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第1階層 えっ、これって前例無いの?

イーリア「前例が無いと駄目という上司が煩わしいです」


 融資金を入れたマジックバッグを背負い、専属の助手になったイーリアの案内で担当のダンジョンへ向かう。

 その最中に辺りを見渡し、これから住むことになる町の様子を眺める。


「思っていたよりも明るいんだな」


 地下都市と聞いたから薄暗いかと思ったけど、むしろ明るい空間が広がっていた。

 上を見上げると光っている球体がいくつかあるから、あれが太陽の代わりにここを照らしているんだろう。


「町も種族の坩堝って点以外は普通に見えるし」


 周りを見渡せば、色々な種族が普通に生活している。

 悪魔っぽい尻尾と羽がある女性、天使のような羽が生えている女の子、狼の耳と尻尾が生えている男の子、小柄なのに老け顔で髭だらけの男性。

 そうした様々な種族が生活している町そのものは、少し古い西洋風の町並みをしている。

 露店や商店で売っているものは食品や日用雑貨、武器や防具。

 あっ、奴隷っぽい恰好をした人達が荷馬車で運ばれてる。

 俺のいた時代では考えられないけど、奴隷がいた時代を考えれば普通の光景なんだろうな。

 ただ、地底都市にしては自然が多いように見える。

 並木通りだけでなく、家と家の間にまで何本も木が植えられ、街中にも結構な数の花壇が設置され、遠くには森林のような地帯まで見える。


(これはあれか? ここが密閉空間だから、酸欠にならないようにするためか?)


 地上と繋がっていない地底都市だから、植物を多く植えて空気を確保しているんだろう。

 その一環のせいか、並んでいる食材も野菜が圧倒的に多い。

 これも植物だから多く栽培すれば空気は清浄化されて、食糧面でも困らないって訳か。正に一石二鳥だ。


「見た感じ、野菜類は俺がいた世界と同じようだな」


 微妙に見た目が違っていたりする物もあるけど、大体似ているし名前も知っているものばかりだ。

 味はどうなんだろうか。

 それにしても、どれも値段が安すぎるんじゃないかと思える値段設定をしている。

 小ぶりなジャガイモっぽいのが一つ石貨一枚、少し小さいけど大根っぽいのが一本石貨二枚、黒みがかった米らしき物は大きな麻袋一つ分で石貨七枚。

 肉類は何の肉かは分からないけど、二キロくらいの大きい塊で銅貨一枚、一食分に薄く切り分けられた数枚が鉄貨四枚だ。

 地下都市だから貝や海洋系の魚は見当たらないけど、川魚っぽいのが小さいの五匹で鉄貨一枚か。

 確かにこの相場なら手取りが銅貨五枚でも生活できるかも。


「なぁ、なんで食材、特に野菜類はあんなに安く売ることができるんだ?」


 特売セールという訳でもなさそうだし、産地直送だとしてもかなり安いと思う。


「地上の世界とは違って野生の外敵はいませんし、天候が不変だからです。ここにいる動物は食用、農耕用、運搬用として飼育されているものだけですし、魔物もダンジョンマスターの管理下にしかいませんから」


