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第40階層 切っ掛けって大抵ひょんなことだ

佐藤「特撮、アニメ、ラノベ、漫画、どれでもいけるよ!」


 魔物達による、新たな部隊ができた。

 部隊名は次世代部隊。魔物達の間に生まれた子供達によって構成された部隊で、リーダーはバイソンオーガ。

 アンノウンオーガと相打ちして死んだ、あいつの息子だ。


「ではこれより、訓練に入ります」


 騒ぎながら整列する次世代部隊の前にローウィが立ち、訓練の開始を宣言した。

 だけど魔物の子供達は騒ぎ続けており、静まる気配が無い。


「静かに! 真面目にやらないと、あなた達の命が危ないんです。ちゃんとやらない子は、親に通達して叱ってもらいます!」


 さすがに親に叱られるのは嫌なのか、全員すぐに静まり返った。


「それでは改めて、訓練を始めます。まずは基礎訓練です」


 ローウィの指揮で始まった訓練の様子を見学し、たどたどしい動きで訓練をする魔物の子供達を見守る。

 傍らには子供達の訓練を見守る親の魔物達もいて、魔物同士で会話をしている。

 まるで公園で子供を見守りながら井戸端会議をしている、母親達のように。


「そうだ、そろそろアレも準備しておくか」


 アレっていうのは、バイソンオーガを武装化して作った魔斧槍・魂豪のことだ。

 子供がある程度成長したら渡す約束を母親と交わしていたけど、もうそろそろ渡してもいいだろう。

 早めに武器の扱いに慣れておいた方が戦いやすいだろうし、アレはあいつの父親そのものだからな。


「この訓練が終わったら、渡しておくか」


 次世代部隊は初訓練とあって、内容は基礎的なことばかり。

 召喚する魔物とは違って子供だから、そこから取り組むのは間違っていない。

 まずは体作りをしないといけないのは、スポーツの世界も同じだからな。


「そこ、しっかり走りなさい! 足が無いから無理? そんなのは些細な事です。走ろうと思えば、あなたはどこまでも駆け抜けられます!」


 なんかスライム達を前に熱弁してる。

 やめろ、さすがにそいつらが走るのは無理がある。泳ぐのは割と早いけど。


「彼らを見習いなさい! あんなにスイスイ走っているじゃないですか!」


 彼らっていうのはナイトバットの子供達のことか?

 ちょっと待て、あれは走っていない。飛んでるじゃないか。

 あれをスライム達に求めるのは間違っているぞ。

 さすがに見過ごせないからちょっと注意して、頭を冷やさせた。

 使役スキルによって、スライム達がホッとしたのと、感謝を告げてきたのが伝わって来た。


「じゃあローウィ、あとは任せるぞ。絶対に無茶はさせるなよ」

「心得ています!」


 お前の場合、それが空回りする時があるから不安なんだよ。

 特に今回は子供達が相手だから、何かあったら困る。


(魔物達にちゃんと止めに入るよう、言っておくか)


