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35歳の俺が上司ざまぁするまでの物語  作者: VANRI


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残業取り消し

「お前の残業全部取り消しらしいよ」


「は……?」


 喫煙所で同期の高橋に言われた言葉が信じられず、火をつけたタバコを落としそうになる。

 同期だが営業所の副所長のため、上の話がよく入って来るのでコイツからいろんな情報が聞ける。


「お前さ、先月残業してただろ? 結構長く」

「してたけど……急ぎで資料作らないと間に合わなかったし……それが?」


 煙を吐きながら高橋が答える。

「誰もいない時間だっただろ?

 だから証明する奴がいないから、してなかったことにするらしい」

「はぁっ!?」


 そんな事で無かったことにされるなら、毎回残業は誰かとしなければならなくなる。


「また俺だけだろ」

溜め息と共に言葉が出てくる。


 所長には何かと嫌がらせを受けており、他の社員とは別の扱いを受けることがあった。他の社員のミスを俺のせいにされたり、それが俺に無関係だとわかっていたとしても責めてくる。


「お前何かとやられてるもんな……」

「副所長なんだから何とか出来ないのかよ……」

弱々しい声で言ってみるが、


「所長が法律だから無理だな」と、あっけなく却下される。


 タバコを吸う気もなくなったので自然と火を消した。


 どうする……

 うちの会社はブラックに近いから基本給は13万。

それに手当を付け残業代を合わせて35万位にはなる。 

残業代が高めに設定されているのが救いだった。

 まあ基本給が低いのでボーナスは激安だが。


 残業代で5万以上にはなる。これが全部消されるなんて……

 会社にいた証明がないからって……


 待てよ。証明があればいいって事だよな……

確か記録を保存したから、その保存時間がパソコン上に残っているはず。それを確認するか……


 他に証明出来る物と言えば、スマホの位置情報か。

これに履歴があるから……とスマホを見るが履歴が残っていない。

 そうだ、位置情報オンにしてると電池の減りが早いからって嫁にオフにされたんだった。


 給料下がるって言ったら嫁がどんな顔をするかわかったもんじゃない。

 35歳の今でまだ家のローンが30年は残ってるし、5歳の娘だってこれから金がかかってくるだろう。


 まあとりあえずパソコンの保存記録を見てみるか。


 うなだれながら自分のデスクへ戻りパソコンを確認する。


 クソッ……全部上書き保存されてる。

……いや、あと一つ滅多に使わないフォルダに保存したよな……。

 あった!!これは残業していた時間のままだ!

スマホで写真を撮っておく。

 これで交渉出来るだろう。確実にいた証拠になるし。


 すると、高橋から声が掛かる。

所長が残業について話があると言っていると小声で教えられる。


「お疲れ様です……」


 入ると同時に座っている所長から睨み上げられる。

 ハイハイ、いつものこといつものこと。今さらこれに関してはどうもない。


 所長は40代後半、小太りで身長低め。

少し高めの俺は立って並ぶといつも見下ろす形になる。それも気に入らないようだ。しかもいつも臭い。加齢臭か?これで嫁がいるんだから、嫁は男を見る目がない女だということが良くわかる。


 高橋が言ったとおりの内容を言われる。それ以上もそれ以下でもない。高橋の情報がそれだけ正確だという事だ。


 所長が一通り話し終わるのを待ってスマホを取り出す。

「これを見てください。保存した記録が残ってます。この時間にいたという証明に……」

「言い訳はいらん!」


 ……は?言い訳とは違うだろ。


「お前が残業時間と書いていた時間に、会社外で見かけたという情報もあるんだ!残業代を不正に取得しようとしやがって!!」


 ……また嘘かよ。コイツは頻繁に嘘をつくことで有名だ。社員の八割は相手にしていない。しかし、信じる二割がいるから困ったものだ。

 タイムカードのない職場はこういう時に不利なのだと思い知らされるが気づいた所でどうにもならない。


 いや待てよ……


「会社の出入口に防犯カメラがありますよね!?

それを見てもらえればわかります!何時に会社を出たか!」

「わざわざお前より忙しい俺にそれを見に行けって言うのか!?だいたい残っていたとしても、ちゃんと仕事していたか証明出来ないだろう!」


 あー……確かに。職場に残ってダラダラ話すやつもいるしな。と、ふと冷静になる。


 が。

「でもちゃんと見てください!一日の話じゃないんだ!何日も残業したのが無かったことになるなんてあり得ない!!こっちの意見も聞かないで一方的になんてあんまりだろ!!」

つい興奮して声を荒げてしまう。


「上司に向かってなんだその口の利き方は!!

さっさと出て行け!!」



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