 相変わらず素っ気無い対応だけど、理由には納得した。

 確かに作物を荒らす魔物や動物がいなければ、育てた作物が被害に遭うことは無い。

 それに地下で日光が当たらないとはいえ、天候が変わらないのは育てる上ではありがたい。

 急な嵐や台風による被害は皆無だし、大雨によって田畑の土が流されるという被害も発生しない。

 そういった被害が無いからこそ、安定してたくさんの量を流通させられるから安いのか。


「野菜類だけでなく、魚や肉食可能な動物の飼育と繁殖方法も確立しているので、安定した供給ができています」


 なるほど、肉と魚の養殖手段も確立しているのか。

 でも、野生動物がいないのにどこから食肉用の動物を手に入れたんだ? それに魚もどこから集めたのか。

 それを聞いてみると、魚は地上に繋がっている水脈に迷い込んだのを確保して繁殖させ、肉に関してはダンジョン内に迷い込んだ動物を捕らえて繁殖させているそうだ。

 最初は滅多に迷い込まないから高級品だったらしいけど、どうにか皆でたくさん食べられないかと失敗を重ねながら工夫して成功したという話だ。

 こんな場所でも養殖技術が確立しているんだから、食欲とは大したものだ。


「ですが、魔物の肉に関しては別ですね」


 魔物はダンジョンマスターの支配下でないと凶暴な上に暴れまわるので、飼育して繁殖させるのは断念したそうだ。

 食べる機会があるとすれば、ダンジョンに迷い込んだのを撃退して自分で食べるか、どこかのダンジョンからギルドを通じて精肉店へ流通したのを買うしかないとのこと。


「よくここまでやったもんだな」

「大昔、ここの住人は食べるのに苦労したそうですからね。食べ物に関しては地上の人々よりうるさいと思います」


 おまけにそういう時代を過ごした教訓からか、食材泥棒などいないし、いた場合は重い罪に問われるようだ。

 後世のためにそういった教訓まで残すとは、ここの住人達の食へのこだわりと思いやりは侮れないな。

 なんか一昔前の日本みたいだな。米一粒でも食べ残したら怒られるって聞いたことがある。


「ちなみに野菜や花、木といった植物類は今でこそ苗や種を売っていますが、昔は勝手に生えてきたそうです。今でも時たま、そういう現象があります。理由は判明していませんけど」


 肉や魚は現実的だったのに、変な所でファンタジーだな。


(食材以外の物も安いな)


 道中で見かけた雑貨店や武器屋、装飾品の店に並んでいる品も安い。

 数打ちの剣は一本で鉄貨三枚、同じく数打ちの槍も鉄貨五枚か。

 タオルみたいな布が石貨六枚で、修理された中古の机は銅貨二枚で売られている。

 食材以外の値段設定についてイーリアに聞くと、ダンジョンタウンの拡張場所から鉱物が大量に採れるのと、冒険者から手に入れた道具を再利用しているからだそうだ。

 鉱物はともかく、冒険者から入手した品は元手がタダだから、その分安く売れるってことか。


「あのさ、ここ地底都市なんだろ? 拡張なんかしたら天井が崩れないか?」

「それについては大丈夫です。拡張中の箇所も含めて町全体に空間魔法が掛かっているので、どれだけ広げてもダンジョンタウンは維持されます」


 なるほどね。この空間魔法が地球にあれば、地下鉄とか地下室とか作り放題だな。

 そうしている間に、どうやら俺が担当するダンジョンに着いたようだ。


「到着いたしました。こちらがヒイラギ様に与えられたダンジョンの居住部です」


 目の前に建つのはレンガ造りの小さな一軒家。

 これが居住部なら、ダンジョンそのものはどこにあるんだろうか。

 ともあれ、イーリアの案内で中に入ると思いっきり普通の家の中だった。

 木製で少々古ぼけてはいるが台所に、数人が使えそうなテーブルのあるリビング、そして個人用の部屋なのか扉が五つある。


「あの扉は?」

「奥から順にダンジョンに繋がる部屋、お手洗い、洗濯や水浴びをする井戸のある部屋、ヒイラギ様の部屋、私を含む使用人の共同部屋となっています」

「見た目は小さい家なのに、割と部屋があるんだな」

「ダンジョンマスターの住まいには特殊な空間魔法が施されておりまして、出入り口から先はダンジョンも含め、全て異空間となっています。ですから、見た目よりも室内が広くなっているんです」


 なるほど、ダンジョンタウン同様に空間魔法のお陰で中は広くなっているのか。

 ダンジョンにも空間魔法で繋がっているのなら、それらしい様子が外から見えなかったのも当然か。

 早速ダンジョンに繋がる部屋とやらに入ってみると、中はまるで簡易的な司令室だった。

 中央には椅子が置かれており、その前方には台座に乗った水晶玉のようなものがある。あれがダンジョンコアとかいう物か?

 他にはモニターやキーボードやダイヤルのようなものが設置されていて、刑事ドラマで見た警備室のようにも見える。


「中央にある水晶がダンジョンコアになります。ダンジョンカードを台座の読み取り部分にかざしてください」


 マジックバッグを端の方に置き、促されるまま台座を確認すると読み取り部分らしき四角の枠があった。

 ここに受け取ったダンジョンカードをかざすと、ダンジョンコアが輝きだして周囲の機器も起動しだした。


「ヒイラギ様、コアに向けてオープンと唱えてください」

「分かった。オープン」


 俺の言葉に反応してコアの中に何色かの光が動き回り、正面にはスクリーン、手元に操作盤らしきキーボード、肘掛の箇所からはマイクのようなものが生えてきた。


「こちらの操作盤でダンジョン内の設定を行い、表示板でダンジョン内部の様子を確認する事ができます。音声通信具は魔物へ指示を出す際に利用します。冒険者には聞こえませんので、ご安心を」


