを思い出して、部屋を観察してみた。

 見れば見るほどに欧州といった雰囲気で私の好奇心を刺激してくる。

 特殊なマークが刺繍されたタペストリーやギリシャやローマの芸術にも似た美しい彫刻の数々。

 なんというか、すごくお洒落だな…。

 感動して部屋を眺めていると、シレーネが「集まってください」といいながら手を振っていた。

 また、移動か…。

 今いち、こいつの考えていることがわからない。

 

「わからなくて結構ですよ。

 あと、余計な詮索はしないほうがご自身のためですよ。

 よく、考えてくださいね」


「私の考えを読むな!」


 シレーネがやれやれと肩をすくめて、左手で空に四角形を描いた。

 その次の瞬間にブゥンと音を立てて、空中に穴があいた。

 真っ黒な穴だ。

 まるでブラックホールといった感じで底がないように感じられた。

 そこから数百冊の分厚い本を取りだし、私たちに何冊かに分けて配っていく。

 

「まず、あなたたちにはこの国…。いえ、この世界の共通語(リングワ・フランカ)のお勉強をしてもらいます」


 何故だろう。

 急激に私たちの何が冷めていくのを感じた。





これから頑張って週一で投稿できるようになりたいです。

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