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35歳の俺が上司ざまぁするまでの物語  作者: VANRI


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病み上がりの新たな課題

「ひっでぇ顔……」


 鏡で自分の顔を見て思わず呟いてしまう。

二日間寝込んだ後の朝はこんなもんか。

 髭は雑に生えまくり、頬も少し痩けたような。

目が窪んでる? 口の中が気持ち悪い。

 熱が下がっても病み上がりは中々しんどい。

年々回復力が弱まっているような気もする。


 スーツに着替え鞄を持った時に思い出した。

そういえば電話鳴ってなかったっけ。


 『着信:真田所長』


 え!? 今まで掛かってきた事ないよな?

間違い電話の可能性ない?

 もういいや、考えるの面倒だし見なかったことにしよう。


 朝から嫌な名前見て気分悪いわ……



――――――




 デスクワーク中に社用携帯が鳴る。


『着信:真田所長』


 うわ……間違いじゃなかったんだ。


「お疲れさまです……」

「お前のせいで疲れてんだよ!

 一回かけてるんだからかけ直して来いよ!」


 あ、しまった。反射的に切ってしまった。


 またすぐに携帯が鳴る。

電話をとると直ぐに大声。

「何切ってんだよお前!

 こっちが話してるだろうが!!」


 そうだよな、怒るよな。

ギャーギャー喚いて元気だな。

こっちはそんな元気もねえわ。


「すみません、電波が悪かったみたいで……」

「嘘つくな!! 営業所にいるじゃないか!!」


 ……え?


 立ち上がり辺りを見回すと、営業所入口に携帯を耳にあててこちらを睨む真田の姿が。


 あらら、バレちゃった。


 今日は確か高橋は所長会議で本部に……

あれ? じゃあなんでこいつはここに?


 とりあえずうるさいので所長室に通す。

真田は荒々しくソファに座った。


 あー、そういうとこ似てるね、白井に。


「お前が電話に出ないから、わざわざ来てやったんだよ! 今日は……」

俺が座るのも待たず話し始めたので、話を遮る。

「ちょっと待ってください。真田所長って何歳ですか?」

「え? 俺? 33だけどそれが何?」

眉間に皺を寄せた顔を向けられる。


「あーわかった。じゃ俺のが先輩な。

もう敬語使わねえから」


 俺は基本的に他の営業所の人には敬語で接する。

年下でも関係ない。社会人として普通のこと。

 だけど、こういう敬語が使えない奴は別だ。


「別にいいけど……」

向こうも敬語じゃないので、拒否権はないだろう。


「今日は所長会議だろ? 何で行ってねえの?」

「それは……」

目を逸らされる。


 何だ? 何で言葉に詰まってる?


「降ろされたんだよ……」

あまりにも小さい声なので聞き取りづらい。


「は?」

「だから!! 所長を辞めさせられたんだよ!!

売上低かったから!! 今は副所長だ!!」


「え? そうなんだ。全然知らなかった。

じゃあ今所長は誰が……」


「如月がやってる」


 まあ順番で行けば妥当だな。

だいたい繰り上げでいくから。


「そっか、それで無茶苦茶な営業を指示してたんだな、売上上げるため」

「違う」

真田は下を向いたまま答える。


「え? 俺たちの客とろうとしたり、他の会社からとったりしてたよな?」

「あれを指示したのは俺じゃない。

少し前から所長業務を外されてたから」


 真田が顔を上げ、俺の目をしっかりと捉える。


「あれを指示したのは如月だ」


「如月さんが……?」


 あんな可愛らしい笑顔の……

いや、可愛さは今関係ない。


「あいつは手段選ばねえんだよ。

前から薄々思ってたけど、所長になったら一気にやりやがった」


「見た目じゃわかんねーな……」



「それでだ」

真田が姿勢を整え、資料を出し始める。

「今度、そこの大通りのビルにオフィスが入るんだが、大口の契約がとれそうなんだ」

「へー良かったじゃん」

「それが良くねえんだよ!

 うちの営業所だけじゃ台数が多いから対応出来ないだろうから、他の営業所と一緒に契約ならいいって言われて、ここと一緒にやれないかと思って持ってきたんだよ」


 オフィスの資料と売上の見積もりを手渡される。

「悪い話じゃないだろう?」


「……そうだな。だいぶデカい取引になりそうだな。

取り分は5:5か?」


「それなんだが……6:4とかでお願い出来ないか……」

今まで見せたことのない弱気な顔になり、言いにくそうに言う。

「なんで?」


「今回ので個人売上額を上げて所長に戻りたいんだ……」

「へー出世欲とか? 給料だいぶ下がった?」


「違う! 給料や地位の話じゃない!!

如月の好き勝手にやられたら会社の評判が落ちるだろ!

 人のテリトリーにまで踏み込んで。

 社内だけでなく社外からも信用されなくなってしまう!」


 こいつ意外と仕事のこと考えてるのか……

ただのギャーギャーうるさい奴だと思ってた。


「3:7でもいいよ」

「は? なんで?」

「元の額が大きいから3でも十分売り上げになるし、俺たちそこまで売上にこだわってないし。

 まあ、高橋にも確認するけど、同じ意見だと思う」


「そういう所がムカつくんだよ!!」

勢いよく立ち上がる真田。

俺は驚いてそれを見上げる。

「……え?」


 お礼言われるかと思ったらブチギレ?




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