 へぇ、そういう事はあっちの椅子に座ってやるのかと思ったよ。

 コアの前にある椅子に座った俺は、イーリアの説明を受けながら操作方法を教わっていく。

 操作盤はキーボードじゃなくてタッチパネル式のようなものにもできるみたいだから、こっちに変更しておこう。こっちの方がやり易い。

 その後は操作手順に従ってダンジョンの設定内容を確認していると、階層が地下一階と地下二階しか作れないことが分かった。


「ダンジョンは二階層しか作れないのか?」

「はい、最初は一律で二階層のみとなっております。ランクが上がれば、それに伴い階層を増やせます」


 なるほど、そういう仕様なのか。

 試しに調べてみると、新しい階層を増やすための魔力は足りているけどランクが条件に到達していない。

 今の俺のランクは最低のランク一。地下三階以下を作るにはランク三に上がらなきゃならないようだ。

 しかし魔力ね……。

 魔法か何かを使うためにあるんだろうけど、ダンジョンではどう使うんだ。


「魔力ってのは、どう使うんだ?」

「ダンジョンでは魔力によって、魔物を生み出したり居住部やダンジョン内部の設定ができるのです。起動初期に使える魔力はヒイラギ様の持つ魔力量で……」


 イーリアが表示している画面の魔力量を見て固まった。

 表示されている数値は千八百三十七だけど、これがどうかしたんだろうか。

 どうやらこの数値が今の俺の魔力量らしいけど。ひょっとしてこの量って少ないのかな。


「ヒ、ヒイラギ様はおいくつなんですか? ルエル先輩は私と同い年と言っていましたけど……」


 おっ、やっと表情の変化が見れたな。最初に見た表情の変化が驚きなのは、ちょっと微妙だけどな。


「同い年かは分からないけど、十七歳なのは間違いない。それがどうした?」

「十七歳で保有魔力が千八百越え!? 同年代で魔法に秀でている方でも精々六百前後、私ですら五百ちょっとなのに!」


 おいおい、てことは俺の魔力は同年代の三倍以上もあるのかよ。

 混乱した様子のイーリアは、司令室に備え付けられていたタブレットのようなものを取り出し、何かを調べている。


「ちょっと待ってください。五百三十六年前に現れた人間のダンジョンマスターでも、最初の魔力量は五百十二。過去の人間のダンジョンマスターで最高の初期魔力でも六百四十七。なんでヒイラギ様はこんなに魔力が多いんですか!」


