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05 訓練と精神世界

 俺、吉崎薫はあのくそ魔女マグリアに散々な扱いを受け、疲れ果てて就寝していた。

 お世辞にも綺麗とは言えない粗末すぎるベッドで横になって、昨日の強制お勉強のお陰で脳と精神がくたくたになっていたのでそれを休めていた。

 だが、俺は真っ暗空間の中をポツンとただ一人でいる。

 俺は今まであの汚い実験室の中で睡眠を取ろうとしたはずだ?

 どういうことだ?

 そう考えを頭の中でぐるぐると回していると聞き覚えのある色っぽいけどムカつく高音の声に憎たらしいほどのにやけ面が上から降りてきた。

 しかも、わざとラ〇ュタぽっく寝ながら空から降ってくる女の子の姿そのままでゆっくりと落ちてくる。

 俺のもとまで降りてきたが今は体が女の子だが精神は健全な男子なので男の子の夢を壊されたような気がしムカつたから、そのまま放置して逆の方向へ歩を進めた。

 

「あら、放置プレイかしら。男から女になった途端に大胆になったのね♪」

「いや、無視してるだけだし。大胆になんかなってねぇし」

「やーん、ひどーいわ♪」

「アアアア、くっつくんじゃねぇ!!!」


 そう言いながらマグリアは俺の体に自分の体を密着させ、あまつさせえはすりすりとしてきたのだ。

 やめてください。

 僕のDT(ソウル)はガリガリと削れていきます。

 あ、今は女だから処女か。

 そんな余計なことを考えていると、マグリアは俺のうなじを鮮やかな桜色の舌でツゥーと舐めてきたのである。

 ボディタッチは何回かあったがこれは初めてことで脳が完全にオーバーヒートしてしまい、その場に硬直した。

 

「おーい、きーみ!大丈夫かしら」

「はっ、な、な、な、何しちゃってんだよ!お前!いいい、い、い今のは」

「ファーストキスのお相手に今更そんな反応とはね」

「だって仕方ないだろ。そういった経験皆無なんだから」

「まぁ、そうよね。それじゃあ、本題に入るわね」

「?…。ああ、こんなところに何故俺がいるかっていう理由か、ならさっさとはいってくれ」

「いや、あなたを使ってどういったプレイを楽しもうかの話よ。それが本題」

「いい加減してくれないかな、この脳内ピンク野郎」

「ほんと、釣れないわね~。まず、ここはどこなのかを説明するわ。ここはあなたの心のなか、つまり貴方の精神世界なのよ」

「何個世界があるんだよ。二個で十分だよ」

「あなたは精神を持つ生き物だから仕方がないものよ。精神を持つ生き物、たとえ神や精霊であっても持っているものよ。じゃあ、ここでつまり貴方の精神世界で何をするのかだけど…」

「どうせ、修行とかだろ…。」

「あら、そういうところは察しが良くて助かるわ。そう修行…。それじゃあ仰々しいから特訓にしましょう」

「あんまり、変わってねぇよ」

「そう言わないの。何故、必要で何故、ここでやるかだけど」

「実はお前がボッチで敷地が借りれなくてとか」

「うぐ、否定したいけど一部否定が出来ない。まあ、それはいいとして理由としては、時間がないからかしら」


 そう言ってマグリアは顎に手をあて考えているような素振りをする。

 てか、訓練とか特訓とか必要か魔人って存在になってチートとかになったんじゃないのかな。

 それなら、大抵の敵の相手はできるはずだ。


「訓練必要性?そんなの簡単よ。あなたがものすごく弱いから」


 マグリアは俺の疑問を察したのか答えてくれた。


「年間、十万人くらいの人が魔人への変異を志願するわ。そして、その中で魔人になれるのは1/100。つまり、1000人しか、魔人にならないの。更にそのなかで生き残るのは1/10だけ。しかも、すべて戦死よ」

「戦死?事故とか病気での死亡者は?」

「ああ、そこは話してなかったわね。簡単よ。魔人は魔人か魔物にしか殺せないからよ。人間には決して殺せない化け物。人間と怪物への絶対的なアンチ能力を持つって言ったわよね」

