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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第一章:始まりと冬

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第四十二話:カミングアウト

「・・お母様、聞いてほしいことがあります。」

「・・シンシア、どうしたの?」


ベッドの上に2人は向かい合って座った。シンシアはいつにもまして緊張しているのを感じていた。

 

(いざ!言おう、伝えようと思っていたけど、これは緊張する・・)


 一方、ルイザの方もシンシアの緊張感を嗅ぎ取っていた。


(・・どうしたのかしらシンシア・・もしかして何かヨハスから言われた・・!?!?)


 ルイザが何をされたのかを聞き出そうとした時、シンシアは意を決して顔をあげ、ルイザに告げた。自分が『前』からまき戻っていることを。


「・・え?」

「お母様、本当なんです。私、前にここでお父様と愛人のマリサ、そしてその子供のアリスに殺されたんです・・。魔女裁判で処刑された後、気づいたら今の時代に巻き戻っていました・・。」

「・・・」

「急に話されてびっくりしたかもしれないのですが・・私その時は18歳になっていて・・あ、今子供ですけど、中身は18歳なんです・・。気づいたらここに来ていて・・。あ、もしかしたら処刑される前にお母様が大切にしていた、あの別棟の小さな神様の像にお祈りをしたから戻ってきたのかも!」


 シンシアは自分が巻き戻ってきたことを話し始めた時、ルイザが暗い表情で黙り、全く反応しないルイザを見て焦っていた。


(お母様・・何か反応をしてほしい・・・!!)


 一方のルイザは自分が愚かにも殺された後、シンシアが処刑されたという事実を受け止め切れていなかった。


(シンシアは、今・・処刑されたと言った・・?本当に・・?この子が処刑された事実があったということなの・・)


 親として不甲斐ない、どうして助けてあげられなかったんだという後悔の気持ちがあふれて、気づいたら涙があふれていた。

 ポタと、うつむいたルイザの顔から涙が零れ落ち、シーツに跡をつける。シンシアはそれを見て驚いた。


「お、お母様、な、泣いているの?」

「・・シンシア・・」


 シンシアは母が泣くのを初めて見た。笑いすぎて泣くところは見たことがあったが、こんなに静かに泣くことは初めてだった。

 ゆっくりルイザが顔をあげる。涙の筋が頬をつたり、夜着に涙の痕を付けた。


「シンシア・・ごめんね・・あなたは私が死んだ後・・苦しい思いをしたのね・・ごめんね・・私が不甲斐ないばかりに・・」

「・・・・お母様・・お母様!!!」


 シンシアは自分が辛かった記憶を思い出してはいたが、『前』のこと、過去のことだからと割り切っていた。だが、実際自分のことを話して、静かに泣き始める母親の姿を見て改めて自分があの時いかに辛かったのかを思い出した。


「お母様・・私、私・・辛かった・・!!お母様がいなくなって・・自分の周りから信頼できる人たちがいなくなって・・一人ぼっちになって!!」

「うん・・うん・・」

「でも、でも・・!ここの領地の人たちのために頑張ろうと思って、お母様みたいに立派な領主になろうと思ったんだけど・・ダメで・・」

「うん・・」

「最後にはみんなに石を投げられて・・」

「・・・・ぅん・・」

「最初は別棟に監禁されて、その後火あぶりにされたの・・悔しかったし苦しかった・・!!」

「・・ぐ・・そう・・苦しかったわよね・・本当にごめんなさい。私が簡単に死んでしまって申し訳なかった・・許してシンシア。今世では、そんなことはさせないわ。」

「お母様・・!!!」


 泣き出すシンシアを抱きしめるルイザ。ルイザはシンシアも巻き戻っていた1人であることに驚いてはいたが、その後処刑された経緯をシンシアから聞き立腹していた。心の中に鬼の形相になった自分が剣をもってヨハスを刺そうとしていた。

 それでも何とか立ち止まり、シンシアが吐き出す言葉を傾聴の姿勢で聞こうと努力はしてはいたものの、苦しかった。

 自分が死んだ後にヨハスたちにうまく扱われ、処刑されたということを聞き、なぜ私は死んだんだ、助けてあげられなかったんだと自分を責めた。


 シンシアは泣いてスッキリした後、ルイザに質問をした。


「お母様も巻き戻ってきてますよね?」

「・・分かった?」

「分かりました。『前』は家庭教師は変わらなかったし、この頃位からお母様、どんどん体調が悪くなっていってたから・・。私、お父様に会わないようにと言われ、会えなくなってたんです。」

「そうね、あの時は私、ヨハスを信じていたから。疑うことが無かったから・・家庭教師についても、マリサをメイドとして受け入れるのも疑うことは無かったわ。本当にごめんなさい。」

「・・お母様、私、お母様のことも聞きたいです。」

「いいわよ。私もあなたのことを聞かせて。」


 2人はベッドに横になりながら自分たちの『前』の話をした。ルイザもシンシアもお互いがお互いの『前』のことに怒った。そしてお互い再び泣いた。泣いた後に笑いあった。


「お母様、『前』だとそろそろアリスがやってくるでしょう?ここに。」

「そうね。そして実は色々使用人にも手を回していてね、今度ヨハスが連れてくるみたいなのよ。孤児院から。」

「孤児院にいるんですか・・孤児院がかわいそうです。あのわがまま娘、本当に大変だと思いますよ。」

「もうその苦情の手紙は届いているのよ。ヨハスを説得してほしいと・・。」

「・・・お母様、私が嫌な気持ちになるからアリスを入れない予定ですか?」


 ギクっとした。まさにその通りだったからだ。でも孤児院からの要望もあり、どうするべきか方法を考えていた。


「大丈夫です。お母様。受け入れてください。私、18歳の記憶があるんです。やられたりしません。・・それにお母様もいるから・・」

「シンシア・・」

「お母様もいるから私、頑張れます、復讐したいんです・・やり返したい。あの屈辱を・・あの3人に・・」

「・・分かったわ。シンシア。今度は受け入れることにする。」

「今度?」

「実は前にも来て断ったの・・」


 シンシアはルイザが断った時の話を聞き笑った。痛快だった。


「お母様、1度断ってくれてありがとう!」


 シンシアはルイザに抱き着いた。

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