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10話

 結局、オッサンに貰った串焼きの串が輝いて見えるほど綺麗に食べてしまったエスは、再び歩を再開する。

 ……てくてく。てくてく。

 気付けば、あんなに眩しかった太陽の光が随分と弱くなっていた。

 高かった陽が落ちようとしているのがわかる。

「……」

 睨むようにエスは太陽を見上げる。

 力は落ちているように感じるが、とんでもない。この世界の都合で落ちたように感じるだけだ。

 あまりにも強大ゆえに、無限に近いものを感じる。

 だが、形のあるものである以上、必ず最後は来る。

 強大過ぎるゆえに、いずれ来る最後は果てがないよう――。

 エスの化物じみた魔力を帯びた漆黒の瞳をもってしても、ヤツの衰えは点一点ほどのも見せない。

「……」

 あと100万年以上はもちそうね。などと一人で思う。

 …ポツリ。ポツリと。

 小さな鼻に当たった冷たい欠片。

 雨だ。空は別にそれほど暗いわけでもないのに、これ。

 よーく先を見ると、どんよりとした雲が見える。それの影響か。

 エスは、無意識の内に全身に膜のような結界を展開していた。それが雨をはじく。

 雨は強くなり、空は暗黒に染まった。

 億劫なはずの天気だが、エス的には心地よかった。

 属性が闇ゆえに、この暗い雰囲気と光景が、良かった。

 この世界も闇に包まれるのだな、と安心したエスは、適当なところで腰を下ろした。

 長かった今日一日を思い出す。

 最初に出会った青い男。ヴェンと名乗っていた。初の他者との接触。別に不愉快ではなかった。また会えるだろうか。

 次に会ったオッサン。ただでくれた。良い人だったのだろうか?

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