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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ
第一章:始まりと冬

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第四十話:1週間後

「きゃあ!本当に!?嬉しいヨハス!ありがとう!!」

「僕も嬉しいよマリサ!!これからは君が僕の専属メイドさ!!」


 ヨハスは早速マリサを自室へ呼び出し、2人きりになったことを確認すると自分の専属メイドになったことを説明した。マリサは下働きからの脱却に声を出して喜んだ。


「でもマリサをルイザの専属にすることができなかったんだ・・それは申し訳ない。自分は強いから、守らなければならない弱いメイドはいらないと言われたんだ。」

「・・・まあ、あの方強いからね・・・それは何も言えないわ・・。私、頑張って彼女に近づくから!そして『これ』を飲ませてやるわ!」


 マリサはメイド服の中に隠していたペンダント型の毒薬を見せた。毎日少しずつ飲ませる薬であるため、ルイザか、ルイザの近しい者に近づく必要がある。今回ルイザの専属にはなれなかったが、自分の地位が上がったことで少なくともルイザに近しい使用人には近づけそうな気がしていた。


「マリサ~頼もしいよ!ありがとう!!」

「うふふ!私もよ。少しずつ近づいて行っているわね!これからも頑張りましょ!」


 2人は短いキスをした。

 ヨハスは2人きりだと思っていたが、ドアの外にはニックが、天井裏にはシイナの後輩メイドがおり、密かに中の会話を聞いていた。


(毒薬・・・そんなものをルイザ様に使おうと思っているなんて!)

((許せない!!))


 2人は声には出さないものの、心の中で揃った声を挙げていた。


「あ、そういえばなんだけど、アリスはいつ呼ぶの?あの子は私よりも貴族に、クレアトン邸に来たがっていたから。私としては・・早く呼んであげたいんだけど・・」

「・・・そうなんだよね。ちょっとタイミングがつかめなくて・・。今日カウフマン侯爵が帰った。そして、もうすぐ1年で一番寒い季節が来る。そういった厳しい季節に迎えに行ったほうが追い返すことなんて難しいんじゃないかと思ってるんだ。だから1週間は少なくとも経たないと・・。」

「・・そう。わかったわ。修道院にまた手紙を書いたほうが良いと思うの・・。迎えに来る次期さえわかればアリスも我慢ができると思うから・・」

「そうだね今から書くよ。」


 ヨハスはマリサに言われた通り手紙を書き始めた。マリサは早く愛娘に会いたい気持ちが強かったが、ルイザを思い通りに動かせないことが分かっていたため反論はできなった。


(アリスには正直申し訳ないけれど・・これも作戦の1つだし・・ごめんねアリス。お母さんも頑張るわ。)


 マリサは心の中でアリスに謝った。




 修道院にヨハスからの手紙が届いた。

 毎日アリスの癇癪に付き合っていた修道女たちはやつれ、ボロボロになっていた。


「アリス様・・ヨハス様よりお手紙が届いております。」

「!!貸して!!」


 前回同様、修道女の手から奪うようにして手紙をとり、便箋を破り捨てる。中には雪が降る1週間後には迎えにいくこと、マリサをヨハスの専属メイドにすることができ、アリスを迎える準備が整ったという内容が記載されていた。


「!!お母様すごい!お父様の専属メイドになったなんて!やるじゃない!!・・でも当初の予定では違ったはずなんだけど‥まあいいわ。これで私も養女として迎えられるんだから!!!あっはっはっは!!!」


 アリスは甲高い声で笑いだす。手紙を渡した修道女は2、3歩ほど後ずさり、奇妙な者を見る様な目でアリスを見ていた。それに気づいたアリスは表情を一変し、修道女に近づいた。


「・・何見てんの?そんな目で私を見て良いと思ってんの?あなた、私がクレアトン伯爵令嬢になったら懲らしめてあげるんだから。それが嫌ならさっさとどっか行って!」

「ひっ!」


 バンッと修道女が立つすぐ近くの壁を蹴りつける。修道女は何度も頷きながらドアから外へ逃げるように出て行った。


「・・ふん!もうすぐあんな態度取れないくらいの貴族になるんだから!・・あー!それにしても早く1週間経たないかしら!!あー楽しみ!おーほっほっほ!!」


 修道女が出た後、アリスは以前ヨハスにもらった大きな熊のぬいぐるみを抱きしめ、部屋の中心で回り始めた。もうアリスの頭の中には自分が貴族になっていることしか頭になかった。

 

 別室にいる、アリスの大きな声に怯えている孤児たちは修道女に抱き着いた。修道女はその子たちを抱きしめながら声をかけた。


「もうすぐですからね・・もうすぐこの状況から脱することができますから・・大丈夫ですからね・・」

「・・うん。お怪我大丈夫?」

「今日はケガはしていないので・・大丈夫ですよ。あなたは心優しいですね。」

「僕、神様に祈っていたんだ。あの悪魔みたいな人をどうにかしてくださいって。それが叶ったのかもしれない・・。」

「そうだったんですか。神様はあなたのことを見てくれてるのかもしれませんね。ルト。ありがとう。」


 修道院の人たちは1週間後に平穏が来ることを心待ちにしていた。

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