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脱出

「ささ、こちらへこちらへ!」


 今、俺はさっき先頭に立って俺に話しかけていたお爺さんに連れられて、浮いている小石が豪勢に飾られている部屋に連れらてきている。


「この石は職業を知ることができる神秘の品でございます。さあ、勇者様のお力を私達にお示しください!!」


 この人達は本気で俺のことを強いと思ってるのか?

思ってるんだろうな、こいつらのあの叫びようを見たら一目瞭然だ。


「言っとくけど弱いぞ?」


「ははは、そのようなわけ無いでしょう」


 老人は愛想笑いをすると俺の意見などどうでも良いと言うふうに俺を無造作に押して小石に手をかざさせる。


 こいつ俺の事絶対に道具としてしか思ってないな。


 無理矢理に手をかざさせられると小石から眩い光が溢れ出始めた。


「おおっ、強い光。素晴らしい!期待ができますな!!」


 光は辺りの騒音軍団、一面を覆い尽くすと、だんだん収縮していき側にあった石板に文字として映し出された。


------ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

職業『魔物使い』 白羽夕陽 17歳


ユニークスキル『動物愛好家』

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「おお!!!……魔物使いですか。」


 クリスマスプレゼントを貰う前子供のようなキラキラした目で待っていた騒音じいさんは、いかにもガッカリしたように肩を落としため息をついた。


 一瞬の空白の後に周りはざわめき始める。

所々から落胆した声が聞こえてくる。


「え、魔物使いとか俺と同じじゃん…」

「そんなに凄い職業だっけ?まあ、少ない事は少ないけど」

「は?なわけ。良く言っても中の下が関の山だな。」


 いや、知るかよ。

勝手に呼び出しといてその態度は無いだろ。


「え…ユニークスキルがあるではないですか!!

なんと、さすが勇者様!!他に持っている人など賢者様か国王様ぐらいのものですよ!!」


 落ちきった空気をどうにか変えようと老人は声を張り上げて言った。


 いや、いつも通りか。


 老人の声を聞いた群衆は石板に目を釘付けにして、疑うように周りに確認をし始めた。


 賢者か王か知らないけどお前らの望むような強さは無いぞ


 ユニークスキル『動物愛好家』

・動物への愛


「えっと、動物への愛です。」


「え?なんとおっしゃいましたかな?」


「だから、動物への愛の力です。」


「「「「は?」」」」


 今、ここにいる全員があきれたようにそう言った。

やっぱりか、お前らの望みは叶えれないんだよ…


 あれ、おかしいな。こんな勝手な奴ら大嫌いなはずなのに凹んでいる自分がいる…


「あはは、大丈夫です。勇者様はドラゴンなどを使い魔になさるのでしょう。大丈夫です。うん、大丈夫ですよ…」


 乾いた笑いを浮かべながら大丈夫と連呼している。


 きっと俺に言っているというより自分に言い聞かせているのだろう。


 これを機に勇者の座下ろしてくれないかな。




「はぁ、することねー!!」


 職業検査から3日経った。


 あのじじいに客間に連れられてからというものずっとこの部屋に鍵をかけられて幽閉されているのだ。


 食事は朝昼晩3食決まった時間にメイドが運んできてくるから困らないが、何も言わずに出て行ってしまうのだ。


 人と話したいとは思わないがどうなっているかぐらいは教えてほしい。


 この部屋に入れられる前に一言

「少しお待ちくだされ」

と言われただけで、そんなに待てるか!!


 勇者ってことは国のために何かさせられるよな。

なのに俺は部屋に幽閉されてニート生活……


 そこから導き出される意図は、どう考えても俺にとっていいものじゃない。


「どうにかして逃げ出さないと!」


とは思うんだけどねぇ…


 鍵かかってて、窓はあるんだけどビルの5階ぐらいはある高さにあるから降りようにも落ちたら死んじゃうんだよね。

他に出れそうな場所もないし……


 危機感はあるんだけど、どうしようもないんだよなぁ。


 外を眺めても街はいつも通り賑わっているだけだ。

あの魔物のみたいに空を飛べたらすぐに出ていけるのにな。




((〔グリフェン〕を使役しました))




「え?」




 ユニークスキル『動物愛好家』

〔グリフェン〕使役により能力を獲得しました。


 スキル『荷車の主』

 スキル『万力鉤爪』




「キュイイイイイ!」


ドガァァァン!!!


 頭の中に声が響くと、超大型の鷲のような生き物が壁を突き破って部屋に入ってきた。


 この魔物結構頑丈そうな壁壊してるよ、誰か城の人が来ちゃうよ。問題になっちゃうよ、やばいよ…


「キュゥ!!」


 満足気な泣き声を上げると、この大型の魔物は近づいてきて頭を擦り付けてきている。


「いや、壁壊したのは嬉しくないからな?」


 怒って言っても、我知らずと甘えてきている。

 この様子だと、本当にこの魔物を使役しちゃったんじゃないよな?


「キュ!」


 当たり前だろ!とでも一声上げるとなにかを求めるような目でこちらをじっと見つめてきた。


 俺と仲良くなりたい?

なんとなくだが、こいつの思考が伝わってくる。


「うーん、じゃあ名前をつけてやろうか?」


「キュゥ!!」


「鷲に四肢のある体、どっかで見たことあるような…

あ、グリフォンか!じゃあ、グリンでどうだ?」


「キュィ!!」


 グリンは気に入ってくれたようだ。




 ユニークスキル『動物愛好家』

グリンとの仲が深まったことにより、使役主と使い魔のステータスが上昇します。




 そういう効果もあるのか!

それを知ってて言ってたならグリンは超優秀じゃないか!!


「グリンは偉いなぁ」


「キュィキュィ!!」


 嬉しそうに鳴くと、グリンは背中を強調してくる。

 乗って欲しいのか?なんで?


「キュィィ?」


 出たくなかったの…?

あっ乗せて連れ出してくれるのか!

なんていい魔物なんだよ…


 人に優しくされたの久しぶりな気がする…人じゃないけど


「そうだな、ありがとう。行こっか!!」


「キュゥ!」


 グリンは俺を背に乗せると、空いた壁から飛び立っていった。


「ユウヒ様、どうなされましたかぁ……えぇ!?」


こんな危ない城おさらばだ!






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