 念のため、育成スペースで待機中のフロアリーダー級の魔物達に、危ないと思ったら訓練を止めに入るように言っておいた。


「これでよし、っと」


 少なくとも子供達のトラウマに残るような事は起きないだろう。

 多分、おそらくは……。

 そう思いながら司令室へ戻り、仕事に移る。

 今朝売却した冒険者達の金額に、昨日の収支報告のまとめの確認、やることはいくらでもある。

 それらを処理しながら侵入者への対応をして、ダンジョンの状況に応じて各所に細かい指示を出していく。


「その冒険者は売却に、こっちの死体は強いからダークネスゾンビで再利用する」

「あの、マスター。ちょっとお願いが」


 どうしたリンクス。

 って、こいつがするお願いと言えば決まっているか。


「欲しい女冒険者がいたか? どいつだ」

「こっちの背の低い子を。代わりに、今いる二人は売って構いません」

「分かった。そいつらは売却用の牢屋に移しておいてくれ」

「了解です」


 牢屋は売却待ち用と、リンクスのお楽しみ要員用の二種類ある。

 売却待ち用はどれだけの侵入者が捕まるか分からないのと、男女別にするため複数用意してある。

 男女を一緒に閉じ込めておいて、面倒事が起こるのを回避するためだ。

 リンクスのお楽しみ要員用は女性のみだから、数は売却待ち用より少ない。

 でも長期間いる場合を想定し、最低限の生活環境は整えてある。


「ヒイラギ様、こちらの魔物はどうやって生み出したのですか?」


 ここの魔物に関する資料を手にしたエリアスが尋ねてきたのは、ここ最近フロアリーダー級として加わった新たな魔物についてだった。




 名称:デッドリー・マンティスコーピオン

 名前:なし

 種族:アンデッド(キメラゾンビ)

 スキル:斬撃 飛行 毒 火魔法耐性




「ああ、こいつか。新しい死霊系の魔物を生み出す実験で作ったんだ」

「キメラということは、複数の魔物を利用したんですか?」

「そうだ。元はこの魔物達だったんだ」




 名称:スラッシュマンティス

 名前:なし

 種族:マンティス

 スキル:斬撃 飛行



 名称:ヒートスコーピオン

 名前:なし

 種族:スコーピオン

 スキル:毒 火魔法耐性




 スラッシュマンティスはランク二になった時に、ヒートスコーピオンは今のランクになってから、それぞれ召還した魔物だ。

 そいつらを使って生み出した、デッドリー・マンティスコーピオンを生み出した切っ掛けは、新しい死霊魔法の使い道はないかと考えていた時だった。

 ふと思いついたのはスカルウルベロス達のように骨だけに拘らず、肉体も残した状態で死霊魔法を掛ければどうなるのか、という案だった。


「で、侵入者にやられたこいつらを使って試してみたんだ」


 頭部と右腕を残したスラッシュマンティスの上半身に、ヒートスコーピオンの左腕と下半身。

 これらの切断面を密着させた状態で死霊魔法を掛けた結果、デッドリー・マンティスコーピオンが生まれた。

 右腕に鎌、左腕に鋏、毒針のある尻尾、カマキリの羽を持つ合成されたゾンビだからキメラゾンビなんだ。


「なるほど。虫もゾンビも火に弱いですが、ヒートスコーピオンを使うことで火に耐性を持って……」


 一通りの事を説明したら、資料を手にブツブツ言い出した。

 どうやらエリアスは魔物について高い関心を抱いてるみたいで、休憩時間に育成スペースで魔物達を観察したり、訓練の様子を見学したりしてるから、一度魔物について議論してみようかな。

 ……婚約者相手に色気ないなぁ。


「他に何か質問はあるか?」

「質問はありませんが、一つ提案させてください」


 提案か。なんだろう。


「どんな提案だ?」

「ヒイラギ様の世界には、ガッタイやヘンケイというものがあるそうですが、武装化のやり方を応用してこれを可能とする魔物を作りませんか?」

「誰か先生呼んでこい!」


 教えた犯人は一発で見当がついた。

 この手の事を語りそうなのは先生ぐらいだ。

 すぐに手の空いていたリンクスにより、居住部で洗濯中だった先生が連れて来られた。


「何か用かしら、柊君」

「余計な知識を広めないでください! 合体とか変形とか、絶対に先生の入れ知恵でしょ!」

「いいじゃない。変形と合体って、ロマンが有るでしょ?」

「少なくとも俺は、そんなロマンは幼少期の過去に置いてきましたね」


 あの頃は本当にそっちに夢中だったな。

 実際に出てくる特撮ヒーローよりも、ロボットがどんな変形をするのか、どんな合体をするのかって。


「そんな! 男の子の半分は、夢とロマンでできているんじゃないの?」


 半分は優しさでできている薬ですか、先生にとっての男子は。

 ていうか、もう男の子って年でもないぞ。

 そもそも現状を省みれば、夢とロマンより現実を優先して生きていくべきだろ。


「とにかく、変な事を広めるのはやめてください」


 でないと俺達のいた世界が、あらぬ誤解を受けそうだ。


「分かったわよ。でも、変形や合体をする魔物がいたら面白いと思うでしょ?」

「思いますけど無理です。変形も合体も」


 第一どうやるってのさ。

 まさかロボットみたいに操縦するのをイメージして、武装化しろっていうのか?

