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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ


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第三十一話:メイドたち

 フリーダ男爵夫人の事件から数日が過ぎた。ヨハスは警戒してか、視察と題したマリサ宅訪問はせず、大人しく過ごしていた。

 シンシアの家庭教師探しは難航しているが、シンシア自身、家庭教師がいなくても自分で自習し、時にはルイザの部屋で一緒に領地経営について考えることも多くなってきていた。


(子供って成長が本当に早いのね・・)

 

 シンシアには甘く、褒めたい気持ちが強いルイザはシンシアの大人びた思考回路について特に疑問を持たずに過ごしていた。

 そんな短い平和な時間はあっという間に過ぎ去り、次の嵐がやってきた。


「ルイザ!明日は新しいメイドたちを迎える日だよね?配置とかはどうするか決めたの?」


 意気揚々と、楽しみな気持ちを抑えきれないヨハスがルイザの執務室に突撃してきた。ルイザはその言葉を聞き、後ろに控えていたシイナに声をかけた。シイナは頷きヨハスに説明を始めた。


「新人メイド5名についてはそれぞれ補助の役割として優秀なメイドと共に仕事をしてもらおうと思っています。5人とも推薦状をお持ちですが、クレアトン邸で長く働いている者の不満が出ないよう、まずは下級メイドの仕事からしてもらう予定です。」

「え!下級メイド!?推薦状もあるのに?僕の生家である、ファートン子爵家からの推薦状なのに?」

「これはルイザ様とも考えたのですが・・・。ここ、クレアトンで働くメイドたちは皆、通常であれば中級メイド以上になりえる者たちばかりです。その者たちを押しやって・・というわけにもいきませんし。前から働いてくれている本当に優秀な子たちばかりですから。急に入ってきた方たちを優遇すると使用人たちの統制が崩れます。」

「ぐ・・せめてこの人、とても優秀だと褒められている、このマリサって人は優遇しても良いんじゃない?」


 ヨハスは持参した推薦状の中からマリサの分を出し、シイナの目の前にもっていった。シイナはそれを見て、申し訳なさそうに話した。


「ヨハス様、もう決めたことですし。これはルイザ様の考えなのです。私にはそれを覆すことはできかねます。」

「ルイザ・・」

「ヨハス、さっきも聞いた通り、これは決まったことなの。今まで一生懸命働いてくれている使用人たちにも面目が立たないわ。」


 シイナではなく、ルイザに頼もうと思いルイザを見たが、ルイザからも良い返事をもらうことができなかった。


(クソ!マリサは良い待遇にしてあげたかったのに!あわよくば僕の専属にしようと思っていたのに!!)


「・・・そっか。まあしょうがないよね。わかった。僕も推薦状を持ってきた以上、彼女たちについては気がかりでね・・。」

「わかってくれて助かるわ、ヨハス。そしたら明日から働いてもらいましょ。」

「・・そうだね」


 ヨハスは分かりやすく残念な雰囲気を出しながら退室していった。

 ヨハスが出た後、シイナとルイザは少し吹き出してしまった。


「あの人・・分かりやすすぎないかしら・・逆に心配になるんだけど。」

「まあ・・そのほうがやりやすいですよ。ルイザ様。」

「そうね・・」


 明日はどうなるだろうか・・明日に思いを2人で馳せた。



 翌日、午前中に新人5名がクレアトン伯爵邸に到着した。新人5人をシイナとセバス、ニックが出迎え、5人の部屋へ案内しメイド服へ着替えてもらい、シイナの案内でクレアトン伯爵邸の説明が始まった。


(わあ、これがクレアトン伯爵邸・・・私のお家・・)

  

 マリサは夢心地でシイナの説明を聞いていた。夢にまでみた、貴族としての生活、貴族の家、豪華な家。沢山の使用人。自分がこれから顎で使える使用人たち。


(本当に夢のようだわ・・これから始まるのね。私の貴族人生)


 マリサがあまり聞いてないことに気づきつつも、シイナは説明を続けた。案内の最後に当主、ルイザへ5人から挨拶をしてもらうため執務室へ向かった。


「ここがクレアトン伯爵当主の部屋です。あなたたち、くれぐれも失礼の無いよう、挨拶をしてください。いいですね。」

「「「「「はい」」」」」

「ルイザ様、シイナです。新人5人を連れてきました。入ります。」

「どうぞ」


 シイナを先頭に中に入る。ルイザは執務室の奥で5人を待っていた。

 

 (わあ、ここが将来の私の部屋・・?)

 

 大きな窓から外に植えてある木々が見える。レースのカーテンからは心地よい風が吹き、茶色のアンティーク調で整えられた机やテーブルは居心地の良さを感じさせた。

 マリサはここでも浮かれ切っていたが、部屋の中心にいるルイザに気づき、その貴族としての迫力に圧倒された。マリサから見て、ルイザの光り輝く銀髪に、見るものを虜にさせる様なエメラルドの瞳、洋服の上からでも分かる鍛えられてはいるが女性らしさが損なわれていない体躯、そして自信にあふれているオーラのようなもの。自分にない何かを持っている人を間近で初めて見たのだ。

 そんな神がかっているようなルイザを見て挨拶が遅れた。


「私がここ、クレアトン伯爵邸当主です。ここに希望してきてくれたのは嬉しいよ。これからよろしくね。」

「「「「よろしくお願いします。」」」」

「よ、よろしくお願いします」


(この人が・・ルイザ様・・・やっぱり本物の貴族は違うわ。うらやましい。私もこうなりたい・・)


 頭を下げながらマリサは思った。自分がこうなるべきであるということを。ルイザの何もかもを奪い、自分がその立ち位置にいるべきである・・と。

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