6話
始まりの土地――大きく広い草原からスタートして、少女は世界を発つ。
わからないことばかりなら、これから知ればいい。この世界にはこの世界のタブーがあるかもしれない。でもだからって、それを恐れてしまい動かなければ、全く進まない。
「……」
ずっと闇の中にいて、その世界しか知らなかったのだ。
闇の中で得た知識は――この世界で通用するのか。不安がないと言えば嘘になる。
何故ここに来ることになったのか。帰ることが出来るのか考え、探そう。
――なんだろう。不安だけでなく、ワクワクしたものがある。
楽しい。
この新しい世界に期待している自分がいる?
見上げれば、天敵が浮かんでいるというのに――。
この高揚感は一体なんなのか――。
「――」
楽しい。
気付けば、走っていた。
後ろの青いのが豆粒になって、そして見えなくなるまで。
驚異的な脚力。
本人はそれに気付いてない。
ずっと動いてなかったはずなのに、理不尽なほどの運動能力だった。
「……」
黒い閃光が世界ルースを走った。
止まった時、緑の世界はまだ終わってなかった。
「は、はああ。凄いな」
まるで無限に感じる緑の世界に黒い少女は感動を覚えていた。
体に当たる風が、心地よかった。
だいぶ走ったはずなのに、まだ続く。
この世界は自分と合ってないはずなのに、この気持ちはなんなのか。
ちっぽけだったから、だ。今までの自分はちっぽけだった。その事に今の現状をもって気付いたから。
今の現状――自分の質と合わずとも、広大な世界は自分に確かに感動を与えた。




