『スターマン』
青い空を見上げたら、少しだけ感慨深いものに思えた。それはきっと、昨日の話を聞いたからだろう。私は地上から空の青を見上げ、彼は宇宙から空の青を見ている。私たちは、お互い何億光年先から見つめ合っているんだろうか。久しぶりに会話した彼は、少しヒゲが伸びていた。少し痩せた気もする。けれど、相変わらずキラキラした笑顔でこう言った。
「やっぱ地球って青いんだよなぁ。何回見ても飽きねぇわ」
と。どうしたって手の届かない所にいる彼は、確実に、着実に、自分の夢を叶えようとしている。それに比べて私はどうだろう。通話を終えたiphoneの真っ暗なロック画面の真ん中には、真っ青な地球が浮かんでいる。綺麗に撮れたと、それはもう嬉しそうに言うもんだから、しぶしぶロック画面に設定したのは、いつのことだったか。その地球から目を逸らした。視線の先には、何十枚目かのエントリーシートの下書きが丸まっている。物理的なだけではない、私と彼との間の距離に無性に焦った。宇宙には酸素が無いって本当?だったら私は何故こんなにも息苦しいんだろう。
軽快なマリンバの音が鳴った。
「宇宙?ごめん、言い忘れてたけど、」
『 』
嗚呼、私をいつだって照らしてくれるのは、力をくれるのは、あなただけだ。