表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボツ  作者: 角原ぼうる
1/1

少女と青年

点屋街の中心部。

街は人で溢れて賑わっている。

果物や野菜を売る者。衣服を売る者。道具売りや普段その辺に落ちているような木の棒のようなものを売る者までいる。

街は人の手によってきれいに整備され、人が住みやすい環境になっている。

中心には綺麗な水が出る噴水が置かれていて、その周りには多くの人がたむろしている。

この街は商売人で常に溢れ、そして賑わうとても過ごしやすい場所だ。

そこに、ひとりの少女がいた。

少女は果物屋の前で一言いう。

「これ、ひとつ」

少女は赤い果物に向けて指をさして果物屋のおっちゃんにそういうと、おっちゃんは不思議そうな顔をする。

「お嬢ちゃん、金はあるのか?タダであげるこたぁ出来んよ?」

おっちゃんがそういうと、少女は少し困りながらさっきよりも少し大きめの声でいう。

「これ、ひとつ!」

それを聞いたおっちゃんは困りながら赤い果物をひとつ袋に詰めてみせた。

少女はそれを受け取ろうと手を出す。

おっちゃんはそれを見て、

「はいよ。50ベレルね。」

と少女にいった。少女はそれをきいてもなお、袋だけを受け取ろうとする。

おっちゃんは少しムッとした顔をして、

「お嬢ちゃん。金がないならこれは渡せんよ。」

と、少女に伝える。

少女は少し無言になっておっちゃんを見ていた。何か言いたそうな顔をして。

それから少しして、少女は少し俯いた様子で果物屋を離れて歩いて去っていった。

果物屋のおっちゃんは少女の背中を見ながらいった。

「ありゃあ、例の話は本当なのかね。」

おっちゃんはボソッとそういった。


そこに、ひとりの青年が来て言った。

「なああんた。そいつ、ひとつくれてやることはできないのか?」

さっきのやりとりを見ていたかのように青年はそういうと、おっちゃんはいった。

「わりいな。こっちも商売なんでね。売れるもんが売れなくなったらここにもいられなくなっちまうんだ。理解してくれや。」

青年はそれを聞いて難しい顔をする。

(果物ひとつ少女にくれてやるだけで商売がだめになるっていうのか?)

(そんなやり方で商売がうまくいくとでも思ってるのかこのオヤジは?)

青年は心の中でそう思った。

そして青年は果物屋のおっちゃんにいう。

「なああんた。この赤い果物、ひとつ俺に譲ってくれや。」

果物屋のおっちゃんは、また困った顔をする。

それは、青年の服装が少し街とは合わない格好をしていたからだ。

この街はとてもきれいで、何もかもが整備された街だ。

だが青年の衣服は少し汚れていて、ボロと言われても仕方のない服装をしている。

果物屋のおっちゃんはさっきの少女と同じくこの青年は50ベレルを持っていないのでは?と青年を見て思った。

そしておっちゃんは青年に問う。

「50ベレルだ。払えるのか?」

青年は答える。

「ああ。それでひとつくれ。」

そういうと、青年はおっちゃんに淡々と50ベレルを支払い、袋に詰められた赤い果物をおっちゃんから受け取った。

おっちゃんは果物くらい買う金はあるか。と少し苦笑していた。

袋を受け取った青年は50ベレルで買った果物を見て思う。

(こんな、赤い果物ひとつもらえない街。なんなんだ?ここは。)

青年は果物を受け取った後、さっきの少女が行った道を追うように歩いて行った。


青年は少女を追う途中、街並みを見渡していた。

街のなかに建つ建物はどれも頑丈そうできれいにされている。

道端には塵がほとんど落ちていない。どでかい噴水もとてもきれいだ。水はまったく濁っていないように見える。

街にいる人はみんな楽しそうだ。平和そのものといったような、そういう街だ。

しかし、そんな街で一部、不思議な場所があった。

人がいるその場所。そこにいる人たちはとても裕福そうに見える。

だがそこには違和感があった。青年はその違和感を感じとる。

青年が見ているのは裕福で幸せそうな大人たちではない。

子どもだ。子どもたちが数人、その裕福な大人たちと一緒にいた。

大人たちはとても楽しそうに会話をしている。

だが子どもたちは今か今かと何かを待つような、とてものんびりしている感じには見えなかった。

今、そこに何か来るのではないかと思わせるような、常に集中しきったような子どもたち。

一言話しかけたらすぐにでも飛びついて噛まれそうな、獣のような子どもたち。

周りの大人たちもその子どもたちのことは見えているはずだ。

だがその子どもたちに目をやるものはいなかった。見て見ぬふりをする大人たちばかり。

青年はそれを見て少し腹を立てる。けれどそこに関わるのはよくないと直感で思う。

青年はこの街の人間とはだいぶ離れた服装をしている。子どもだけ助けようにも、その大人たちの集まりについて知らなすぎた。そもそも助けが必要なのかもわからない。

自分も、そこにいる大人たちと同じなのかもしれない、と少し悲しみを覚える青年。

青年はまた、さっきの少女の行った道を見てたどり始めた。

作者から


小説を書く事に慣れていないので不慣れな所が多いです。

前書きが何かもまだよくわかっていません。メッセージ的なものとして書いています。

このタイトルを読む方が少しでも楽しんで読めるように頑張ります。

よろしくお願いします。(角原ぼうる)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