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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第六十話:社交

 周りがざわついているのは分かっていた。ルイザは皇后へ視線を戻し、再度礼をした。


「それでは皇后様。失礼します。」

「ああ。・・また後でな。」


 にっこりと皇后は笑う。その表情を見た後、ルイザは隣にいるシンシアを見た。


「シンシア、行きましょう。」

「はい。お母様。」


 2人は手を繋いで皇后への挨拶の列から抜けた。


「シンシアこれから他の貴族たちが挨拶に来ると思うの。その時私がみんなにあなたを紹介しても良いかしら?」

「はい!嬉しいです!」


 2人で話していると、ワッと2人は貴婦人の方々から囲まれた。中にはシンシアと同い年くらいの子供を連れている人もいる。


「クレアトン伯爵様、初めまして。私は子爵家のリリアと申します!あの!私にもそのブティックを紹介してください!」

「こんばんは。こちらに来られた時からずっと見ていました。お二人のドレスがすごくかわいくて!!私にも教えてください。お願いします!」


 皆同じような内容を必死の表情で尋ねてくる。


(この中に怪しい貴族はいなさそうね・・。)


 ルイザがそう思いながら、皆の質問の回答をする前に、シンシアがとても良い笑顔で答えた。


「私たちの領地の職人なんです。キリエっていうんですけど・・お母様、今度紹介しても良いですか?」


 まさかシンシアが先にこたえるとは思っていなかったため、ルイザは度肝を抜かれた。気持ちを切り替えて、味方を作るために媚を売り始めた。


「んっええ。良いわよ。・・そうですね。キリエは1人しかいませんから・・。良ければ今度クレアトン家でお茶会でもどうでしょうか?・・恥ずかしながら私はあまり社交界に出ていなかったのでこれから仲良くしてもらえると嬉しいです。」


 ルイザは上目遣いで他の貴族の方を見る。

 ルイザはあまり自覚は無かったが、銀髪とエメラルドの瞳はとても神秘的で綺麗だと評判だった。お近づきになりたいけど、なれない・・孤高な存在。そんなルイザに誘われた貴族たちは無言で何回も頷いた。


「それに、シンシアも社交の場は初めてでして・・良い友達になれたら嬉しいです。ね、シンシア?」

「はい!嬉しいです!」


 シンシアは良い笑顔で頷いた。ルイザに似たシンシアは、神秘的な瞳と髪の毛だけではなく愛嬌も相まって貴族たちは胸を打たれた。


「「「「きゅん」」」」

 

 心の音が一部の人間たちだけに聞こえた気がした。


 2人が色々な貴族と話していると、暗い紫色の髪の毛も群青色の瞳を持つ男が近寄ってきた。


「こんにちは。お久しぶりですね。クレアトン伯爵。」

「あ、こちらこそお久しぶりです。デレクシアス辺境伯。」

「そしてこちらが伯爵のお嬢様ですか。初めまして。パトリック・デレクシアスと申します。」

「初めまして。シンシア・クレアトンと申します。」


 シンシアが綺麗なカーテンシーを見せる。辺境伯はその姿を見てにっこりと笑った。


「行儀のよいお嬢様ですね。見た目はルイザそっくりですが、中身もそうなんですか?」


 シンシアは急に辺境伯が母を『ルイザ』と呼び捨てにしたのでびっくりした。だがルイザは特に驚いた様子もなく話を続ける。


「ああ。そうなんです。騎士と一緒に訓練もしたり、領地経営の話もしています。かわいいでしょ~。」

 

 ルイザはシンシアを見る。シンシアは目を丸くして自分を見ていたので一瞬なぜだろうと疑問に思った。だが名前呼びのことかとすぐ気づき、話した。


「シンシア。この方は昔一緒に訓練をしていた人でね、今は辺境伯だけど、現王の弟なんだ・・。昔から腕は立っていたけど本人の希望で辺境伯領に行って、領主になっちゃったから驚きだよね。」

「えっ!そ、そうなんですね・・」


(知らなかった!『前』は辺境伯はどうしてたかしら・・。隣国と争っていたかしら?私に関係がなかった気がする)


 シンシアは驚きを隠せなかった。そんなシンシアを見たパトリックは笑顔で話しかけた。


「びっくりさせちゃったかな?ごめんね。私は、王族からしたら特殊な人物なんだ。ルイザともまあ友人みたいなもんだし。」

「この人が荒れ果てた辺境領に行って荒くれ者たちをしごきあげ、統率して今の辺境伯領にしたんだよ。すごい方なんだ。」


 2人は笑いながら話していた。

 パトリックはシンシアを見ながら言った。


「そんな褒められることはしていないんだけどね。ただ全員倒しただけなんだけどね

。ははっ」


 パトリックは照れながら話し出した。


「それにしても君は堂々としていて良いね。・・私には息子がいて、今日も来ているんだけど。皇后と挨拶をしてから恥ずかしくなったのか、どこかに行ってしまったんだ。息子も君みたいに堂々としてくれたら嬉しいんだけど・・。」


 シンシアはスッと手を挙げて言った。

 

「・・私、探してきましょうか?同い年くらいなら、友達になれるかもしれないし。」

「良いのかい?ルイザに似ている君なら、きっとあの子を変えてくれるんじゃないかって期待してるんだ。」

「?期待に沿えないかもしれませんが、行ってみます!」


 シンシアは走り出した。

 ルイザはパトリックを見た。パトリックはシンシアを見ながら言った。


「あの子が俺の息子の嫁に来たらなあ・・。」


 ルイザはパトリックの足を蹴った。

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