 仮にそれができるとしても、操縦方法とかも考える必要がありそうだから、イメージが難しそうだ。

 それこそ武装化した魔物が自立でやらなきゃ……自立?


「待てよ」


 ちょっと面白い考えが思い浮かんだ。

 もしもこれが上手くいけば、変形する魔物は可能かもしれない。


「エリアス、ちょっとその資料を貸してくれ」

「どうぞ」


 差し出された資料を受け取り、ある魔物に関する項目を開く。

 その魔物はダークネスナイトゾンビ。

 こいつは魔物としての意識を残したまま、武装化することに成功している。

 これを応用して、外部に纏わせるんじゃなくて魔物の体内ごと武装化させたら、変形する魔物は可能なんじゃないのか?


「あの、ヒイラギ様?」


 でも体内ごと武装化するのは試したことが無い。

 これまで武装というと外部にあるって考えに囚われていたけど、武装化は体ごと武器になっている。だから内部を変更することだって可能なはずだ。


「もしもし? もしもし?」


 待てよ、ということは関節を逆に曲げられるようにしたり、体内に武器を仕込んだ体にすることも可能なはず。


「ヒイラギ様、聞こえてますか?」


 実際にやってみないと、なんとも言えない。

 でも成功すれば、武装化のバリエーションが広がることに繋がる。

 しかもそれが体内改造なら、子供の頃に見たロボットのような攻撃手段を備えさせられるかもしれない。

 さすがにビームは無理だろうけど、魔法の力を利用して火炎放射器とか放電とかはできそうだ。

 だとすると……。


「ヒイラギ様、失礼します」

「あ痛っ!」


 何だ? 後頭部を引っ叩かれたぞ。

 驚きながら振り返ると、申し訳なさそうな表情をしているエリアスがいて、その手にはハリセンが握られていた。


「ご、ごめんなさい。サトウさんから、これを使って正気に戻すといいと言われたので」


 しまった、思考の世界に浸っていたか。

 新しい実験内容を思いついたから、ついやっちゃったな。

 エリアスには謝っておくとして、後ろで大爆笑している先生には正座してもらおう。


「うぅぅ……。理不尽だよぉ」

「どこがですか」

「思考の世界に浸って、話を聞かない柊君が悪いんだよ」

「それは俺が悪かったですし、そっちから戻すためにハリセンで叩かれても仕方ないとは思います。でも先生が大爆笑していたのは、あまりにも不快だったんで」

「だから理不尽なんだよ!」


 だったら元生徒を叩かせて大爆笑しているのは、一体何だと言うのだろうか。


「ところで、何を思案されていたんですか?」


 話を元に戻したいエリアスの質問で、思いっきり脱線していた話は元に戻る。


「ひょっとしたら、変形する魔物は可能かもしれないと思ってな」

「本当ですか!?」


 うおっ、なんかエリアスの目がメッチャ輝いている。

 そんなに見たかったのか、変形か合体をする魔物。


「あくまで思いついただけで、実験してみないと分からないけど」

「でしたら是非! 見せてください!」

「次の休憩時間にな」


 今はこの件についての考えを固めておきたい。

 どう内部を変化させれば変形が可能なのか、変形させるとしても何にするのか。

 変形している隙に攻撃されて負けるのもバカらしいから、変形はシンプルに。

 そういった考えを纏めておかないと、中途半端な失敗作になりかねない。

 変形途中で動作不良を起こして中断したら、とてもじゃないけど笑えない。


「えぇぇぇぇ」


 残念そうな表情で不満を口に出されても、すぐには無理だって。

 だってついさっきまでは、そんな事が可能だなんて思ってもみなかったんだから。

 いくらエリアスの頼みでも、こればかりは時間が欲しい。


「分かりました……」


 口ではそう言っているけど、表情には残念の二文字が浮かんでいる。

 申し訳ないとは思う。でも備えも無しでやって失敗したら、どうなるか分からない。

