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3 エンゲルハルツ・マタドール
「ダリアの報復」
手に持った刃は
ところどころ欠けていた。
骨を切った際に欠けたのだろう。
一体いくつの骸を作っただろうか。
女だから、と
油断する者が多くて助かった。
しかし、未だに終わらぬ闘争。
どこからか、鉛玉も飛んできた。
ここまでしておいてまだ、
奪い足りないというか。
いいだろう。
ならば私が、
逆に、
貴方たちの全てを奪って差し上げよう。
そして、
奪われる痛みを思い出すがいい。
あの、熱した鉄を無理矢理押しつけられるような、
狂いそうなほどの痛みに、
もだえ苦しむがいい、簒奪者たちよ。
「ダリアの贖罪」
住んでいたところに咲いていた、
色とりどりの花たちは、
皆さらわれてしまった。
私だけが一輪残って、
降りしきる赤色の雨にさらされてた。
いつの間にか全身が
黒赤色に染まっていたので、
私は事を起こすことにした。
同じように赤色の雨を
あの場所に降らすのだ。
でないと、
さらわれた花たちも
報われない。
私も花たちに
顔向けできない。
ダリアの花言葉
「華麗」「優雅」「気品」「移り気」「不安定」