 俺が聞きたいんだよ、そういうことは。

 大体、魔力なんてものを使う世界の出身じゃないしな。

 というか、よくそんな記録が残っているな。


「で、この魔力は好きに使えるのか?」

「は、はい。ですが、一度使ったらダンジョン内への侵入者を倒すか他の条件を満たさない限り、使用できる魔力は補充されないので気をつけてください」


 呆然としたまま俺の質問に答えたイーリアは、まだ信じられないのか魔力量を凝視して固まっている。

 どれだけ見ても変わらないんだから、いい加減にしろよ。

 こうなったらイーリアはしばらく放置して、現状でできることを探してみるか。

 表示されているタッチパネルに触れ、今の俺のランクでできることを調べてみると、思いのほかあった。

 魔物の召喚とダンジョン内の設定は当然として、居住部も本当に弄れるようだ。

 消費魔力量は多いけど、部屋や台所やトイレの質を良くできるし、風呂も設置できるのか。

 現状の台所は狭いだけで、特に汚いとか壊れているとかは無いから放置決定。

 トイレはボットン式、井戸のある部屋には複数の桶と複数人で水浴びをする時に使うのか衝立がある。

 どちらもさほど汚れておらず大きな破損も無さそうだから、これも今は放置でいいな。


「となると、後は部屋か」


 寝泊りする部屋について調べると、正直すぐにでも改善したくなった。

 室内が薄汚いのは百歩譲って我慢しよう。

 けど、寝床が木の枠に大量の藁を詰めて厚手の布を敷いただけってなんだ。掛け布団に至っては薄手の布一枚。

 おまけにイーリアが寝泊りする使用人部屋も、同じような寝床の二段ベッドが二つ置いてあるから四人部屋にしては狭い。


「これは早めになんとかしたいな」


 でもそのためには、大量の魔力を消費しなくてはならない。

 魔力が千八百以上もあるから使ってもいい気はするけど、それでダンジョンの質が落ちて攻略されたら意味が無いよな。

 だったらしばらくは居住部は放置して、ダンジョンに力を注ぐことにしよう。

 イーリアはこっちの出身だから気にしないだろうし、後で雇う人達も同じだろう。要は俺が我慢すればいい話だ。

 個人的にはすぐに改善したいけど、これも経験だしダンジョンを開くまではこの数値の魔力しか使えないから慎重にやろう。

 その代わり、侵入者を倒して使える魔力が溜まったら生活環境を優先的に整えてやる。


「まずはダンジョンの設定方法を……」


 ダンジョン設定について調べると、すぐに情報は出てきた。

 設定できるのはちょっとした罠と内部の環境ぐらい。

 新たな罠はランクが上がるか、罠を売っている店で買わないと入手不能。

 環境もせいぜい足場や壁、天井の高さ、気温に湿度が弄れる程度なのか。

 でも種類は色々とあるから、バリエーションは多くできそうだな。

 おっ、最初からある二階層分は消費魔力無しで設定できるのか。これはありがたいな。

 ただし、一度設定したら別の階層へ移動させる以外は変更不可か。

 そうなると、召喚できる魔物にどんなのがいるかが重要になる。

 環境設定を一通り見て、やりたい戦い方は思いついた。後はそれを実践できる魔物がいるかを確認しよう。


「えっと、今の俺で召喚可能な魔物は」


 召喚できる魔物の一覧を表示して、召喚可能な魔物で検索をかける。

 その中から考えているダンジョン内の環境設定で、俺の考える戦闘方法が可能そうな魔物を探していく。

 今後のために魔力を少し温存する事も忘れずに。

 結果、五種類の魔物が見つかり、それらを充分な数まで揃えておく。



 ゴブリン     召喚魔力 七  五十体 計三百五十

 スライム     召喚魔力 五  十体  計五十

 オーク      召喚魔力 八  三十体 計二百四十

 ロックスパイダー 召喚魔力 九  十体  計九十

 キラーアント   召喚魔力 十二 十五体 計百八十


 合計消費魔力:九百十



 うん、これだけの数がいれば十分だろう。

 そう思っていたら、画面を覗いていたイーリアが意見を述べてきた。


「ヒイラギ様、こちらの魔物達を召喚されるのですか?」

「そのつもりだけど、何か問題でも?」

「せっかく魔力が千八百もあるのですから、もっと強い魔物を召喚しても良いのでは? それにフロアリーダーになれそうな魔物がおりません」


 また新しい単語がでてきたから説明を求めると、各階層のボスみたいな魔物のことだそうだ。

 どうやらこの世界のダンジョンは、階層毎にボスを配置する仕様みたいだな。


「まだ魔力が九百以上も残っているのですから、ランク一とはいえそれなりの魔物は召喚できるはずです」


 今度はイーリアがフロアリーダーになれそうな魔物を検索し、該当した魔物を表示させた。



 クラッシュビードル 召喚魔力 二百七十

 レッサーデーモン  召喚魔力 二百四十

 パンプキンゴースト 召喚魔力 三百

 バイソンオーガ   召喚魔力 三百三十

