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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第九十三話:用心深さ

「ハク・・あなたをアリスに渡したくはないんだけど・・。」

「お嬢様。」

「あなたの気持ちも分かるから・・私はあなたが帰ってくるのを待ってるわ。でも危険なことがあったら早めにこちらへ戻ってくるのよ。」


 シンシアは笑顔を作り、ハクへ伝えた。ハクは笑顔でシンシアに答えた。


「はい!お任せください!必ず有益な情報を持ってきます!」


 ルイザは2人のやり取りを見ながらアリス側の情報をハクに伝えることにした。


「そしたらハク・・よろしくね。私の方からヨハスに伝えておくわ。・・ちなみにアリス側に今、メイドのサキという子がいるんだけど、その子はこちらの味方だから。そこは安心して。」

「え、そんな人がいるんですか?」

「そうなの・・これもアリスのわがままだったんだけどね・・。」


 ルイザは少し遠い目をしながら答えた。ハクはにっこり笑って言った。


「先輩がいるなら安心です!サキ先輩ですね!」

「人前でサキ先輩って呼ばないようにね!」

「ハイ!」


 ハクは笑顔で答えた。



 その頃アリスはヨハスから話を聞いて驚いていた。


「え!もうルイザたちにハクのこと言っちゃったの!?」

「そうだよ、アリス。君がここで快適に過ごしてもらうためにはなるべく要望を事細かに伝えていったほうが良いかなって思って。」


 それを一緒に聞いていたマリサは顔色を悪くし、ヨハスに苦言を伝えた。


「ねえヨハス・・人をこちらに入れる際には私にも相談をしてほしいわ。私、そのハクという護衛騎士のことを知らないし・・。意外とサキというメイドも感が鋭いのか罠には引っかからなさそうなのよ・・。今苦労しているの。」


 マリサはサキを陥れるため、サキから情報を仕入れるために色々細工をしていたが、それをするりと避けられることが多いため苦慮していた。彼女の野生の勘に負けていたのだ。加えて新しいルイザ側の人間をこちらに入れるとなると、どう対応するべきか考えることができていなかった。


(しかもメイドではなく護衛騎士なんて・・増々やりにくいじゃない!サキだけでも大変なのに!)


 マリサに苦情を言われたヨハスはムッとした顔をする。喜ばれるようなことをしたのになぜ咎められなければならないのかわからなかった。ヨハスは大きなため息をついて話し出す。


「はあ、どうしてだいマリサ・・そんなことを言わないでよ。僕も僕なりに考えてやったんだ。君だって、アリスの喜ぶ顔が見たいだろ?これは僕の親心なんだよ。」

「でも・・。」


 マリサは困った表情を浮かべながら頭の中で考えていた。

 アリスから元々ハクという人物について簡単には聞いてはいたが、どこか《《突っかかり》》を感じていたのだ。そんな違和感を払拭するため、ハクを密かに調べようとしていた最中だった。


(調べ始めてもいないのに・・この人・・。)


 マリサは慎重に事を運びたいタイプだったので、思い付きで動くヨハスが気に入らなかった。

 一方アリスも複雑な心境だった。恋心からハクを護衛騎士にしたい気持ちはあったものの、ヨハスにはルイザを弱らせてからにしようと伝えていたはずだった。それにもかかわらず、ヨハスが勝手に行動しているとは思っていなかったからだ。


(ハクが私の所に来てくれたら嬉しいけど・・!お父様にはルイザへ毒を盛ってからって伝えていたのに・・!)


 モヤモヤした気持ちをどう表現していいか分からず、考え込んでいるとマリサと話をしていたヨハスが少し焦った様子でアリスを見た。


「なあ、アリスだって嬉しいだろ?アリスが希望したんじゃないか!ルイザのことについては時間がかかるかもしれないし・・君のためを思って早めに君の要望を伝えたんだ。これは、父として頑張ったと思うんだが・・。」


 急に話しかけられたアリスはヨハスを見た。ヨハスはどうやらマリサがあまりにもそっけないこと、誰でも良いから感謝の気持ちを欲しがっているように見えた。


(まあ仕方ない・・お父様は私の命綱でもあるし・・。良い顔はしておくべきよね。)


 アリスは若干呆れつつもヨハスに抱き着いた。


「アリス、少し先だと思っていたけど・・ハクが来てくれるなら嬉しい!お父様大好き!」

「はっはっは。そうだろうそうだろう。」


 抱き着かれたヨハスは嬉しそうに笑っていたが、アリスは心の中で砂を吐いていた。


(うげえ・・お父様ちょっとめんどくさい・・。)


 マリサは2人の様子を傍目に、自分の勘が外れることを願っていた。気になると思ったら調べて、不安点を解消しながらここまでやって来た。そのおかげか、ここまで特に命の危険にさらされることは無かった。

 その用心深さが自分にとって大切であるとこの数年間で分かっていた。だが、今回はその不安が解消されていないままやって行かなくてはいけないという、マリサにとって恐ろしい現実が待っていることが怖かった。


(本当に、どうか私の勘が外れますように。ハクという人物がアリスの護衛騎士にならず、今のままで作戦を実行できますように。)


 マリサは心の中で祈ったが、それは外れることとなった。

 後日、ルイザからヨハスにハクがアリスの護衛騎士になることが決まったことが伝えられた。



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