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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ


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第三十話:驚き

 ヨハスはくたくたに疲れ切っていた。元々クレアトン伯爵邸に帰ってきて休むつもりだったがそれもできず、怒り狂うアリスを必死に宥め、連れてきたくなかった執事にバレないように修道院へ手を回した。


(もう疲れた・・でも一番疲れたのはアリスを宥めたことか・・ニックにバレないか本当にひやひやした。)


 太陽も沈み、伯爵邸への帰路をぼんやりと眺める。街を抜け、伯爵邸の門扉が見えてくる。やっと休めると心の中でホッと一息ついていた。


 帰り着くとルイザの執事、セバスが待ち構えていた。


「ヨハス様。お疲れの所申し訳ありませんが、ルイザ様が戻り次第至急、執務室に来てほしいとのことです。」

「・・え?至急?僕、疲れているんだけど・・」

「私は至急来るようにとしか言われておらず・・よろしくお願いします。」

「・・わかったよ。」


 疲れてるのに、とブツブツ言いながらヨハスはその足でルイザの執務室へ向かった。執務室では真剣な表情で書類と向き合っているルイザと、その傍らに無表情で立つメイド長、シイナの姿があった。


「ルイザ、今戻ったよ。至急って言われたけど・・何かな?」


 声をかけられたルイザはチラっとヨハスの姿を見て、また書類に目をやる。その姿にヨハスは苛立ちを隠せなくなった。


「ルイザ、僕も疲れてるんだけど!」

「・・ヨハス、あなた何をしてくれたの・・。」

「はあ?何って何?」

「あなたが雇い入れた家庭教師のフリーダ男爵夫人。あの人が私たちの娘、シンシアに何をしていたと思う?」


 フリーダ男爵夫人と聞いたヨハスはギクっと肩を震わせた


(落ち着け自分。まだすべてがバレているわけではないだろうから・・・!)


「フリーダ男爵夫人がどうしたの?彼女は家庭教師として優秀だと聞いているけど。」

「彼女は・・シンシアに鞭を打っていたわ。体罰よ。今シンシアの両ふくらはぎはみみず腫れが複数できているわ・・。」

「(ギクッ!それ僕が指示したやつ・・)そんな!そんなことをするわけないだろう!」

「いいえ。私はその場面を見ました。そして彼女も自分が鞭を打ったと白状しました。それにその場面は私だけではなくメイド長も一緒に見てます。」


 ルイザの声掛けにシイナは頷いた。ヨハスは心の中で焦り始めていた。


(やばいやばいやばい!!!!)


「夫人は・・あなたに罪をかぶせようとしているのです・・・・あなたのせいだと・・それは本当ですか?」

「何を言っているんだ!そんなことない!自分の娘を鞭で打てなんて!言うわけないだろう!!!」


(ルイザはまだ僕のことを信じてくれている!!!これなら押し通せるかも!!!)


 ルイザの発言に自分をまだ信じてくれていると希望を見出した。


「・・そうよね。一緒に男爵夫人の所に行ってみる・・?」

「(え・・)・・そうだね、行くよ。」


 ルイザは夫人とヨハスの関係を知らないことにして同行することにした。



 ルイザとヨハスが夫人のいる地下牢まで行くと、夫人は足を曲げ、小さくなって牢の片隅に座っていた。明かりが灯り、ヨハスの姿を目に写すと夫人は喜びの表情で近寄ってきた。


「・・ヨハス様!!来てくださると信じていました!!」

「・・・・・・」

「どうか助けてください!!」

「・・・・・・・」


 夫人の声掛けにヨハスは全く応じない。目を合わせないようにし、沈黙を貫いている。その様子に夫人も違和感を覚えた。


「・・・ヨハス様?」

「・・・・・ルイザ、もう行こう。僕から彼女に何かを言うことは無いよ。」

「ヨハス様!そんな!!!」

「体罰をしたのは彼女だ。寧ろ僕の名前を出して僕に罪をかぶせようとしたんだ。ルイザ、早くここから出よう。」

「ヨハス様!そんな!待ってください!私のことを・・・・!」

「うるさい!!!!!何だコイツ!狂ってるのか!!」


 夫人がヨハスとの関係性を伝えようとするとヨハスはその声にかぶせるようにして大声を上げる。そしてルイザの腕を掴み、早足でこの場から去ろとした。


「待ってください!ヨハス様・・ヨハス様・・・!!!」


 夫人はヨハスに裏切られたことをこの短時間で悟り、嘆いた。

 ルイザはヨハスの足の速さに合わせ一緒に地下牢から出た。


「・・・ルイザ、あの女狂ってるんじゃないかな?僕のことをずっと見てきて怖かったよ・・」


 ヨハスは地下牢を出るまで無言だったが、明かりのある1階へ出てからようやく言葉を発した。ルイザはヨハスの調子に合わせた。


「そうね、ずっとあなたのことを見ていて、私のことは一切見ていなかったわ。」

「怖いよ、ルイザ。もうあの人を処刑か何かにしちゃってよ。あんな人がここにいるなんて信じられないよ。」

「あなたがそう言うなら・・・わかったわ。ごめんね、あの人のことを鵜呑みにしてあなたのことを疑っちゃって。」

「!大丈夫だよ!!僕を信じてほしい。決して君を裏切っていないよ。もちろんシンシアのことも。」


(やった!ルイザは僕のことを信じてくれている。)

(すべてを知っているのにこの反応。本当にこいつは・・・)


 2人でニコニコ笑いあいながら、心の中ではそれぞれ違うことを考えていた。ルイザは上手くヨハスを泳がせることに成功したと喜んでいた。


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