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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第七十話:剣

「シイナ。」


 ヨハスはマリサを筆頭に何人かのメイド達と騎士を連れて現れた。

 名前を呼ばれたシイナは目線をヨハスに向けた。


「君がしたことは分かっているんだ。こうして君以外の使用人たちからの証言も得ている。・・君、話をしてくれないか。」


 君と呼ばれたメイドは少し躊躇いながらも話し出す。


「・・はい。私は今日の紅茶の準備をメイド長としていました・・。でもアリスお嬢様に私は呼ばれたので一度退席し、メイド長1()()にその場を任せて離れた時間があります。その間に・・毒薬を入れたのではないかと思っています・・。」


 メイドはシイナをチラチラと見ながら話す。


(その時、あなたではなくマリサが呼ばれたでしょう・・私たちは3()()で紅茶を準備していて、呼び出されたのはマリサ。あなたは私と2()()で一緒に紅茶の準備をしていた・・!私は1人で準備したわけではないのに・・何も発言ができない・・)

 

 シイナは嘘をでっち上げられて悔しかった。だが口は塞がれており何も言えなかった。この場にシイナの味方は誰もいなかった。

 その証言を聞いて満足そうにしたヨハスはシイナを見て言い放つ。


「この証言があったので、さっきメイド達と一緒に君の部屋を探させてもらったんだよ。そしたら()()があったんだ。」


 ヨハスは屈んでシイナの目の前に薬を取り出す。それは紫色をした有名な毒薬だった。

 シイナは目を見張った。ここでは初めて見たものだったからだ。

 その反応を見て少し笑いながらヨハスは続ける。


「この毒薬が君の部屋から出てきたということは・・君が本当にアリスに毒を盛ろうとしていたことが分かる。君が今までルイザに尽くしてきたことは分かっているが、これは見過ごせないよ・・。」

「・・・」

「君は・・主である、クレアトン家の子供を殺そうとした殺人罪に処すことにする。」

「!」


 シイナにとって言いたいことは沢山あったが話すことのできない状況で悔しかった。1つの油断、ミスで自分は死ぬことになるのかと思うとやるせなかった。ルイザに申し訳なく思った。


「・・ルイザを待つ必要もないだろう。こんなに証言が集まっているのだから・・。」

 

 ヨハスは後ろに控えているマリサを見る。マリサは少し微笑みつつシイナを見下すように見ながらゆっくり頷いた。


「シイナ様・・これから私があなたの役割を担わせていただきます。お任せください。」


 マリサはシイナを安心させるような言い方で話しかけた。シイナは腹の底からイラっとしたが、止めることはできなかった。


「それでは騎士よ、よろしく頼む。」

「はい。」


 ヨハスの前に騎士が出てくる。剣を鞘から抜いて、シイナの首に刃先を向けた。

 シイナは目を瞑った。冤罪の可能性もあるのに、早々と自分を殺そうとしている相手方に腹は立ったが、今の自分に何もできないと思い、覚悟を決めた。

 その時だった。


「あれっどうしたんですか皆さんこんなところで!」

「!!」


 アタンとディーンが地下牢に入ってきた。


「どうしてここに!?」

「いや、なんか騒動があったって聞いたから護衛騎士として見過ごせないと思って。ちょっと見に来たんです・・。これは一体?何かあったんでしょうか?」


 ヨハスは2人の登場に驚き声を挙げる。2人はしらばっくれながら近づいてきた。


「あれ?シイナさん?どうしてこんなところにいるんですか・・?え、何かあったんですか?とりあえず、ルイザ様に報告の義務があるので教えていただけたらありがたいのですが・・。」


 ディーンは声を低くしながら尋ねる。


「うるさい!お前が知るところではないだろう!ルイザがいない今、僕が伯爵家当主代理だ!」


 ヨハスは大声で反論する。がそれをいなしながら話を続ける。


「いやー、俺等クレアトン家騎士団の長と副団長ですし・・。もうすぐルイザ様も帰ってこられるじゃないですか。その時に説明ができないと困りますし・・。」


 ディーンは薄目をしながら剣を抜いている騎士を見る。騎士はビクっと震えた。


「ヨハス様、すみません。俺は騎士団長なのですが・・・今剣を抜いてる奴を私は存じ上げなくて・・。一度この者と話をしたいのですが・・。違法な奴を騎士団に入れたとなったら、私の首が飛びかねますので・・。」


 アタンは頭をポリポリ掻きながら剣を抜いている騎士を指さす。騎士は更に怯えたように震えた。アタンの尋ね方は一見緩いが、身体から何か恐ろしい雰囲気を発しているように見えたからだ。


「ねえ、君。名前は何て言うの?君のこと俺知らないんだけど・・。最近の人なの?そんなこと、ルイザ様に聞いたことないんだけど・・まず剣を鞘に納めてくれないかな?話を聞かせてもらってからでもいいんじゃない?」


 アタンは騎士に尋ね始める。


「はっ何を急に!騎士団長!この者は違法者ではなかろう!お前、剣を下げるな!」


 ヨハスは止めようとするが、騎士は違った。

 

(この剣を納めなければ、俺が殺される・・)


 実際、アタンの手元は剣が触れる位置にあり、騎士が剣でシイナを切ろうとする前にアタンがその剣を持ってる腕を落とすつもりだった。


「ね。剣を下ろして。」

「・・・」

 

 騎士は無言で剣を下ろした。


「おい!何おろしてんだ!」


 ヨハスは叫んだが、騎士は微動だにできなかった。

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