第十一話:暴いていく
「ニック、フリーダ男爵へ早急に手紙を送って。内容は男爵夫人が犯した罪と少なくとも数日は帰らせない旨を記載しておいて。」
「はい。わかりました。今すぐ手配をしておきます。」
ニックが手紙の準備のため退室した後、シンシアに優しく尋ねる。
「シンシア、今まで何回鞭で打たれたの?」
「お母様・・鞭打ちをされたのはここ数日です・・多くて1日10回位叩かれることもありました・・。」
「そう・・。そうだったのね・・」
ルイザがシンシアに向けていた優しい表情は一変し険しくなった。
手には力が入っているようで、青い血管が浮き彫りになってきている。
「・・今の状況じゃ夫人は口を割らないようだから、とりあえず地下牢で鞭打ちの刑にしましょうか。もちろんシンシアが今まで受けた回数分、いや、それ以上をね。」
「ひぃっ」
ルイザのやり取りを見てフリーダ夫人が小さく悲鳴を上げた。
ルイザはそれを聞いて呆れたように話す。
「夫人。一体何を怖気づいているの?あなたがしたことをそのまま返す、ただそれだけよ。」
「・・そ!それは・・それは!!!」
「シンシア、罰の内容は後で一緒に見ましょうね。」
フリーダ男爵夫人は喚き散らすがルイザはそれを無視。
シイナはフリーダの口にハンカチを噛ませ自害できないようにし、後頚部を叩いて意識を失わせた。
ルイザはその状況を見終えた後、床に転がるメイドと護衛を蔑むように冷たく話しかけた。
「さて次は・・あなたたち、もう起きているわよね。私、あなたたちの顔を見たことがないのだけど・・どこのどなたかしら?シイナ、アタン、教えて頂戴。」
「はい。メイドの方は先ほど話していた最近お嬢様付きになった新人メイド、ヘレンです。」
シイナは淡々とメイドの説明をする。
「えーっと、君、ごめん、誰?
」
一方アタンはシンシア付きの護衛騎士を全く知らないようで頭をポリポリ搔きながら冷や汗をかいていた。
「はあ、知らないってどういうことなの、アタン。あなた、騎士団長でしょ?・・しょうがないからアタン、ここに副団長を連れてきなさい。」
「すみません!でも本当に俺、この人を知らないんですよ。最近入ったのかなぁ・・」
ぶつぶつ言いながら副団長を呼びに退室するアタン。
そんなアタンを尻目にルイザは話を進める。
「あなたたち、なぜ家庭教師からあのような教育を受けているシンシアを助けなかったの?そもそも今回のようなことは私やシイナに報告する義務があるわよね。違うかしら?」
護衛騎士は口をつぐんだまま何もしゃべらない。
新人メイド、ヘレンは這いつくばりながら言った。
「そんなの、知らないわよ!そんな・・言われていないし・・」
「あなた、ヘレンと言ったわね。どこからの推薦状を経てここへ来たのかしら?」
ヘレンは推薦者の話に対して口をぐっとつぐんだ。
「言えないの?」
ルイザの2回目の問いに対してもそっぽを向くのみで何も話そうとしない。
らちが明かない状況にため息をつきシイナに声をかけた。
「シイナ、メイドが雇い主、守護すべきものを傷つける行為をした場合どうなるかしら?」
シイナはにこりと微笑みながら話した。
「そうですね、基本むち打ちなどの刑が科されますが、最悪の場合極刑に科されることもあります。その罪の度合いについては当主の考えによるようですが。」
「そう。・・素直に何も話せないなら、生かす価値もないし・・そもそも許すつもりはないから・・極刑にしても良いかしら。」
にっこりと笑いながら発したルイザの言葉にヘレンは焦ったように口を開く。
「ま・・待ってください!言います!言いますから!命だけは助けてください!私は・・ガスティン侯爵家の推薦です・・!」




