第二十四話 作戦
「「お父様・・どうしてこうなったの・・」
「アリス・・・・ごめんな。うまくいかなかったなこの作戦は・・」
「アリスは!!!あの家に住みたい!!!どうして私がまたあの家に戻らなくちゃいけないの!!あの家は私たちの家、モノなんでしょ!!」
「アリス・・外に執事がいるから静かに・・!!」
「くう・・」
修道院への道中、馬車の中ではアリスがヨハスを責め立てていた。
手に入ると思っていた夢の貴族生活。豪華な家、多くの使用人。母、マリサから聞かされていた貴族の生活まであと一歩だったのに、それが寸でのところで届かなかった。女領主である、ルイザに家の中に入ることを憚られた。
(あと少しだったのに。家の中に入ることができたのに・・!!)
声を小さくするようヨハスに宥められ、怒ることはなくなったものの悔しい気持ちは変わらなかった。悔しかった。ヨハスはそんなアリスの姿を見つつ、次の作戦を考えていた。
「アリス、今回の計画は急だったから仕方がない。執事も同乗していることだし、これからアリスは修道院に行ってもらうことになる。何、1週間くらい経ったら迎えに行くから。それまで記憶喪失のままでいてくれないか?一度面倒を見てもらったからアリスが僕に懐いているということ、僕も面倒をみる必要がある!ってルイザに伝えておくから。」
「・・・修道院に行かなくちゃいけないの?本当に今度はアリス、貴族になれるの?伯爵令嬢になれるの??」
「なれるさ!僕がそうさせるよ!任せてほしい。」
「・・・修道院ではどういう生活をするの・・?」
「今までと変わらないさ。僕がお金を出しておくから。心配いらないよ。」
「・・・・・わかった。」
ヨハスはアリスを説得しながら、ジャケットの内ポケットから金貨を取り出した。アリスはその金貨を見て、渋々ながらも納得した。馬車はどんどん田舎の方へと進んでいった。
「さあ、またヨハス様は外出に出たので、これからの私たちの作戦を説明しておきます。」
ルイザの執務室でシイナはセバス、アタン、ディーン、そして複数名の騎士、メイドに説明を始める。
「今後、ヨハス様の息のかかったメイドが入ってくることは避けられません。なので私が選抜した優秀なメイドを必ず1人ずつ新人メイドのパートナーとして付けます。新人の味方をしてもらいながら、得た情報は必ず私の元まで来るようになっていますので。そして私の騎士団時代の後輩メイド達には何か怪しい行動をとった時に追跡をしてもらうようになっています。」
「「「よろしくお願いします!」」」
「ええ~すごい!やるじゃんメイド長。そいで、騎士団はどうしたらいいの?」
「今まで通りの護衛と騎士団管理をお願いします。ヨハス様が新人を入れる際に必ず信頼のおける騎士を側につけてもらってください。」
「分かった。そこは任せてほしい。」
「セバス様は、前のとおりルイザ様の補佐とニックから得た情報の共有をお願いします。」
「分かりました。任せてください。」
シイナがルイザの後を追って伯爵家のメイドとして入った際、部隊をやめようと考えていた女性騎士たちが更にシイナの後を追いクレアトン伯爵家に入ってきたのだ。クレアトン家のメイドは全体の5割が騎士団出身、騎士の経歴を持つものだった。
「シイナ、ありがとう。これは今朝方、考えていた対策案なの。ヨハスを操っている奴をうまく誘い出すためには敵を中に入れなくちゃいけないからね。皆には苦労を掛けるけど、よろしくね。」
ルイザがみんなに声をかける。皆はその声掛けに頷いた。
「最近のヨハス様は少しおかしいと感じていました。ルイザ様、私たちが力になれることがあれば何でも言ってください。」
「頑張ります!」
話を聞いていたメイドや騎士が一斉に声を挙げる。ルイザはその姿を見てありがたく思った。




