第十四話:その頃
5人がヨハスを怪しんでいたころ、ヨハスはファートン子爵領地にある民家を訪ねていた。
トントンと平民が持つには豪華な家のドアをノックすると中から使用人が出てくる。ヨハスの顔を見て室内へ声をかけた。
「奥様!旦那様が来られましたよ!」
鏡の前で髪の毛を整えていた、深紅の髪の毛とグレーの瞳を持つ女性、マリサが立ち上がり玄関の方へ駆けてきた。
「ヨハス!待ってました・・!」
「マリサ・・!」
マリサはヨハスの顔を見た瞬間瞳を大きくし、ヨハスに抱き着いた。
ヨハスも表情をだらしなく歪めながら笑顔で抱き返した。
「お母様、どうしたの・・?あ!お父様!!」
声を聞きつけ、室内からグレーの髪に金眼のシンシアと同い年くらいの少女が出てきた。
最初はいぶかしげな顔をしていたが、ヨハスの顔を見るなり顔を輝かせ2人に飛びついた。
「おお、アリス!会いたかったよ!元気だったか!」
「お父様!アリスは元気です。」
3人の抱擁が終わった後、アリスは口をとがらせながらヨハスに話しかけた。
「お父様アリス、毎日会えたらお父様に会えたら嬉しいのに。どうして会えないの?早くアリスをお父様のところに連れて行って!」
アリスのかわいいわがままにヨハスはデレデレしながら答えた。
「おお~アリス、ごめんなぁ。今少しずつアリスとマリサを迎え入れる準備をしているからな。」
ヨハスは家の中に入り二人にキスをした。
「ヨハス、作戦の方はどうですか?」
マリサは手で使用人に紅茶の準備を依頼しながらヨハスに声をかけた。
ヨハスは使用人に注いでもらった紅茶を飲みながら笑顔で話した。
「作戦は順調だよ。今は少しずつ新しい使用人を入れてる最中さ。君ももうすぐでこちらに来てもらうことになるから安心してね。」
「ヨハス!!嬉しいです!ありがとうございます。」
「僕こそごめんね。最初から妻として迎え入れることができなくて・・。本当に申し訳ないよ・・。」
「いいのです・・!ところでアリスはどのようにするのですか?」
マリサは目を輝かせながら尋ねた。
「今日、僕はいつも通り領地視察でここに来ているだろう?提案なんだけど、次回の視察中にアリスを見つけたことにするんだ。道端で倒れていたと。伯爵家に連れて行って『伯爵家としてかわいそうな孤児を見捨てられないから養子として受け入れようと思う』と言って無理にでも養子入れしようと思うんだ。どうだい?」
マリサは目を輝かせ頷いた。
「まあ!いい考えです!ありがとうございます。アリス、良かったわね。次からあなたは伯爵令嬢よ。」
「はい!アリスとーっても嬉しい!ありがとうございます!お父様!」
「アリス!僕も嬉しいよ!」
3人はとても嬉しそうに笑いあった。
(今までは仕方なくルイザと共に過ごしていたが、これからは違う!!今は兄上だけではなく、あの方々も僕を支援してくださっている・・!次はアリスとマリサを迎え入れることができる・・!)
ヨハスは現在ルイザや4人の使用人たちに怪しまれていることを知らずにマリサという愛人宅で浮足立っていた。




