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「あっ!悪い悪い〜」
ボールを投げた張本人が誤りに来た
「佐伯…、野球は外でな…」
「おぅ!もう少しで消える魔球が完成するんだよ〜」
こいつは佐伯小次郎 魔球マニアと言うか、漫画の見すぎなだけだ
第一こいつの開発してる魔球は消えるボールだ
まずそんな魔球が投げられたら、俺はノーベル賞とれるぜ
「赤井〜!ボール受けてよ〜!」
「授業始まるんだぞ!」
「難い事言うなって!」
「仕方ないな…」
まぁ天才的な頭脳を持つ俺様なら、授業受けなくても出来るからな
佐伯は足早にグランドに出ていった
「早いな…」
俺と佐伯はタイプが違うのかもしれないな
俺は理論的な感じたし、あいつは情熱的っつうか?
「おーい早くしろよ!」
「へいへい」
俺は佐伯からキャッチャーミットを受け取った
そうそう、これでも俺は野球をやっていてポジションはキャッチャーだったのだ
「じゃあ行くぜ〜」
佐伯がマウンド上で大きく振りかぶる
投げたっ!
ボールは螺旋状に回転しながら、ミットに収まる
さすが野球部のエース!ストレートは速いなぁ
「球走ってんなぁ〜」
「まぁ待て!まだ魔球投げてないぞ〜」
また大きく振りかぶる
投げたっ!
ボールは真っ直ぐミットに吸い込まれていく…
…………
ただのストレート…
「佐伯……」
呆れて物も言えない
「いいか…、俺が投げるからな…」
佐伯は渋々とマウンドから降りて、俺がマウンドに上がった
「佐伯…、バッターボックスに入れ…」
こいつは投手だけど良く打つって噂だからな…
「いくぞっ!」
投げた!
俺はボールを山なりに投げたのだ
実はこれにはトリックがあるのだ…!
「へっ!赤井そんなんじゃ、俺を打ち取れな……!?」
ブンっ!!
「ストライクだな…」
「球が消えた…!?」
佐伯は目を丸くして考えている
消えたのではない、簡単な事だ
これは太陽をバックにして、山なりボールを投げるとバッターはまずボールを目で追うので太陽と重なるようにすれば…
でもこれ、少しでも太陽と重なる時間が遅れると効果無いんだな
「なぁ赤井!教えてくれ!頼む!」
「自分で考えなさい」
あんなの人に教える代物でない、恥ずかしいぞ
「おい赤井〜!」
俺は嘆いている佐伯をほっといて、教室に向かった…
全く!野球部が弱い訳が分かった
佐伯かストレートしか投げれないからだ
ストレートしか投げれない高校球児なんてそうそういないって言うか、絶対いないだろ
でもストレートだけで勝てるんだろうか?
むしろストレートの方が魔球じゃないのか?
そんな感じで頭の中を整理して、クラスに戻り授業を受けた
「眠いなぁ…」
教室に着くなり、机に突っ伏して睡眠をむさぼった
…………
………
……
「赤井っ!」
誰だよ…!ちょうどいい感じになってたのに…
「なんだ…、パワプロ君ではないか…」
「なに寝ぼけてんだよ〜!それより完成したんだよ!」
「プラモかぁ〜、良かったな」
「魔球だよ!ま・き・ゅ・う!」
目を輝かせているな…
玩具買ってもらったガキかよ…
「仕方ないな…受けるよ…」
渋々とグランドにでる
「一球だけだぞ!」
「いくぞ〜」
大きく振りかぶって
投げた!
その時だった
俺は何かの衝撃と共に吹き飛ばされた…
「いってぇ…!?」
なんと俺のミットにボールが入っていた
球を見てなかったわけでない
球が見えなかった…
「フフフ…、これが俺の『ウルトラスペシャルダイナミック(中略)サンダーボール』だぁ!」
一つ言っておきたいことがあった
名前聞くのに30秒かかったぞ
「待て!何だよそれ!」
「フフフ…!教えないぞ」
いや…投げ方とかじゃなくて…
なんでナックルボールみたいに揺れてストレート投げれるんだ…
「じゃあ〜もう一回な」
と言って佐伯は振りかぶって投げた
今度はボールを見逃さない…
佐伯の投げたボールは凄い音をたてながら、左右に激しく揺れている…
ストレートと変わらないスピードだ
「ここからどうな…!?」
なんとストレートと同じスピードで球が落ちたのだ…
ホームベースの手前で…
つまりさっきの衝撃はワンバンボールの衝撃だったのだ
俺は無論それに反応出来ずに顔面にボールが…
ガーン
その場に俺はたおれこんでしまった
…………
「うわっ!」
…………
ボールが当たった部分を確かめる
だがアザ一つ無い
どうやら俺は夢を見ていたらしい
「実にいやな夢だった…」
周りを見ると誰もいない
時計を見ると
「16時48分」
と示していた
下校時間になっていたのか?
光に悪いことしたな
昼飯の約束忘れていた
まぁいいか…
「つーかこのクラス、誰一人として俺のこと起こさなかったんだ?」
疑問を抱えつつ、今日も一日が終わった
続く