第十三話:同じ違和感を持つ者たち
「はあ、大変だったわね。全く」
ルイザは執務室で深いため息をつきながらその場にいるシイナ、アタン、ニック、ディーンに向かって話しかけた。全員心なしか暗い表情をしている。
新人護衛の死因は奥歯に差し込んであった毒であり、新人メイドは首の太い動脈、頸動脈を切られたことによる大量出血と護衛と同じ毒が全身に回ったことだと分かった。
目の前で人が死ぬところを初めて見たシンシアは精神的な負担が強かったのかその場で倒れてしまい、今は自室で寝かせている。
シンシアの専属メイドだったレマとエリ、専属だった元護衛を戻し3人でシンシアに付き添っている。
「あの・・」
そっとニックがルイザに声をかける。
「不敬であることを承知したうえで、お伝えしたいのですが・・よろしいですか?」
「いいわよ。」
「あの・・この一連の騒動については、ヨハス様の声がかかった者が多く関わっております。入ってきた新たな使用人や家庭教師については、全てヨハス様の命令に従い対応した結果でございます・・。ヨハス様、これは何か疑わしい何かがあるのではないでしょうか。」
ニックは慎重に言葉を選ぶように話しながら、最後はしっかりルイザの目を見て、ヨハスが疑わしいことを伝えた。その言葉を聞いた他の3人も頷いた。
「ルイザ様、メイドたちを混乱させたのもヨハス様の人事異動が原因でした。」
「ルイザ様、護衛を急に変更することになったのも、新人護衛が着任したのもヨハス様の推薦があったからです。まあ、正直私はあの者は最初から何か胡散臭いとは思っていたのですが。」
「俺も今の流れではそう思います。」
シイナ、ディーン、アタンの流れで3人は真剣な表情でルイザをじっと見詰めながら意見を発する。
(この4人は信じることができるな。)
真剣な4人の表情をッ見てルイザは改めてそう思った。そして、今自分が調べている状況を共有することを決めた。
「実は私も最近怪しいと思っていたの。最近やけに使用人を新しく入れようとしていてね。推薦状はもっては来るんだけど、見せたくなさそうな様子もあるし・・。最近5人の推薦状を渡されたので、実は今とある情報屋に調べてもらっているのよ。裏がないかね。これで何も出なければいいって思っていたけど・・、まさかシンシアの周りがこんなになっていたなんて・・」
「また新しい使用人を入れようとしていたのですか!」
驚いたようにニックが声をあげる。
「今、十分人手があるので、新しく入れる必要はないと思います!やはり何かおかしいです!」
「私たちの方でも拡充は不要かと思います。今のところ退職する予定のメイドもいませんし。寧ろみんなここの仕事が好きだと言っています。」
「騎士団の方も順調だよね~。推薦っていうよりはなんていうか、騎士団に入りたいっていう入団希望者は元々多いほうだし、ね、団長」
「うむ、そうだな。」
全員使用人補充は不要であると声を挙げる。ルイザは頷きながら伝えた。
「とりあえず、情報屋からの連絡を待って、詳しい情報を得てからどう動くかを検討したいの。正直こんな、推薦状をみたらすぐバレる様な手を取るのは裏に誰かいるからかもしれないわ。皆は自分のところに入った使用人についての情報が何かわかれば共有してもらえる?メイドが言ってたガスティン侯爵も気になるし。」
「「「「はい」」」」
ニックは新人メイドと護衛の推薦状をルイザに見せ言った。
「先ほどメイドは推薦者はガスティン侯爵と言いましたが、書類にはファートン子爵と記載されています。これも裏がありそうです。」
ルイザはその書類をみて深いため息をついた。
「一体何に繋がってるのかしらあいつは。」
「ガスティン侯爵と繋がっていそうですね。」
全員ため息をついた。
「あ、ちなみに本日ヨハス様は領地視察に行き、今日は戻られないと先ほど連絡がありました。」
ニックからの報告に皆顔を合わせた。
(あいつどこの領地視察に行ってんのよ。)
ルイザは心の中で悪態をついた。




