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夫に騙されて死んだ元女騎士、次こそ愛娘と共に幸せになります!  作者: モハチ


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第二十九話:巻き戻り前の人

 シンシアは遠ざかっていく夫人の声を聞きながら『前』の夫人のことを思い出していた。

 彼女はずっとシンシアを虐げてきていた。シンシアが何度謝っても、許しを乞うても、鞭は必ず飛んできた。シンシアが成長するにつれ、鞭打つ場所はふくらはぎだけではなく背中、太腿にも広がっていた。露出箇所ではない場所を狙われていた。

 そんな夫人の秘密を知ったのは些細なことからだった。シンシアに気力がなくなったことを気づいた夫人は、シンシアが必死に問題を解く傍ら、ぼんやりと外を眺め、外を通るヨハスを眺めていた。時折手を振り、ヨハスの姿が見えなくなると恋する乙女のように憂いた姿を見せる。時が経つにつれ、夫人はヨハスへの思いを押しとどめることができなくなっていった。


 深夜、夫人に課された宿題を終わらせるために起きていると廊下から言い争う声がしてきた。覗いてみるとそこには夫人とヨハスがいた。


「しょうがないだろう!まだ・・ザは死んでいないんだから!」

「でも!あなたは私をここに連れてくるとき約束してくれたでしょう!2年の間に私をあなたの正妻にしてくれるって!だから私、言われた通りあの子の気力を奪っているのです!全てあなたのためなのですよ!!」

「分かってる。わかってるよ。いつもありがとう。昔から、君は僕の味方だもんね。あの時の、若かりし君と出会ったとき、稲妻に打たれた気持ちだったよ。まるでロミオとジュリエットさ。貴族の恋愛は上手くいかないって・・いうもんね。」

「・・ヨハス様!!私はずっと6年前からずっと、あなたの味方、あなたのジュリエットです・・!!」


 2人は何か興奮したように抱き合ってからヨハスの部屋へ向かい歩いて行った。一部始終を見たシンシアは2人の関係性を知った。衝撃だった。だが、シンシアには問い詰める力が、気力が残っておらず、父親は頼りにならないと分かっていたのでその出来事を誰にも言えぬまま過ごした。

 

(前の記憶があったから、今回の証言ができたんだよね。適当に言ったことだけど当たって正解だったわ。そりゃ、あの時から6年前であれば色々していたでしょ。それにしても何がジュリエットだ。ジュリエットに失礼だ。ほんと、気色悪い。)


 シンシアは『前』の記憶が戻ってから考え方が図太くなってきていた。

 思いを馳せながら歩いている姿が、ルイザから見て父親の衝撃的な姿を見てショックを受けていると思われていた。ルイザに申し訳なさそうに話しかけられ、シンシアは驚いた。


「シンシア、あなたの父親の最低なところばかり見せてるわね・・親として最低よね・・ごめんね。私もそんな節操なしとは知らなかったわ・・」

「お母様・・大丈夫です。もう私、お父様のこと尊敬も信頼もしていません。お母様、いつでも追い出して大丈夫ですよ。」

「シンシア、ありがとう。私さっきはびっくりしちゃった。まだ8歳なのにあんなに堂々と夫人を問い詰めるんだもの!流石ね。もうこんなに成長しているだなんて・・」


(!私そういえば8歳か・・記憶があるから年相応じゃなかったのかも!)


 自分の身体年齢に気づき、内心焦ったが、ルイザの肯定的な反応を見てホッとした。ルイザは自分を誇らしそうにしてくれていた。それは前の記憶があるシンシアにとってとても嬉しいことだった。


「お母様、そうみたい!意外と高等教育も悪くなかったのかもしれませんね。お母様、お父様のことどうするんですか?」

「そうね・・当分は離婚はしないかな。頭の良いあなたならなんとなく分かるかもしれないけど、お父様の不貞は実はまだあるの・・それを暴いてから・・かな。それまでは今まで通り過ごして、泳がせておこうと思って。」

「(マリサのことか・・。お母様も知ってるんだ)!そうなんですね!最低ですね!私はお母様の味方、永遠の味方ですから!!力になります!何でも言ってください!」

「シンシア、見ない間にこんなに大きくなって・・ごめんねシンシア。ありがとうね。あなたには悪影響の無いようにしようとおもっていたけど、まさか夫人もとは思ってもいなかったから。」

「ふふ。大丈夫です。」


 2人は各々『前』の記憶が戻っていることを隠しながら、各々記憶を活用しながら動いていた。



 談話室では気持ちを切り替えた様子の男爵がルイザたちを待っていた。


「先ほどは申し訳ありませんでした!そしてこのような機会を頂き、誠に感謝しています・・!彼女だけでは罪は償いきれないと思いますので、私にも言ってください!!」

 

 90度に腰を曲げ大きな声で謝罪する男爵。それを見たルイザは微笑んだ。


「男爵、そんなに気にしないで。腰を掛けて。私の夫も同罪なんだから。」

「・・ありがとうございます。失礼します。」


 ルイザの声掛けで男爵はソファに座る。


「男爵は夫人をどうしたい?」

「私は・・とりあえず彼女とは離婚をして、彼女の生家にも仕送りも止めます。元々彼女は仕送りのために働いていたようなものでしたから・・」


 貴族が離婚、特に非が女性側にある場合は様々なところから非難を受ける。もう彼女は貴族社会には戻ってこれないだろう。そして仕送りが止められた生家も貴族として成り立たない可能性がある。


(・・このままいけば平民落ちか。ならまあいいわね。)


 もう、彼女が描いていた都会での暮らしは叶うことは一生ないだろう。


「それならいいわ。彼女にはそれ相応の罰を受けてもらわなくちゃいけないとは思っていたけど、その方針であるなら私からは何もしないわ。」

「ありがとうございます。」

「男爵に私からは特に何も求めません・・。ですが、お願いがあります。ヨハスはまだ不貞行為があります。それを暴露するため、私は彼をこれから泳がすつもりです。証拠を集め、罪を、不貞行為を暴く時・・フリーダ男爵に証言をしていただきたいのです。そしてその時まであなたの自宅にあるだろう、夫と夫人のやり取りなど保管していてほしい。」

「・・まだあるのですね、ヨハス様は・・私の妻だけでは飽き足らず・・。」


 男爵は不貞行為を行っているヨハスに対して嫌悪感を抱いた。その嫌悪感は顔にも声にも出ていた。


「私でよければいつでも!呼んでください!」

「ありがとう。本当に助かるわ。」


 ルイザはいつかの時のための証言を手に入れることができた。


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