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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第一章:始まりと冬

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第四十一話:企み

「・・なるほど。報告ありがとう。」

「いえ、とんでもないです。それにしても1度この屋敷に来たあの女の子・・ヨハス様とあのメイドの子供だったんですね・・。」

「そうね、しきりに家に入れたがっていたからもしかしたらとは思っていたけど・・やはりそうだったみたいね。」


 マリサとヨハスが話をしていた内容をニックとメイドから報告を受ける。『前

』の記憶があるため特にショックな気持ちにはなっていなかったが、使用人たちにとっては衝撃は大きかったようだ。


「あり得ません・・前に来ていたあの子は・・シンシア様と同い年くらいでしたよね!?それってもしかしてルイザ様が妊娠中の時ということですか!?あり得ないです!!!」

「そうですよ!あり得ないです・・あの優男風のクソ人間!!」


 メイド達の口調がどんどん荒くなっていく。いつもはそんな発言はやめなさいと止めているシイナも頷くだけで止めようとはしない。

 ニックも最初は頷いていたが、ヒートアップする女性陣の姿を見て少し怯えているようだった。


「・・みんなありがとう。でも大丈夫よ。本当に、なんとなくだけどそうだと思っていたから・・。私にはみんながいるし、シンシアもいるわ。心配しないで。」

「「「ルイザ様・・!」」」


 みんなウルウルと瞳に涙を浮かべてこちらを見る。ルイザはそんな姿を見てにっこりと笑った。


「本当にありがとう。」

「・・・コホン。ところでどうしますか?あの女の子、冬に迎え入れる予定みたいですけど・・。また修道院に送り返しますか?」

「そうねえ・・・それに関しては・・実は修道院から手紙が来ているのよ・・」

「手紙ですか?」


 ルイザは手紙を取りだした。それはカウフマン侯爵たちが来る前日に修道院から届いたもので、驚きの内容だったのだ。

 『ヨハス様が連れてきた記憶喪失の女の子を看ています。が、器物破損をしたり、大声を荒げたり、他修道女へ手を挙げケガをさせたりと困っています。私たちもヨハス様に言われた通り対応させてもらっていますが、他の子どもたちが怯えきっていてこれ以上こちらで面倒を看ることは困難です。ヨハス様に説得をお願いします。』

と簡潔に書かれていた。

 

(前回はすんなりとアリスをクレアトン邸に入れてしまったから起こりえなかった事態なのよね・・。こちらに入れなければ領地内で問題を起こすということ・・困った人たちだわ・・。)


 ルイザは深いため息をついた。仮に受け入れる選択をしたとしても気がかりなことが1つある。


(シンシア・・)


 シンシアが以前うなされていた時、アリスを邸宅に入れてほしくないと言っていたこと。シンシアの中の深層心理ではアリスとは会いたくないという強い思いがあったのではないかと考えている。


(シンシアが会いたくないと思っているのにわざわざ自宅に入れる必要はあるのかしら・・。)

 

 受け入れない場合の選択肢についても考え始めたルイザの姿を使用人たちは見守っていた。

 

「っ!ルイザ様、誰かが近づいてきています。」


 普通の人には聞こえないが、暗殺などを担っていたメイドがすぐ反応した。

 耳を澄ますと実際に足音が遠くからこちらの方に近づいてきているのが聞こえた。皆、ヨハスたちの話をするのを避け、メイドは屋根裏に上り身を隠した。ニックとシイナは通常通りと言わんばかりに違う仕事を始めた。

 足音は近づいてきてルイザの執務室前で止まる。知らず知らずのうちに皆、唾をのみこんでいた。


 コンコン

 「・・お母様、入ってもいいですか?」


 ドアをノックする音の後、シンシアが外から声をかけた。

 全員ホッと一息つき、安心した。


(((良かった!新人メイドたちの誰かと思って焦った・・)))


「ええ、いいわよ、シンシア。」


 ルイザの声掛けにシンシアが中に入ってくる。寝巻の上にカーディガンを羽織っていた。


「お母様、今日は何時まで仕事をされますか?一緒に寝たいです。それに少し話をしたいことがあります・・。」


 シンシアはルイザをまっすぐ見つめ、何かを決心したように話し始めた。

 ルイザはその気持ちをすぐに察した。


(何か話したいことがあるようね・・)


「そうね、正直あなたより大切なことは無いわ。仕事もひと段落しているし・・私ももう寝る準備を使用かしら。ニック、シイナ、今日は引き上げて大丈夫よ。ありがとう。また明日以降に。」

「「分かりました。」」


 2人は頭を下げてシイナの執務室から退室していった。ルイザはシンシアにソファに座り待っているよう伝え、自身も寝る準備を始めた。


「シンシア、話したいことはここの方が良い?それとも寝室にする?」


 ルイザは身支度を整えながら話しかける。


「寝室がいいです。少し私も・・時間が欲しいから・・。」


 シンシアは少し、ぎこちない様子でルイザに返事をした。ルイザは何かを思いながらもシンシアの言う通り、2人で一緒に寝室へ移動した。


 シンシアはヨハスとマリサ、アリスの件について今の時点で『前』と違うこと、そしてなぜ『前』と違うのかはルイザが変わっていることに気づいていた。『前』の自分は今の時点で母親から離され、家庭教師から鞭を打たれ、養子として入ってきたアリスに少しずつ場所を奪われ始めた時だった。

 でもそれが今は無い。自分はまだ何もできていないのに、それがない理由は、ルイザが変わったこと・・。そして自分のためにルイザはアリスを遠ざけるのではないかと考えていた。


(アリスには・・私からやり返したい・・同じ気持ちを味合わせたいし、自分もお母様と幸せになりたい、見せつけてやりたい・・)


 この思いがどんどん強くなってきた。思ったより頭の弱かった父親もまた策を練ってくるだろう。私のために母が悩むところは見たくなかった。それよりも、アリスを受け入れて一緒にやり返しを考えていきたかった。


(昨日までは、勇気がなかったけど‥もう隠し通せないだろうから・・言わなくては・・!)

 

 シンシアの心の中に強い気持ちが芽生えていた。

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