「ああ…。」

「そう言ったところがあるのは魔人が殺せるのは魔人だけ。それか、強力な怪物。それ以外の攻撃は全く受け付けないっだけよ」

「つまり、きかないってことか。それと怪物は大抵弱いのばっかしゃないのか。それに魔人もおれとどっこいどっこいだろ」

「はぁ、まずはその認識は改めなさい。あなたが相手するのは、革命分子やそれに雇われた魔人たちよ。魔人に成り立てのあなたと魔人歴の長いベテラン…。相手になるのかしら?ねぇ?」

「それは…」

「だから、そのための訓練よ。あなた、剣術すらやったことがなかったでしょ」

 

 何故だろう、ぐぅの音もでない。

 確かにひ弱な日本人である俺は小〇〇にな〇うのテンプレ主人公みたく勇ましく戦うことはまず無理だし、チートと言ったってその存在のなかで弱小じゃあベテランの魔人たちにケチョンケチョンにやられて死ぬのがオチだ。

 仕方がない。

 ここは大人しくマグリアな言うことを聞くか。


「で、具体的には何をやるんだ?」

「ちょっと、待ってなさい」


 マグリアは左の人差し指をL字を描くように移動させた。

 すると真っ黒い空間が一瞬にしてだだっ広い平原に早変わりした。

 そして地面から影のようなものうねうねと動きだし、地面から生えるように伸びた。

 それは人のようにも見えた。


「これと戦ってもらうわ」

「なにこれ?」

「これは、まぁ、貴方の精神から造り出した分身かしら。実力も完璧にいっしょでいい相手になるでしょう」

「漫画でよくある実力がいっしょだと平行線で決着が着かなくて戦いのなかで成長していくみたいなことをやりたいんだな」

「まっ、そういうこと」

「それで俺の精神世界とか言ってけど実際、俺ってどうなってんの?」

「まだ気になってるところがあるの。あなたの精神世界、どう説明いいのかしら…。う~ん、あっ、そうだ。ここは心のなかもっと分かりやすく言うなら夢のなかよ」

「夢で特訓したって俺、強くならないよ」

「ええ、その通りだわ。肉体はつよくならないわ。でもね」

「?」

「技術は身に付くのよ。イメージトレーニングよりもより詳細で鮮明だからね。それに精神は多少は肉体に影響する。筋力はつかなくても達人を優に越える剣術の腕だけはつけられるわよ」

「でも、今日はこいつを一体倒すだけだろ」

「いや、ここは今、私の迅速魔法で強化版精神と時の部屋となってるわ」

「なに、一日が一年になるってことか?」

「違うわよ。8時間が30年になるの」

「は?」

「現実のあなたは8時間、すやすやと寝ているわ。あの小汚ないベットでね。でも精神世界のあなた、つまりあなたの意識は、この時間が高速で流れる世界で30年間修行するの」

「ははは、それは達人級になるわ」

「大丈夫よ。現実のあなたは年をとってないから」


 マグリアは左の人差し指をくの字に移動させ、地面からなにかを呼び出した。

 それはなにか布でくるまれた棒状のもので異様な雰囲気を放っていた。


「はい、これ。あなたの剣ね」

「えっ、あれ!やったぜぇ!!!」

「言ったでしょ。あなたにくれてやるって。手入れとか自分でやってね。ああとこの剣も」


 マグリアは先程と同じように指を移動させ、二本目の剣を俺に手渡した。


「二刀流でやるのか?」

「いいえ、違うわ。使い分けるためよ」


 二振り目の剣もこれまた、美しかったが最初の剣とは全く雰囲気が違かった。

 刀身が異様なほどに黒いのだ。

 不気味なほどに黒く、まるで夜を体現したかのようだ。

 最初にみた剣といっしょで鎬の部分には文字のようなものが彫ってあったが柄頭に彫ってあったのは、狼のレリーフだ。

 だが何のために使い分けるんだ。

 剣なら一本でも事足りるような気がするけど。

 俺は疑問に思いながらも用意された剣を鞘にしまった。

 

「ちゃんと、装備一式つけたかしら?」

「ああ、剣が二振りにコートだろ」

「まっオーケーよ」


 そして、俺は背中に帯刀してある剣の柄に手をかけた。

 何日間やるのか聞いてないけど、あ~これからどのくらい訓練するのかな…。

 それに頑張るしかないか。


「気も入れ直したところで、始め!!」


 そう言ってマグリアは声を高らかに張り上げた。

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