3つめのお話 コマドリさんを探そう
持ち主に返したい。
キツネさんの言葉に、リスちゃんもクマくんも賛同しました。
「そうね。返してあげましょうよ」
「キツネさんがそういうなら返してあげたいね。ぼ、ぼくは返しに行きたくないけど…………」
こわがりクマくんは、もちろん森から一歩も出たことがありません。
「別にニンゲンに直接返さなくていいのよ。森の外側に出せばだれかが気づくでしょ」
しかし根本的な問題が残っていました。返すためには、枝にひっかかっているそれをおろさないといけないのです。
「ねえ、リスちゃん。おろすだけなら君の力でどうにかできないかい?」
「だめよ。もうやってみたわ。でも、どこかにひっかかっているみたいなの」
どうやらすでに試していたようです。そして木から走りおりて、クマくんとキツネさんに近づくリスちゃん。
「それにおろせていたら、もっと面白いいたずらを考えていたわ」
クマくんをもっとおどろかせていたのにー、とクマくんの横にかけより、けけけと笑うリスちゃん。
クマくんは、リスちゃんの言葉に「ひえぇ」といって横に飛びあがりました。そのため、となりの木に体当たりしてしまいます。
どんっと、音がして少しゆれる木。
その様子にキツネさんはいいことを思いつきました。
「そうだ、クマくん。木をゆらしてみてよ。落ちてくるかもしれないよ」
「え、うん。やってみるよ」
根がしっかりとして幹も太い木ですが、クマくんは大きくて力持ちなのでゆらすのにわけありません。
ゆーら、ゆーら。ゆさっ、ゆさっ。
しかし、どれだけゆすってもそれは落ちてきませんでした。かわりに木の実が落ちてきます。
「またひっぱってみようかしら」
リスちゃんは、もう一度木に登ってくれるようです。小さいお手々でひっぱったり、押したり、持ち上げたりしてくれましたが、まったく取れる気配がありません。
「そうすると他にいい手は…………」
「……うーん、うーん。そうだ! コマドリさんも呼んだらどうだろう。コマドリさんとリスちゃんで、ひっかかりを取ろうとしたらどうかな?」
クマくんがいいことを思いつきました。
コマドリさんはかわいいくちばしを持っていて、歌上手なことで有名です。飛べるので、いろいろな角度から引っぱることができるでしょう。
「そうだね。コマドリさんとリスちゃんで、木の上にあがってもらったら取れるかもね」
キツネさんはリスちゃんもそれでいいか聞くと、リスちゃんはこころよい返事をしました。ついでに落ちた実を集めています。
「いいわよ。これを拾ったら、こっちを探すわ」
「それなら、ぼくはあっちを探すよ」
「じゃあ、そっちに行こうかな。では、またあとで」
リスちゃん、クマくん、キツネさんは、それぞれ分かれて探すことにしました。