 前みたいな魔物の爆発でぶっ倒れるのは、二度とゴメンだからな。

 という訳で、しっかり考えを纏めておこう。




 ****




 そしてやってきた休憩時間。

 必要な魔物を召喚した後、司令室業務をアッテムに引き継いで育成スペースへ向かう。

 すると楽しみにしているエリアスだけでなく、俺が何をするのか気になっていそうなイーリアも待ち構えていた。


「お待ちしていました!」

「今度はヘンケイ、というものを試すと聞きましたが」


 魔物好きなエリアスはともかく、イーリアまで加わるとはな。

 まあ別に構わないけど。


「それじゃ、やってみるか。おい、ちょっと来い」


 用意しておいた魔心晶を取り出し、召喚しておいた魔物を呼び寄せる。

 その魔物はハイドロタイガー。




 名称:ハイドロタイガー

 名前:なし

 種族:タイガー

 スキル:水耐性 俊敏上昇




 大きさは普通の虎程度だけど、体内にある水袋という器官に水を大量に溜め、それを噴き出して攻撃する。

 その攻撃も歯の隙間から刃状にして飛ばしたり、弾丸のように小分けに撃ち出したり、水流を放つように噴出したりと変幻自在。

 ランク四で召喚できるようになってから、既に何体かは訓練をさせてダンジョン内にも配置している魔物だ。

 水袋に溜める水は攻撃用で泥水でも大丈夫そうだから、水は溜め放題だ。


「動くなよ」


 使役スキルで指示して刃物を取り出し、胸の辺りを切開するためにしゃがむ。

 いざという時に押さえ込んでもらうため、バイソンオーガも二体呼び寄せて作業を開始。

 さてと、ゾンビ以外で生き物に刃を入れるのは、魚を捌くとき以来だな。


「グアッ」


 刃物が入っても使役スキルのお陰でハイドロタイガーは動かない。

 生きている生物に刃を入れるのは、こんな感じなのか。

 ただ胸の辺りを開くだけなのに、生きているって認識だけで精神的負荷が大きい。

 それでもどうにか切開に成功して、鼓動を打つ心臓を露出させた。

 ……赤い。

 生きているか死んでいるかだけで、こんなに赤みが違うのか。


「次は……」


 切開した箇所へ魔心晶を埋め込む。

 さすがに鼓動する心臓に直接切れ目を入れるのは、俺の精神的にもハイドロタイガーの命的にも危険すぎる。


「後は武装化の要領で……」


 考えておいたイメージを思い浮かべながら、魔心晶へ魔力を流していく。

 ハイドロタイガーは苦しみだすと、控えているバイソンオーガ達が身構える。

 でもハイドロタイガーは苦しむだけで動かない。

 使役スキルの効果は凄いな、ここまで命令に忠実なんて。


「おっ、そろそろか」


 魔心晶に魔力が溜まっていき、ようやく満タンになった。

 するとハイドロタイガーは光に包まれ、やがてそれが収まると機械化されたハイドロタイガーが姿を現した。


「おお、なんか硬そうな見た目ですね」

「ちょっと動いてみろ」

「ガウッ!」


 機械っぽい鳴き声で返事をした後、元の姿と変わりない俊敏な動作でスペース内を走り回る。

 続いてスローゴブリンが訓練で使う的に向けて、水袋の水を使った攻撃をさせて支障が無いのを確認した。

 動きも水での攻撃も問題無さそうだから、アレいってみるか。


「それじゃあ、例のやつをやってみろ」

「例のやつ?」

「まさか!」


 そう、お待ちかねのやつだ。


「ガウゥッ!」


 俺達や魔物達に見守られる中、一吠えしたハイドロタイガーは変形した。

 後ろ足は両足に、前足は両腕になって、頭部は獣人のように虎の顔そのまま。

 最後に尻尾が本体から分離し、鞭のような武器として右手へ握られる。


「こ、これが変形……」

「凄いです!」


 できちゃったよ!

 本当にできちゃったよ変形!

 一応はイメージはしたし、出来る限りシンプルな変形にした。でもそれで本当に変形できちゃうのかよ!


