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姫路城内の裏計略②

岐阜から遠く離れた姫路城で策略を練り始める秀吉。いよいよ天下に名だたる大下剋上劇が幕開けする… …

「深海殿がご懸念された通り、秀吉が城主となった姫路城内では早速怪しげな動きが見え隠れし始めました。小谷城では身を潜めていた秀吉の腹心の部下である蜂須賀正勝が堂々と動けるようになったほか、要注意人物の石田三成、そして天性の賭博士・黒田孝高までもが加わったのです。とても重治一人で目を配れる範囲を超越していました。秀吉は光成に重治の注意を引きつけさせて動きを封じると、自分は孝高と組んで策を弄し始めたのです。その実働を任されたのは正勝が召し抱える身元の知れぬごろつきなので、実際に足がつくことはありません。万が一の場合は知らぬ存ぜぬを通して切り捨てれば良いだけですからね」


「秀吉が野望高き人物であることは今までの話でも理解できますが、黒田孝高はどうだったのでしょうか。孝高は織田信長という人物に人生を賭けたわけであって、秀吉を信頼していたとは考えにくいのです。織田家の配下になる条件として姫路を明け渡し、その家臣に従属することを承諾したとしても、信長公を裏切るような算段には孝高自身、心情上なれないのではないでしょうか」


「そこは秀吉もちゃんと考えていましたよ。その対応策として秀吉は孝高から人質を取ったのです。その人質として指名したのはまだ九歳の嫡男・長政でした。それも秀吉は『お館様の命令だ』と、涙ながらに孝高に訴えかけたとのことです。もちろん信長様はそのような命令を下してはいません。すべては孝高を手中で操りたい秀吉と三成の策略です。そして三成はさらに孝高を自軍の参謀に仕立て上げ、悪事が露呈した場合は全ての責任を押し付けようとしたのです」


「孝高は三成の策に気が付かなかったのですか。孝高くらいの者ならば分かりそうなものですが… …」


「嫡男を人質に取られてますからね。いくら賭博士と言えど、子供のこととなると冷静な判断はできなかったのでしょう。むしろ孝高の恨みは信長様に向いたのかもしれません。いえ、きっと三成がそう仕向けたのでしょう。そして孝高は友人である荒木村重を巻き込んでいったのです」


「まさか有岡城の荒木村重の突然の裏切りと言うのは… …」


「秀吉と三成にまんまと乗せられた孝高が仕組んだものと考えます。ただもう一人、その呼びかけに応じ勇み足を踏んでしまった人物がいたと私は推測します。それは信貴山城の松永久秀です。彼は度々謀反を企てては失敗していましたが、今度こそ絶好の機会がやってきたとばかりにすぐさま立ち上がってしまったのではないでしょうか。さすがの秀吉方もその時はまだ準備不足。巻き添えを食いかねないと思い久秀を切り捨てたのだと思います。久秀が『平蜘蛛茶釜』とともに爆死したのも、それを心底欲しがって秀吉への当てつけでしょうね」


「えっと、その… …、『平蜘蛛茶釜』は信長公が欲しがっていたのでは?」


「まさか、信長様は茶器などにはさほど興味はありませんよ。ただ政略の一部として重宝していただけです。信長様にとっては、自己信念以外に自身を奮い立たせているものはありません。それに久秀が爆死した後、膝を落として悔しがったのは秀吉だと聞いています」


「そして準備が整った後、有岡城の荒木村重が予定通り動いた、ということですか。ただ村重という男、それほど時代の流れが読めない短絡的な者とも思えません。それも直前に久秀が謀反に失敗している以上、謀反に立ち上がるだけの強い理由と決意を固められるだけの後ろ盾が揃っていたのか甚だ疑問です」


「理由、というより切っ掛けは恐らく比叡山の一件でしょうね」


「比叡山? それはおかしなことです。村重が織田家の臣下入りしたのは比叡山の焼き討ち後のこと。比叡山の一件を許すことができないならば、そもそも臣下入りなどしないはずです」


「そう… …、深海殿の言う通り。恐らく村重自身は比叡山の焼き討ちの主犯が信長様だとしても、さほど問題ではなかったでしょう。それよりも天下布武のために働ける自分自身を誇っていたようにも感じます。しかしここでも浅井長政の時と同様に、抗うことができない力が働いていたとしたらどうなるでしょう」


「抗えぬ力… …勅命!?」


「ただ動いたのは正親町天皇ではないと思います。いえ正直、勅命自体は真っ赤な嘘でしょう。本当に動いたのは天皇の弟君、延暦寺の座主・覚恕法親王。そして毛利輝元の宰相・揺甫恵瓊なのですから」


「… …!?」


「驚きましたか。延暦寺焼き討ちの裏には毛利も絡んでいたのですよ」


「すみません。少し人間関係とそれに伴う背景構図が分からなくなってきました」


 つづく


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