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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第九十二話:ハクの思い

「でも、考えてみたらこれはチャンスかもしれない。」

「え?」


 シンシアは怒りを鎮めた後に、ボソッと話し始めた。


「だって、ハクをアリスの元に送り出すことで情報を新しい情報を得ることができるでしょう?正直最近、『前』と違うことが多くなってきているから・・。」

「そう・・確かにそうかもしれないわね。」


 シンシアは頷いた。


「でもとりあえず、ハクに今日のことを話してみよう、まずはそれからね。」

「そうね。お母様。」


 ルイザは騎士団に連絡し、ハクを呼び出した。




「ハク、訓練中にごめんね。来てくれてありがとう。」

「いえ。大丈夫ですよ!寧ろ呼んでもらい光栄です!」


 ハクは訓練着のまま急いで走ってきてくれたようで、少し汗をかいていた。ルイザに部屋に入ってくると敬礼を取り、笑顔で挨拶する。その後、ルイザの後ろに座っているシンシアが目に入った。


「あれ?お嬢様もいるんですね。どうしたんですか?」

「ちょっとね・・。」

「とりあえず、ハクにも今の状況を話しましょう。」


 ハクを目の前にすると複雑な気持ちになるのか、苦笑いをしながら答えた。その表情に何かを感じつつもハクはルイザを見た。


「ハク、ここに座って。」

「?」


 ハクは疑問に思いながらも、促されるままに椅子へ座らされる。そしてルイザからの話を聞いた。


「ハク、実はね・・・」




「え!!私をアリス様の護衛騎士にしろって言われたんですか!?」

「そうなの、驚いたでしょ。まさかヨハスとアリスから指名されるなんて・・。」

「はい・・本当に驚きです。なんで私ですかね?私が暗殺者だったことを気づいて殺そうしているんですかね・・?」


 ハクは驚きと自分の存在がバレたのではないかと不安になっていた。

 その様子を見ていたシンシアは口を開いた。


「多分だけど・・あなたのことをアリスが気に入ったんだと思うの。」

「え?」


 ハクは本当に分からないと言った様子でシンシアの方を見る。シンシアはハクに思い出させるように話し始めた。


「乗馬の練習していた時を思い出して。あの時アリスから視線をずっと感じていたでしょう?」

「え?ま、まあ確かに。」

「そしてあなた、名前を聞かれたでしょう?」

「え。ああ、そういえば確かに。」


 ハクはシンシアに言われることを1つ1つ思い出しながら返答する。彼女はよく()()()()を見に木陰からこちらを覗きに来ていた様子を思い出していた。


「でもあれはお嬢様を見に来ていたんでしょう?」

 

 ガバっとハクは顔を上げシンシアを見る。その表情を見てシンシアは呆れたように話し出した。


「バカね、名前を聞かれたって言うのは本当にあなたのことを気にしているからよ。・・あの子は基本、人の顔や名前何て覚えるタイプではないし。それこそ、平民を見下すようなタイプの人間だしね。そんな人があなたの名前を聞いて、乗馬の訓練中は食い入るように()()()を見ていた・・。そして今回あなたを自分の護衛騎士にしたいと言ってきた。それはまさしく・・」

「まさしく・・」


 ハクはごくっと生唾を飲み込んだ。


「あなたに恋に落ちた可能性があるということよ!」

「え、ええええ!!お・・俺!?!?う、嘘だろう!?た、タイプじゃない!!」

「ぷはは、タイプじゃないって!ちょっと笑わせないでよ!」

「だってお嬢様・・。」


 シンシアの話す内容に驚きを隠せず、つい本音を吐き出したハクに向かってシンシアは吹き出してしまった。ハクはうなだれた様子でシンシアに伝えた。


「俺・・あの子の護衛騎士にならなくちゃいけないんですかね・・。折角お嬢様の騎士になれたのに・・。最近仕事も楽しくて・・嬉しかったのに・・。」

「ハ、ハク・・・。」


 笑っていたシンシアはうなだれたハクの気を遣えなかったことを反省した。その時ルイザが口を開いた。


「ヨハスはあなたのことを覚えてなかったみたいなの。そして、ハク自身がシンシアの護衛騎士になりたいと言ったことについても伝えたわ。それでもあなたのことを騎士にしたいと言っていたから、一度ハクと話をするからと伝えて、部屋に戻したの。」

「ルイザ様・・。」

「・・あなたがアリスの護衛騎士になりたくないなら、私の方から伝えておくわ。ずっとシンシアの護衛騎士のままでいられる。」

「・・・」


 ハクはルイザを見つめた後、無言で考え始めた。そして考えていたことを話し始めた。


「あの!あの・・私はずっと考えていたんです。あの侯爵たちに一矢を報いれるのかって。でも思いつかなかった。でも今回、このチャンスは生かさなきゃいけないんじゃないかなって思って・・!」

「ハク・・。」


 ハクは手をぎゅっと握り決意を露わに話した。


「私にそういった復讐のチャンスをもらえるなら何でもしたいと思っていました。必要な情報などあればも密かに流せると思いますし、何かを企んでいたら未然に防げるかもしれません・・。お嬢様の護衛騎士を一時期辞めることになるのは心ぐるしいですが・・。」


 ハクはちらっとシンシアを見た。シンシアは正直ハクをアリスに渡したくは無かった。だが今の状況で大事なことは分かっていたのでハクを見て頷いた。


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