第十六話:情報屋からの連絡
その日の夜、ルイザが執務室で仕事をしていると外からカラスの鳴き声と窓をつつくような音がした。
「何かしら」
不思議に思い窓を開けるとカラスが窓枠にとまり、嘴をクイッと上にあげる。
片足には手紙が巻かれており、まるでこの手紙を取れと言わんばかりの態度だ。
「これを取れってこと?」
ルイザがはなしかけるとカラスは頷く。手紙をほどき中を見ると情報屋、カイラスからの手紙だった。『やあ。君の依頼を終えたので深夜にまたあの場所で』と書かれた走り書きのような手紙であったが、ルイザには十分だった。
ルイザは素早く『了解』と書いたメモをカラスの足に括り付け、
「お願いね」
とカラスへ話しかけた。
カラスも答えるように頷き暗い夜に向けて飛び立っていった。
コンコン
ドアをノックする音と共にシイナが外から声をかける。
「ルイザ様、シイナです。」
「入って」
とルイザが答えるとシイナが中に入ってきてシンシアの状況について報告を始めた。
「シンシア様ですが、昼間に倒れた後、一度起きられ夕食を軽めですが摂られました。その後倦怠感を訴えられたため、また眠っています。」
シイナの報告にホッと安心したルイザは
「ありがとう。安心したわ。」
と声をかけ、書類に目を通し始めた。
シイナはルイザに近寄り声をかけた。
「ルイザ様・・先日と同じく、また深夜にどこか行かれるのですか?」
ルイザはシイナに夜中出ていることはバレていないと思っていたためビクっと肩を震わせ、シイナの方を見た。
シイナは無表情ではあるがどこか怒っているようにも見えた。
「え・・・?それは・・え?」
「隣の控室で休んでいる私が気づかないとお思いですか?」
メイド長ではあるが、ルイザの最側近でもあるシイナは部屋の隣で就寝している。いくらルイザが前回シイナにバレないようにしていても、シイナにはバレバレだった。 ルイザが言い訳を考える前に、矢継ぎ早にシイナが責め立てる。
「あ・・それもそうですよね~・・」
ルイザはポリポリ頭を掻く。
「誤魔化さないでください。今日のシンシア様のことも含め、私も責任を感じています。私も一緒に連れて行ってください。あなたを守る人は少なくとも1人くらいは必要でしょう。」
ぐいぐいと腰を曲げ顔をルイザに近づけるようにしてシイナが攻めてくる。
ルイザは両手を顔の前に持ってきてシイナの圧を防いだ。
(確かにシイナは信頼できるし、情報屋は別に危険な場所ではないし・・別に隠すことでも無いし、知っていてもらえるほうが良いし・・良いか。)
「わかった!一緒に行きましょう!深夜に出るわよ。」
シイナはその発言を聞き、安心したようにスッと隣に立ち
「そのお言葉を待っていました。今日の夜はよろしくお願いします。」
と言って暖かい紅茶と軽食をルイザに出して、そのまま去って行った。
(シイナ・・なんかそういうところ・・強くなったよね・・)
ルイザは心の中で後輩だったころのシイナと今のシイナを比べつつ、書類片手に軽食を食べ始めた。




