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1話
…少女は、暖かいところにいた。真っ暗で何も見えないけれど、暖かくて安心できた。
「……」
闇。そこは暖かい闇。
そこが、自分の生まれた場所であり、自分の生きる場所。
ずっとそこにいると思っていた。
疑うということが考えられなかった。
しかし、ある日、ある時間、そこから離れることになった。
自分の意思ではない。
引っ張られた。不可視の力によって、自分は自分の居場所から無理矢理引き離されることになったのだ。
理不尽なほど強力な力。
その力の源泉は――光。自分と正反対に位置するものだった。




