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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第七十八話:メイドの気持ち

「ルイザ様。サキを連れて来ました。」

「入って。」


 サキが緊張した様子でルイザの部屋の中に入ってくる。

 

「ルイザ様・・。」

「来てくれてありがとう、サキ。そして昨日はありがとう。証言してくれたおかげで、シイナは処罰から逃れることができたわ。」

「そっそんなことないです!」


 サキは慌てた様子で手を振るが、ルイザの表情を見て素直に礼を受け入れた。そんなサキを見てルイザは微笑んだ後、真剣な表情でヨハスから言われた提案を伝えた。


「え!私をアリス様のメイドにですか・・!?」

「そうなの・・。さっきヨハスがここに来てね。()()()()()()()()()()()()()()()()アリスの専属メイドにしたいって言いだして・・。」

「なるほど・・それは確かに私ですね・・。」


 サキは考え始めた。


「ヨハスを泳がせるために提案はOKを出すつもりではあったけど・・まさかサキを専属に欲しいと言ってくるとは思っていなかったから・・。ちょっと私も驚いていてね。どうしようか悩んではいるのよ。あなたの意見があれば教えてほしいと思って。」


 サキは何かを思いついたように手を挙げた。


「あの・・ルイザ様。これはチャンスではないですか?」

「え?」


 ルイザはサキの身の上を案じていたが、サキはそうではなかった。サキはこれをビッグチャンスだと考えていた。


「私という()()()()()()()()()()()()がその中に入ることで、何かしらできることがあるかもしれません。」

「・・・」


 ルイザはサキが話していることを頷きながら聞いていた。サキは話をどんどん進めていく。


「私、昨日怖かったです。シイナ様が殺されるかもしれないと思いました。でも私は

スパイの役割であり、表舞台には立っていません。そのためシイナ様のために時間を作ることすらできませんでした・・。あんな思いを申したくないんです・・!私を使ってください!」


 シイナはサキを見つめた。サキはシイナを見ながら、悲しそうな表情をしたが、ルイザを見て真剣な表情で訴えた。


「サキ・・」

「何ができるかと言われたら、まだ私も考えられてはいないですが。・・彼らの中で不協和音を作り出せるかもしれません。これはチャンスです!私が内側から瓦解させます!」


 サキの真剣な表情を見て、ルイザも頷いた。


「サキ、分かったわ。辞令が近日中には出すから、その時はよろしくね。」

「はい!」


 サキは笑顔で答えた。


 サキが退室した後、ルイザとシイナはアタンとディーンが治療を受けている医務室へ移動した。


「アタン調子はどう?」

「おおルイザ様!シイナさん!俺は大丈夫です!肩がかすっただけですから!・・でもディーンが・・。」


 アタンは医務室で肩の包帯を巻きなおしてもらった後だった。もう動かしても良いようで、グルグル腕を回している。後ろで医者が「そんな風には回さないで・・」と言っているがアタンには聞こえていないようだった。

 アタンはディーンが寝ているベッドを見る。そこには苦悶の表情を浮かべ寝ているディーンの姿があった。

 ルイザとシイナの2人は医師にディーンの状況を訪ねた。


「ディーンの状態はどう?」

「はい。背中の傷が大きく深かったので最初はどうなるかと思いましたが、一命はとりとめました。もう少し遅くに運び込まれていたら・・危うかったかもしれませんが・・。後は傷が塞がるまで安静です。発熱が出たら都度対応していくしかありません。」

「そう・・」


 ルイザはディーンの姿を見た。玉粒の汗をたくさんかいており、時折うめき声が聞こえていた。

 ルイザがその近くに寄ろうとすると、シイナがサッとディーンの側に駆け寄った。


「ディーンさん!」

「・・・」


 シイナがそっとディーンの顔を触る。ディーンの表情は変わらず、苦しそうだった。シイナはベッドの隣の棚の上にあるタオルを見て医者へ話しかけた。


「これで汗を拭いてもいいですか?」

「もちろんです。お願いします。」


 シイナはベッドサイドに座り、心配そうにディーンの顔に流れる汗をぬぐい続けた。その二人の様子を見て、なんとなくルイザは気づき始めた。

 

(・・あれ?もしかして・・そういう感じ・・?)


 ルイザは少しシイナの恋愛関係を考えながら、後ろで腕を振り続けているアタンに声をかけた。


「アタン、昨日は本当にありがとう。アタンたちが時間を稼いでいなかったら、シイナは今ここにはもういなかったかもしれないわ・・。本当に助かった。ありがとう。」

「ルイザ様・・そう言ってもらえると助かります・・。」


 アタンはニコッと笑った。その笑顔に癒されながらも、ルイザは話を続けた。


「昨日、メイドを切ったあの騎士たちは・・本当に私たちクレアトン家の騎士?いくら何でも首を落とすなんて・・。」

「・・俺も疑問に思っていました。シイナさんを助けるために時間を稼ぐときは、もうその騎士にいちゃもんをつけるしかないと思ってヨハス様に声をかけたのですが・・。本当にこの騎士たちのことを俺も、ディーンも知らなかったんです。見たことがありませんでした。」

「・・それってつまり・・。」

「そうです。ヨハス様は、ルイザ様の了承なしにどこからか騎士を屋敷に入れているんだと思います。」


 アタンとルイザの間に沈黙が流れた。

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