(武装化って思ったより、奥が深いのかも)


 普通の魔物でこれなら、ゴーレムやタロスのような人工物っぽい魔物なら、本当に変形合体できる可能性がある。

 あくまでイメージさえ固まっていればな。


「……サイクロプスパンダ、ちょっと試してやれ。加減してな」

「ホアタァァッ!」


 直立形態の戦闘力を確かめるため、サイクロプスパンダと手合わせさせてみる。

 竹を振り回して攻撃するサイクロプスパンダに対し、ハイドロタイガーは四足歩行の時と変わりない俊敏な動きで攻撃をかわし、隙を見つけたら鞭や口から撃つ水、さらに拳や蹴りでも反撃している。

 手加減させているとはいえ、なかなか良い動きだ。


「そこまでだ。もういいぞ」


 十分動きを見れたら手合せを止めさせる。

 二体は動きを止めた後、なんか握手を交わして解散した。


「あの様子なら、従魔覚醒の影響を受ければ十分な戦力になるな」

「侵入者が見たら、絶対に驚きますね」

「訳が分からず慌てる様子が、目に浮かびます」


 二人はそんな事を言っているけど、こんなのはまだ序の口だ。

 今回は実験だったから変形はシンプルで、余計な装備は無しにした。

 変形に時間を掛けて隙を作る訳にはいかないから、変形に関しては今後もシンプルでいくとして、装備に関しては工夫の余地がある。

 子供の頃に見たアニメや特撮のロボを参考にするなら、指から実弾を放ったり、口から火炎放射を吐かせたり、直立に拘らず別形態へ変形させるのも有りだろう。


「そうだ、情報を調べとかないと」


 せっかく魔石盤を持って来たんだから、調べておかないとな。

 さて、どうなっているかな。




 名称:ハイドロタイガーゴーレム 新種

 名前:なし

 種族:アンノウン

 共有スキル:水耐性 俊敏上昇

 直立形態時スキル:拳術【未】 蹴術【未】 鞭術【未】




 種族はアンノウンか。変形するから正確な種族が認識できないのか?

 まあ些細な事だし、この件に関しては問題無いだろう。

 だけど直立形態時のスキルを、三つ習得しそうになっているのは何故だ。

 変形した時の戦い方はイメージしていたけど、それが影響しているのか?


「ということは、変形時の戦い方に関してもイメージしておけば、新たなスキルを習得する可能性があるのか」


 これは思わぬ実験結果だ。

 今後の課題として、ちゃんと報告書に記載しておかないと。


「うわっ、本当に変形する魔物作ったの? ねぇ柊君、早く合体するのも作ってよ!」


 もう先生はしばらく黙っていてください!




 ****




 後日、戦闘指導をして従魔覚醒の影響を与えたハイドロタイガーゴーレムを、試しに第一階層のフロアリーダーの間に配置してみた。


『ガアァァァッ』

『何だこの虎! 人みたいになったぞ!』

『うわっ、尻尾を鞭みたいに』

『痛っ! もっとお願いします!』


 予想通り、侵入者達は変形に困惑して連携を乱していた。

 鞭で打たれた一人が変な事を言っているのは、聞かなかったことにしよう。


『ガウアァッ!』


 二つの形態を駆使して戦う姿は、テレビで見ていたロボ系アニメのようだ。

 まさかリアルで見ることになるとは。

 先生だけじゃなくて、昔はそういう系に夢中だった香苗も目を輝かせて見ている。

 それと初めて変形して戦う姿を見る、ダンジョンタウン出身者達も夢中になっている。


「カッコイイです、ヘンケイ!」

「あ、あの、ガッタイっていうのは、どういうのなんですか?」

「えっとね、よくある合体と大人向けの意味の合体。どっちの話を聞きたい?」


 次の瞬間、先生の頭をハリセンで思いっきり叩いた。

 ローウィとミリーナにはその後で、ロボ的な合体の説明をちゃんと伝えておいた。


「理不尽だよぉ……」


 元教師なら、もっと常識的に考えろ!


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