 タロス       召喚魔力 四百十

 マーダープラント  召喚魔力 二百八十



「この辺りがよろしいかと。二階層分必要ですので、召喚魔力が四百五十以下で調べました」


 確かにどいつも、俺が選んだ奴らより戦闘力は高い。

 特に召喚魔力が一番大きいタロスは戦闘に特化していて、低いランクのうちはリーダーとして重宝されるそうだ。

 でも、こんな奴がランク一でも呼べるという事は、何かしらのデメリットも持っていることになる。タロスを選択して詳細を調べると、その理由が分かった。

 こういったタロスやゴーレムのような自動人形のような魔物は、与えられた命令しか実行できない上に細かい動きが苦手で反応速度も遅い。

 加えてタロスは体内にエネルギーのような液体が流れており、これが体外に流れ出てしまうとあっさり倒されてしまう。

 物理攻撃に関してはとても強い防御力を誇る反面、魔法攻撃にはさほど耐性が無いのも頂けないな。


「魔法で手足の一部でも吹っ飛ばされたら、そこから液体が流れ出て終わりじゃないか?」

「ですが、これ以上の魔物はせめてランク二にならないと……」


 そりゃそうだろうな、ここに表示されているのは俺に召喚可能な魔物のわけだし。

 とりあえず、せっかく探してもらって無下にするのもなんだから、少し詳細を調べてみるか。

 クラッシュビードルはただの巨大なカブトムシだな。防御力と攻撃力は魅力だけど、敏捷性と魔法耐性に大きく欠けて魔法攻撃はできない。

 レッサーデーモンは低級悪魔か。低級とはいえ闇系統の魔法が使えるのはいいとしても、決定的に打たれ弱いのが気になる。

 マーダープラントは巨大な食肉植物。相手を状態異常にはするし変幻自在な攻撃はできるけど、防御力も魔法耐性も体力も俊敏性も低すぎる。

 バイソンオーガは牛のような角が生えたオーガなのか。ミノタウロスとは違うんだな。

 こいつの能力は悪くないな、ちょっと知力と魔法耐性が低いけど。

 最後のパンプキンゴーストだけど、こいつジャック・オ・ランタンって奴じゃないのか? ハロウィンとかで見かける。

 能力値は魔法関係以外は低いけど、ゴースト系だから属性無しの物理攻撃が無効なのは大きいな。


「とりあえずはバイソンオーガとパンプキンゴーストにしておく」


 追加でこの二匹を選択し、必要な召喚魔力は合計で千五百四十になった。

 これで残る魔力は三百三十三。おぉっ、偶然とはいえゾロ目だ。


「ところで、召喚された魔物はどこに出現するんだ? ダンジョン内か?」

「いえ、あちらの扉の先にある育成スペースです。そこが魔物達の居住スペースであり、鍛錬所でもあります」


 おお、ここの奥にあんな扉があったのか。

 早速中へ入ってみると、そこには牧場のように広い草原が広がっていた。

 ここからダンジョン内へ魔物を送り込んだり、出動予定が無い魔物に休息を取らせたりするんだな。


「これなら召喚予定の魔物達も余裕で暮らせるな」


 何せフロアリーダーを含めて合計で百十七体も召喚するんだ、相応のスペースがないとな。

 育成スペースには魔草という草が大量に生い茂っており、召喚された魔物達はアンデット系やゴースト系、水生系を除き、種族に関わらずこれを食べるそうだ。しかも食べられた分は、翌日になれば勝手に生えてくるらしい。

 端の方には水が沸いている池があり、そこで水も飲めるようになっている。

 どうやら魔物の食べ物に関しては気にしなくてよさそうだな。


「しかし、こんなにたくさんの魔物を召喚してどうするのですか? ゴブリンとオークだけで八十体もいますが」


 確かにゴブリンやオークは魔物の中じゃ最も弱い部類に入る。

 でも、何事もやり方次第なんだぜ。


「それについては考えがある。という訳でイーリア、この辺にある武器屋を教えてくれ。できれば安いところ」

「はい?」


 ****


 私の名前はイーリア。昨年ダンジョンギルドに就職した、十七歳のダークエルフです。

 この世界では十六歳から成人扱いされるので、それを機に実家を出てこの仕事に就きました。

 家を出るまでは実家の農業を手伝っていましたが、そっちは兄か姉のどちらかが継ぐので私は何一つ気兼ねすることなく家を出ました。

 別に家族仲が悪かったり、農作業が嫌で家を出たわけではありません。

 単に自由に生きろという父の言葉に甘え、一人暮らしを始めたまでです。

 実家の農業をそのまま手伝い続けても良かったのですが、友人の誘いでダンジョンギルドに就職しました。

 ダンジョンはこの町の大きな収入源。当然、ダンジョンギルドもその恩恵で儲かっているので、安定した就職先な点なのが決め手です。

 それにダンジョンがどのように運営されているのか少なからず気になっていましたから、採用試験を受けました。

 自分で言うのもなんですが頭は良い方なので、倍率は高かったですけど採用されました。


(そこまでは良かったんですけど……)


