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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ


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第三十三話:それぞれの思惑

「そう、そういうことを考えているのね・・報告ありがとう。」

「お役に立ててよかったです。」

「それにしてもきつい場面を目撃して・・本当にご苦労様。これからもよろしくね。」

「・・いえ、大丈夫です。それでは失礼します。」


 マリサ付きメイドから夜間、報告が入った。カウフマン侯爵一家が来る時に何かを仕掛ける気があること、そしてある方に何かを依頼し、マリサにも動いてもらうことがあるということを。


(前回と同じ流れなのね。ということは何かを依頼するのはガスティン侯爵かファートン子爵で、暗殺者を雇い入れるということかしら。しかも自死をさせる必要のある者を。)


 前回と同じ流れではあるが、今回の自分には『前』の記憶がある。ルイザは早速騎士団長と副騎士団長を呼び出し、当日の警備について打ち合わせを始めた。




「このデザインはどうでしょうか!!」

「いや、このデザインは!!」

 

 デザインを依頼していた職人たちが次々と自慢のドレスを見せてくる。新しくドレスを作ってきている職人もいた。

 カウフマン侯爵一家がお出迎えする手前、ルイザの手持ちには今正装というドレスが無かった。あったとしても今切れるものではなく、昔仕立てたもので時代遅れになっていた。そのため、新しくドレスを新調することになったのだ。

 同時にシンシアのドレスも新調することとなり、ルイザはシンシアに似合うドレスを!!と張り切り領地にいる職人たち全員に依頼をかけたのだ。


(特に命を狙われている身でもあるから、今流行しているコルセットはどうしてもつけたくないのよね・・そしたら既存品ではだめだから、こうして新しいデザインを考えてもらっているけど・・結構いいじゃない。)


 ルイザは特にコルセットを付けるのが本当に嫌だった。コルセットがあると踵落とし等の足を使った技や屈んでの攻撃などが使えなくなる。きつくていざという時に動けなくなるのは嫌だった。


「なかなかいいわね。・・手持ちのドレスが少ないからいくつか依頼をしておきたいのよね・・シンシアはどれが気に入った?」

「私は、どちらかといえば淡い色合いが好きなので、この薄紫色の素材の物はどうでしょうか?」

 

 シンシアが指をさす。そのドレスはふんわりとしたシフォン素材を多用したもので上半身の方にボリュームがあり、腰回りをリボンで結び、下半身はボリュームダウンしているがところどころキラキラと輝く、女性らしさが出ている綺麗なラインの物だった。


「そうね、これは綺麗でリボンの所もかわいいわね。これも頼みましょうか。」

「はい!」

「この職人の方はどなた?」


 声をかけられた職人が前に出てくる。眼鏡をかけ、そばかすが顔についているが、まなざしはキラキラしている若い職人だった。


「私です。伯爵様。」

「これからたくさん注文をしたいわ。よろしくお願いしても良いかしら。」

「!!!はい!!!喜んで!嬉しいです!」


 ドレスも数着手配が済み、カウフマン侯爵一家が来る日にちが一刻一刻と迫っていた。




「・・ガスティン侯爵。」

「ああ、ヨハス君。やっと来てくれたか。・・・・ところで作戦はどうなっているのかね?」

「あっちょっと作戦通りとは言っていませんが、今侯爵が送ってくださったメイド4人とマリサは伯爵邸に無事入り込みました。」


 夜間、ヨハスはこっそり抜け出し、ガスティン侯爵と待ち合わせている路地裏の密会場所に来ていた。ガスティン侯爵はマントを深くかぶり、お供を2人つけ、身を隠していた。


「そうか。進捗状況は?」

「まだ専属メイドにはできていないので・・この薬はまだ使えていません。ですが今度、カウフマン侯爵一家が来るので、その時ルイザも気が緩むと思います。その時にマリサを一気に専属メイドに仕立て上げられるよう・・暗殺者を依頼したいのです。」

「・・暗殺者を?」

「僕の考えているプランはこうです。」


 ヨハスはこそこそとガスティン侯爵に話を始める。ガスティン侯爵は失敗しても自分に損はないと分かったため、その提案を受け入れた。


「良いだろう。決行日はいつだ?」

「明後日です。」

「分かった。毒の弓ではなく、普通の弓だな。」

「よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしく頼むよヨハス君。君にかかっているんだ。」


 2人は固い握手を交わし、その場を離れた。

 月が怪しく光る、そんな夜だった。


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