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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第八十話:アリスと辞令

「アリス、ようやく辞令が出たよ!待たせて悪かったね。」

「お父様ありがとう!」


 ()()事件が起こってから数日後、アリスの専属メイドとしてダスティン侯爵家からのメイド3人とサキ、計4人の辞令が出た。 

 その辞令が出るまでアリスは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()として過ごしていた為、部屋から出ることができなかった。


(ああ~やっとよ!やっとこの生活から脱することができるわ!外に出れる時が来たのね・・!嬉しいわ!)


 アリスは解放感で満たされていた。ヨハスを見て目を潤ませながら訴えた。


「お父様、アリスこの部屋でずっと過ごすの本当に辛かった!」

「そうだよね、ごめんね。でもこの期間を作らなければこちらの分が悪かったんだ。許してくれ。」

「ぶー。でもそれでアリスは辛い時間を1人で過ごすことになったのに!」

「ごめんごめん。本当に、アリスのおかげでここまで来てるんだ。それにほら、アリスの毒殺未遂事件があったからこちらの基盤を固めることができたんだし・・。辛い思いをさせたけど、これからは外に出れるからさ。」

「ふふ。まあいいわ!」


 ヨハスが一生懸命自分の機嫌を取ろうとしている姿に少し気分を良くしたアリスは、満足そうに笑った。だが本心では全く納得していなかった。


(何が基盤を固めることができただよ!結局一番厄介な女、シイナは死んでいないじゃないの!寧ろこっちの()()減っただけじゃない!)


 アリスは心の中で作戦失敗について苛ついていた。自分自身が行動を起こしたらもっと作戦通りに行けたのかもしれない、と閉じこもっている間ずっと思っていた。鬱憤が溜まっていた。


(早く・・次の作戦を開始したい・・!)


 早く外に出て、発散ができなかったこの鬱憤を何かで晴らしたかった。


(あ、そういえば・・!)


「ねえ、お父様、お母様。今度来るメイドは()()()の所のメイドと、クレアトン邸のメイドが来るのよね・・」

「そうだよ。」

「そのメイドを私が誘惑してこちら側に引き寄せることができたら・・もっといいよね?」


 ニヤっとアリスは歪んだ笑みで笑う。ヨハスも同じように笑った。


「さすがアリス・・分かってるね。そのつもりで彼女を引き入れたんだよ。最もらしい理由もつけたしね。それに彼女はルイザの側近メイドではないはずだから・・上手く使えばこっち側になれるはずだ。」

「アリス、そういうのうまいから、任せて!」


 アリスは満面の笑みで2人に話した。2人はその笑顔を見て満足そうに頷いた後、作戦を共有し始めた。


()()()の作戦もあるから・・丁度いいだろう。」

「え!アリスそういうの得意~!」

「そうねあなたは得意だわ!」


 クスクス笑いながら3人の時間は過ぎて行った。




「サキ、今日から辞令が出たんだけど・・。本当に良かった?」

「はい!シイナ様!心配しないでください!私に任せてください、必ず奴らの尻尾を掴んで見せます!」


 シイナはサキのことを心配していた。今まで基本的に裏側の対応に専念していたサキがスパイとして表舞台で行動するのが初めてであり、上司であるシイナとしては心から心配していた。


「あなたはいつも隠れてスパイ活動をしていたけど、今回は表に立つことになるわ。大丈夫?」

「はい!大丈夫です!」

「・・何かあれば必ず相談するのよ。」

「はい!」


 サキは笑顔で答えた。その笑顔を見ながら、シイナはため息をつき背中を押した。

「あなたの決意は分かった。気を付けて行ってらっしゃい。」

「はい!」


 シイナに背中を押されたサキは廊下へ出て行く。シイナに見せていた笑顔は消え、真剣な表情でアリスの部屋へと向かって行った。




 コンコンコン

 アリスの自室のドアをノックする音がする。中で宝石を見ていたアリスが返事をする。


「はぁい、どなた?」

「アリスお嬢様、私が見てきます。」


 専属メイドとして先に着いていた1人がサっとドアの方へ向かい、声をかける。


「お嬢様、メイドのサキが来ております。」

「待ってました!中に入れて。」

「はい。」

 

 メイドはドアを開け、サキをアリスの部屋へ招き入れる。

 サキは部屋の中へ数歩進み、挨拶をしようとした。その時アリスからサキへ声をかけた。


「初めまして・・?かなあ?私はアリスです。あなたが冤罪のことを証言したって聞いて、こんな勇気のあるメイドを側に置きたいってお父様に頼み込んだの・・。これからよろしくね?」

「・・こちらこそです。サキと申します。これから精一杯勤めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。」


 サキは礼をし、スっと顔を上げる。そこには歪んだ笑みを浮かべたアリスがこちらを見下すように立っていた。

 逆光で顔が暗く見え、サキにはアリスの顔が恐ろしい化け物のように見えた。


「ふふ。嬉しい。サキね。・・これからサキって呼ぶわ。」

「・・好きなように呼んでもらって構いません。」


 サキは声を振り絞りながら返答した。


(これからこの人を見て行かなくちゃいけないのか・・。)


 サキは小さく身震いをしながらアリスの所まで歩いて行った。

 

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