 最初の一年は業務に関する座学に半年、残り半年をダンジョンマスターの下で助手をしている先輩方に付いて研修を受けました。

 ですが正直、私はダンジョンマスター達のやり方に落胆しました。

 魔物の訓練は単に持っている武器を振るわせたり、試合をさせて競わせるだけ。

 しかも研修先のダンジョンマスターは、試合の勝ち負けを雇用している方々と賭けていました。

 防衛のために必要な魔物が試合で死んでもおかまいなしで、挙句には代わりの魔物を召喚すればいいとまで言っていました。

 まるで魔物を道具のように扱い、負傷して戻ってきても放置。

 購入したり手元に残した冒険者の奴隷も、しっかり働いているのに八つ当たりばかりして、己の欲望を満たす為だけに扱う。

 病気になったり、魔物と戦わせて大怪我をしたり死んだりしても処分しろとだけ言って、こちらも新しい奴隷を買って済ませていました。

 雇っている人々に対しても気に入っている数名を除いて横柄に扱い、言われたことくらいしっかりやれと怒鳴り、言われた通りにやっても失敗したらその方のせいにする。

 はっきり言って、私は就く仕事を間違えたと本気で思いました。

 中には雇用者に対してまともな方もいましたが、訓練方法や奴隷の扱いは似たり寄ったりでした。

 もうちょっと工夫した訓練方法を考えれば、冒険者のダンジョン攻略も難しくなると思います。

 それに奴隷の扱いだって、もう少しまともに扱えば意欲的に働かせることができるはず。

 先輩方に私の疑問をぶつけてみましたが、訓練方法や奴隷の扱いは似たり寄ったりだから変な夢を持つなと笑われました。


(転職を考えた方が良いですかね……)


 そんな事を考えているうちに、一年間の研修期間が過ぎました。

 ようやく新人扱いになった私はどこかのダンジョンで助手をするまではギルドで内勤をすることになり、雑務に追われました。

 日々送られてくる捕らえられた冒険者を奴隷商へ売り、売却された装備類を鍛冶屋や装飾関係の工房に売る。

 はっきり言ってあんな現場で助手として働くより、こっちの方が数倍働きやすかったです。

 そんなある日、教会の天使達の予言で異世界より人間のダンジョンマスターが二時間後に現れる、という情報がもたらされました。

 指導員のルエル先輩他数名が転移の間を慌てて清掃しに行き、誰が助手になるのかという話題で職場は盛り上がっていました。


(異世界から来た人間でも、やる事は変わらないんですね)


 周りが盛り上がっている間に、かつて異世界から来た人間がどんなダンジョン運営をしていたのか調べました。

 過去の記録をどれだけ調べても、結果は私を落胆させるものでした。

 確かに異世界から来た人間のダンジョンマスターは、ほとんどの方がエリアランキングで上位に食い込んでいます。

 しかし運営内容は他と似たり寄ったり。

 所詮はこんなものかと失望しつつ与えられていた雑務を片付けていると、普段は執務室にいるギルドマスターがやって来ました。


『皆聞いてくれ。知っての通り、間もなく異世界より人間のダンジョンマスターが現れる。それで、誰を助手とするかだが』


 ギルドマスターの次の発言に全員が注目する中、私は耳だけを傾けて淡々と仕事をしていました。


『異世界から来た人間のダンジョンマスターなら、誰もが助手になりたいと思うだろう。そこで、誰が最も適しているか教会の天使様に占ってもらった』


 なるほど、変に指名して職員の間に軋轢を生むより、そうした方が安全ですね。

 てっきり公平を期してくじ引きかにするのかと思いましたが、天使の占いなら誰も文句は言いませんね。

 あそこの占いの的中率は九割近くありますから。


『その占いの結果、助手にはイーリアにやってもらうのが最適と出た』


 そうですか、イーリアさんが……イーリアは私じゃないですか!


『ちょっ、ちょっと待ってください。新人の私がですか!?』

『うむ。占いによると、お前が一番適しているという結果が出たんだ。よろしく頼むぞ』


 ギルドマスターは笑顔でそう言うと、さっさと出て行ってしまいました。

 周りは祝福の言葉をかけてくれたり、羨ましさと嫉妬の眼差しを向けてくる。

 どうして私なんでしょうか。

 正直、今すぐにでも辞表が書きたかったです。

 ですけど天使の占いで私が最適という結果が出たのも事実ですし、ひょっとしたらという思いもありました。


(とりあえず、やってはみますか)


