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maverick-マーヴェリック-  作者: 流星の瞳
1/8

第1話 Beginning-はじまり-

「やっと見つけた……」


 誰もいない建物の屋上。一人の男がそんな独り言を漏らす。

 そんな独り言は誰にも聞かれずにそのまま消えていった。


 ☆-☆-☆


「はぁはぁ……」


 如月 棗きらさぎ なつめは、息を切らせながら走っていた。

 というのも寝坊したからである。今日は日曜日。明日も休日だと思って夜更かししてしまったらすっかり寝過ごしてしまった。

 しかし、今日は友達と遊ぶ約束をしている。

 マジでやべぇ……全力で走ればぎりぎり間に合うか……?

 スマホを取り出し時間を確認しながらそんなことを思う。


 そんな急いでいた時──


「おい、お前」


 唐突に声がかかって棗の足が止まった。一応急いで周りを確認するが、近道のため人のあまり通らない裏路地を走っていたためか周りに人の気配は無い。


「そう、お前だよ。お前以外に誰がいると思ったんだ」

「? ……誰ですか? 初対面ですよね……」

 そう言いながら棗はいきなり声をかけてきた人物に向かって振り向く。

 声をかけてきたのは意外にも自分と年齢の変わらなさそうな青年だった。やや痩せ気味だが身長が高くスラッとしている。

 スタイルもいいし案外モデルとかってこんな感じなのかな?

 とか、まずどうでもいい第一印象が浮かんでくる。


「ん? あぁ、初対面だ。というか以前会ってたら驚きだな。もしかしたらお前は俺を知ってるかもしれないが……」


 いや、知らねーよ。初対面だよ。というかこちらが知ってるってどういうことだよ。

 と、棗は口からツッコミが出かけたがとりあえずそれは飲み込む。

 急いでいるのだ。こうしている間にも時間は経っていく。


「なら、なんで俺に声かけたんですか? 今、ものすごーく急いでいるので急用では無ければ後にしてほしいんですけど……」

「いや、一つ質問があってな……すぐ済むからさ、 ちゃっちゃっと答えてくれない? イエスノーだけでいいからさ」

「なら良いですけど……」


 時間はだいぶ押しているがここは相手の質問とやらに答えようかな、と棗は思った。どうせイエスノーで一問答えるだけならそんなに時間がかからないはずである。


「よし来た!! なら質問……」



「如月 棗君は能力者かな?」



「……」


 その青年の放った一言で場の空気が凍りついた。

 少なくとも棗にはそう感じれた。

 棗は驚きの衝撃で一瞬息をするのも忘れていたほどだ。あまりの衝撃に棗は教えたはずもないフルネームを相手が読んだことに気づくのにもかなりかかったほどだ。

 その様子を見て相手はにっこりと笑って言った。


「その様子だとイエスみたいだな」

「!!」


 瞬間に棗の体は動いていた。思考が追いつくよりも早く、来た道を引き返すように……相手から逃げるように走り出す。


「ちょっ!! 逃げられたら困るんだけど……」


 後ろから相手の声が聞こえたが無視である。というかとにかくヤバい。なにかわからないがヤバい。棗自身なんですぐに逃げ出したのかわからなかったがとにかくヤバい。

 その思想だけがパニックになった棗の頭をぐるぐると回り続ける。

 なにしろ能力者は人類から迫害されるべき存在だからである。能力者であるとバレたらまともな人生は送れない。そんな世の中でいきなり能力者と言い当てられたのである。何故かはともかくある意味棗がパニックになったのは当然であった。

 そんなパニックな状態でただあの青年から逃げることだけを考えて棗は走っていた。


 ☆-☆-☆


 どれくらい走っただろうか……かなりの時間全力で走ってきた事は確かである。


「はぁはぁ……はぁはぁ……とりあえずこんだけ逃げとけば大丈夫か……?」


 全力で走ってきた体を休ませるためにゆっくりと止まる。

 知らないうちに更に裏路地の奥へと走っていたらしく、周りは普段は通るどころか見たこともないような細い道ばかりが続いている。

 その時……



「みーつけた!! 全く苦労かけやがって……」



 棗は今一番聞きたくない言葉を聞いてしまった。

 急いで振り向く。するとそこにはもちろんあの青年が居た。


「まじかよ……」


 棗はまた走ろうとしたが、すぐそれは阻まれた。

 逃げようとした道の地面から突如として生えるように壁が出現したからだ。

 ここは一本道である。


「!?」


 もともと走りっぱなしで酸素が足りてない棗の脳が更にパニックを引き起こす。

『こいつも能力者……!?』

 ゆっくりと青年はこちらへと歩いてくる。こちらもじりじりと後ろに下がったがすぐ壁に背中が当たってしまった。


「はぁはぁ……はぁはぁ……はぁはぁ……」


 青年はゆっくりと歩きながらこちらとの距離を詰めてくる

 どうしようか……。なんて考えても見たが酸欠パニック状態の頭は妙案を生んでくれなかった。

 それでも何か考えないと命の危険すらある。どうやったこの状況を回避できるのか……。


 一か八かあいつの横をすり抜けるしか無い。

 結局妙案は出ず、誰でも考えつきそうな事を棗はやっとのことで思いつく。


「はぁはぁ……」


 先程全力で走りすぎたのかだいぶ体力は失ってる……長いことは走れない……これはタイミングが大事だ……落ち着け……

 そう棗は近づいてくる青年を睨むように見ながらゆっくりと心を落ち着かせる。

 相手は油断してるのかゆっくりと近づいてくる。


『よし!! 今だ!!』


 そう思い一かバチかで飛び出す。狭い路地だが、それでも横を通り抜けるくらいは余裕である。


『よしっ!!』


 まずは油断していたためか相手の横をすり抜けることにあっさりと成功する

 とりあえずはこの状況を脱出しなければ……そうすればあとは警察に逃げ込むなり何なりできるはずだ。


「あっ……」


 相手のそんな『あっ、しまった……』的な感想が聞こえた気がする。

 よし、後はこの道を曲がって──

 なんて思った時である。


「!?」


 後頭部に結構な衝撃を感じた。まるで何かに殴れたような……

 あまりの衝撃に棗の意識が飛ぶ。

『しまっ……た……』

 なんて思ったが時すでに遅し、棗は道に倒れていた。

 起き上がる気配はない。


 後に残されたのは気絶した棗とそのすぐ隣に立つ青年だけである。


「はぁ……めんどくさいなぁ……条件反射で能力使っちゃったけど……とりあえずどっか運ぶか……」


 なんて男は目の前の気絶した棗を見ながら呟いたのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます


新たになろうの方でも投稿をさせていただきます

よろしくお願いします

あらすじにも書きましたが、ハーメルンの方にも投稿させていただいております


一応一週間に1話

最低でも一ヶ月に1話は守って投稿していきたいです


もしよければコメント、感想いただけると嬉しいです


ではでは、改めてここまで読んでいただきありがとうございました

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