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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第二章:春

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第56話:2回目の正直

 翌日、東から昇った太陽がクレアトン伯爵家を明るく照らす。木々をキラキラと輝かせてくれる、そんな日の朝。

 今日は絶好のガーデンパーティ日和だった。


「シンシア!とっても素敵!一緒に作った時よりも可愛くなっているわ!どうしたの!」

「えへへ。仕立て屋のキリエが、かわいくしてくれたの・・。」

「とーっても似合っているわ!!!」


 ルイザはシンシアに抱き着く。シンシアは少し照れながらも、されるがままに抱き着かれていた。

 ルイザは本日のガーデンパーティに行く前までに仕事を終わらし、皇后に報告するための準備と多忙だったため少し目の下に隈ができていた。


「お母様・・昨日は忙しかったの?」

「ええ、うん、まあ少し・・ね。大丈夫よ。それよりも今日は楽しみね。」

「うん!」


 ドレスアップするためルイザは一度シンシアの元を離れた。シンシアもヘアセットのために自室へ戻った。



(なんで、あの子、あのドレスを着ているの・・?しかも前より可愛くなってる)


 アリスは2人の様子をこっそりと廊下の角から見ていた。昨日ドレスを破いたので、今日は着て行く服がないとルイザに泣きつくのではと推測し、わざわざ見に来たのだ。でも予想は外れ、彼女は昨日よりも可愛くなったドレスを身に着けていた。


(なんなのよ・・。腹が立つわ。これじゃ1つも作戦は成功していないじゃないの。)


 アリスは歯ぎしりをしながら、昨日ヨハスたちと話した内容を思い出していた。



 アリスは自分が起こした行動を悪いとは思っていなかったし、それはヨハス、マリサも同じ思いだった。元々あの方に言われていた作戦の内容に、自分がクレアトン伯爵邸の娘に成り代わるためにはシンシアを目立たせるわけにはいかず、寧ろ何としてでも彼女の評判を落とす必要があった。

 そのため昨日は行動を起こし成果も得ていた為満足していた。


(それなのに・・あれじゃ今日、行ってしまうわ。どうしよう。)


 あんなに褒められた手前、作戦が成功できていないのは悔しい。アリスは苛立ちを隠せないまま、部屋に戻った。


(どうするべきか。昨日はドレスだけを破ったところで何もうまくいかなかった。・・そうだ!)


 アリスはひらめいた。ドレスを破っても意味がないなら、シンシア、彼女自身を傷つければ今日のパーティはいけないだろうと。

 そのためには彼女が準備をし終えた後の行動が重要であるが分かったアリスはマリサを呼んだ。


「お母様、私昨日の作戦失敗してしまったの。彼女、あのドレスをさらに可愛くして着ていた・・。あれじゃ、パーティにも行ってしまうし、皇后の目に留まってしまう。それじゃいけないわ。」

「そうね。あの方の指示とは違うわね。どうしようかしら。」

「お母様、アリス考えたの。協力してほしいの・・。」


 こそこそと2人で次の作戦を話し、そしてにやりと笑いあった。




「ふふ」


 シンシアは少し浮足立っていた。初めて、ルイザと行くガーデンパーティ。更に好きになったこのドレスを着て行けることも相まって心は踊り、ワクワクしていた。

 髪型も綺麗に整えられ、ドレスと同じシフォン素材のバラを作ってもらい、そこに綺麗に輝く宝石を1つつけてもらった。


「お嬢様!とっても素敵!」

「これじゃ、誰かに攫われてしまわないか心配になってしまいます!!可愛すぎですわ・・・」

「えへへ、ありがとう、レマ、エリ。嬉しい。」

「「あああ」」


 シンシアは照れながら笑う。その姿もかわいらしくて、レマとエリはその場で崩れ落ちた。その姿を見ながらシンシアは笑った。

 そのタイミングでドアをノックする音がする。ドアの外からセバスが声をかけてきた。


「お嬢様、そろそろ出発の予定です。ルイザ様は先に外へ行かれています。」

「あ、はい。分かりました。今行きます。行こう、レマ、エリ。」

「はい。下までお供させてもらいます。」


 シンシアは鏡の前から立ち上がり、2人を連れて廊下へと出た。踊り場の、下へと続く階段の所まで来た時、後ろから声をかけられた。


「お姉さま。」


 ビクっとシンシアの方が動く。

 階段の近くにアリスとマリサが立ってこちらを見ていた。

 シンシアとしては昨日されたことは正直許したくなったけれど、良い姉として許した。でも今日は、今日だけは何もされたくは無かった。


「・・・なあに?アリス・・。」


 警戒しながら、ぎこちない笑顔を向けシンシアは返答する。アリスはその姿を見ながら話を続けた。


「昨日はごめんなさい。お姉さま。しっかり謝りたいと思って。待ってたの・・。」

「・・そう。別に気にしていないから良いよ。」

「おね・・」

「おーい!シンシア!ルイザが待ってるぞ!」


 アリスがシンシアに続けて声をかけようとしたとき、下からヨハスが大きな声で声をかけてきた。

 シンシアは大声で呼ばれたのでついアリスからヨハスへ目線を移してしまった。その瞬間をアリスは見過ごさなかった。


 ドン


「!?」


 アリスはシンシアへ自然を装って近づき、手をそっと伸ばしてシンシアを階段下へ突き落した。

 レマとエリも油断していた。下からヨハスに声をかけられた時、2人の目線はアリスではなくヨハスへ一瞬だが移っていた。その隙を狙ってマリサがGOサインを出すためアリスを軽く押し、アリスがシンシアを押したのだ。


 階段を踏み外した瞬間、咄嗟にシンシアは上へ手を伸ばした。何かに掴まれば落ちることは無いと。上を見た時、一瞬時間が止まった気がした。階段上には口を三日月にして笑うアリスが、歪んだ笑みをしたアリスとマリサがこちらを見ていた。

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