 やり方が他の方と同じなら、早々に別の誰かに交代してもらえばいいことですしね。

 私はやっていた仕事を早急に片付け、大急ぎで引継ぎをしましたが間に合わず、転移の間での対応はルエル先輩が代わり行い、私は後から対面することになりました。


『ダークエルフのイーリアと申します。専属の助手は初めてですが、よろしくお願いします』


 マニュアル通りの返事をして相手を見ると、確かにその方は人間でした。

 これまで見た人間では珍しい黒い髪と瞳を持ち、目つきは鋭く服装は見たことが無い服を着ています。

 このヒイラギという方に抱いた第一印象は、目つきの悪いちょっと高圧的な雰囲気の方です。

 ですがダンジョンへ案内している間に交わした会話の様子からは、そんなに悪い印象は受けませんでした。

 どうやらこの方は高圧的に振る舞っているのではなく、目つきのせいでそういう雰囲気を感じさせてしまうという、初対面の相手にあらぬ印象を与えてしまう方のようですね。

 そう思っていた矢先に保有魔力が千八百を越えているという事実が判明し、私は驚きを隠せませんでした。


(私と同じ年で、こんなに多量の魔力を有しているなんて……)


 常に落ち着いて冷静に振る舞う、という私の身上を見事にぶち壊してくれました。

 そして不可解なのが、この人の召喚しようとしている魔物です。

 ゴブリンやオーガのような、低級の魔物ばかりを大量に召喚しようとしているのです。

 別にそれが悪いわけじゃありません。最初のうちは保有魔力の分しか使えないので、こうした低級の魔物を召喚するのは致し方のないことですから。

 ですがこの人の保有魔力をもってすれば、もっと強力な魔物を召喚できるはずです。

 しかもまだ説明していないので、フロアリーダーになれる魔物もいません。

 その事を指摘して、残っている魔力で召喚できるフロアリーダーになれそうな魔物を選びました。

 意外にも素直に納得され、私が探した魔物のうち二体をフロアリーダーにすると言ってくれました。

 やはり目つきのせいで相手が勝手に悪い人物と判断してしまうだけで、彼自身は悪い人ではないみたいです。

 その後、育成スペースに移動して魔物の数を指摘したところ、何故か武器屋について尋ねられました。


『はい?』


 思わず変な声で反応してしまいました。この人は何を考えているのでしょう。

 その疑問はすぐに解消されました。

 私が案内した武器屋で叩き売りしていた数打ちの剣、槍、手甲、さらに盾を大量に購入してマジックバッグに詰めて戻ると、すぐさま魔物達を召喚。

 購入した武器を手に育成スペースへ移動し、ゴブリンとオークを全員呼び集めました。

 今度は何をするのかと見学していると。


「そこ、もっとしっかり受け止めろ! でないと後衛を守れないぞ」

「ゴ、ゴブッ」


 ゴブリン達が元々持っていた棍棒を取り上げ、十体毎に別々の武器を与えて扱いの練習をさせ始めました。

 何の武器も与えなかったゴブリン達には拾い集めてきた石を渡し、武器が入っていた木箱を的にして石を投げさせています。

 召喚主の命令ですから従っていますが、ゴブリン達は戸惑いを隠せていません。


「ただ投げて当てればいいんじゃない。ちょっとでも速く正確に投げるんだ」

「ゴブゥ……」

「今のお前達には分からないだろうけど、どうしてこんな練習をするかというと」


 おまけに知能の低いゴブリン相手に指導まで始めました。

 ゴブリン達はあまり理解していないようですが、分かるまで何度も根気強く説明しています。

 口調は厳しいものの、何度目かの説明で練習の意図を理解したと分かると、一体ずつ褒めています。

 続いてオークには元々持っていた斧の柄を折って短くした挙句、もう一方の手に盾を持たせて訓練をさせ始めました。

 オーク達もゴブリン同様に戸惑いながら訓練していると、こちらにも盾を持たせる意味と柄の短い斧を使わせる理由を根気強く説明しだしました。

 理解して訓練に励むようになると、ゴブリン同様にオーク達も褒める。

 褒められたゴブリンやオークはさらに訓練に取り組み、慣れない武器を使いこなそうと励んでいます。

 どうして何度も説明してまで、こんな訓練をするのかと尋ねてみると。


「あいつらだって生物だ。見た目はともかく、生きようとしているなら知恵は少なからずある。それを踏まえて生き残るためにやっているんだと思わせれば、生きるための知恵として覚えてくれるさ」


 正直言って、衝撃を受けました。

 研修先で訓練に工夫が無いと思いつつも、私はゴブリンとオークの知能の低さをバカにしていました。

 そのため、彼のように指導してもあまり意味が無いと思っていました。それを普通にやってのけている彼さえも、多分心の片隅でバカにしていたかもしれません。

 私が自己嫌悪に陥っているのを知らずに彼は話を続けます。


「最終的には武器違いのゴブリン達でチームを組んで、連携を取らせるつもりだ。今日からここで共に生きる同士、上手くやってほしいな」


 これを聞いて私は辞めようとしていた想いが全て吹き飛びました。

 彼が目指しているのは私が知っているダンジョンではない。

 所詮は理想だけと捨て去ろうとしていた、想像の中だけにあったダンジョンを実行してくれるかもしれない。

 いや、ひょっとしたらそれ以上のダンジョンを作ってくれるかもしれません。

 今もフロアリーダーになる予定のバイソンオーガに、三本だけ購入していた柄の短い戦斧を手渡しています。

 元々持っていた斧も、オークの斧同様に木製の柄の部分を途中で折って短くした物を持たせ、両手で戦斧を使うように言いつけて。


「あの長さじゃ、攻撃の後の隙が大きすぎるし、攻撃手段が限られるからな。元々パワーはあるんだし、片腕で振らせても充分に威力は出るだろ」


 さらに、もう一体のフロアリーダーになる予定のパンプキンゴーストが死霊魔法を使えると分かると、その魔法の説明文を見ながら何かを考え始めました。

 死霊魔法とは死体をゾンビ、骨をスケルトン、魂をゴーストのようなアンデッドに属する魔物として再生させ操る魔法です。

 ただし、魔法の熟練度が低いと僅か数体しか操れませんし、高位のアンデッドは生み出せません。

 熟練度が高まれば多数を同時に操れますし、一定の確率でレイスやリッチのような高位のアンデッドも生み出せますが、ここにいるパンプキンゴーストは召喚したばかりですから死霊魔法の熟練度が低いです。

 それを知っても全く気にせず、また私には想像もできない事を思いついたようです。


「イーリア、動物の骨が手に入るのは精肉店か? 食肉を育てている牧場か?」

「解体は牧場でやっていますので、そちらかと」

「分かった。ちょっと案内してくれ」


 そういう訳で、今度は近くの牧場へ向かいます。

 運ぶのに使うマジックバッグを背負うヒイラギ様の考えは、なんとなく察しがつきます。

 現時点ではゾンビを生み出す死体よりも、スケルトンを生み出す骨の方が入手は簡単と考えたのでしょう。

 理屈は分かりますが、人の骨じゃなくて動物の骨でいいんでしょうか?

 そう思いつつ案内した牧場で経営者と交渉し、何種類かの骨を格安で購入してダンジョンへ戻りました。

 育成スペースへ入ったヒイラギ様は、マジックバッグに入れて持ち帰った骨を地面に広げて並べ始めました。

 細かい部分はありませんけど、スケルトンを生み出すために必要な骨は揃っているので問題ありません。

 ですけど、この骨は。


「これは馬と熊、それに狼の骨ですよね?」

「そうだ。最初は猪か鹿にしようと思ったけど、馬がいるって聞いたからこっちにした」

「ダンジョンタウンの馬は、昔どこかの軍の兵士達がダンジョン攻略の際に使っていた馬を捕まえ、それを繁殖させて飼育しているんです」


 ちなみに私の実家でも、農耕と運搬の兼用で馬を一頭飼っています。

 それにしても、熊や狼はまだ分かりますけど馬のスケルトンを作ってどうするのでしょうか。それになんだか、骨の数が少ないような気もします。


「あの、馬の首から上と熊の腰から下の骨が無いみたいですけど。それにこの狼の骨の並びは……」

「これでいいんだ」


 そう言って並べ終えた骨の姿を見て、私は目を見開きました。

 並べられた骨は熊の上半身と馬の下半身を持つケンタウロスと似た形状のものと、犬ではなく狼ですが一つの体に顔が三つあるケルベロスのようです。

 まさかこれに死霊魔法を?


「よし、やってみろ。失敗しても怒らないから」


 ヒイラギ様の指示に従い、パンプキンゴーストが並べられた骨に死霊魔法を掛けました。

 骨の周囲に立ち込める黒い霧が骨の中へ吸い込まれ、色を白から黒へと変化させます。

 そして核となる魔心晶が胸元に生じると、ケンタウロスとケルベロスのような骨はスケルトンとして動き出しました。


(こ、こんなスケルトンの作り方があっただなんて)


 私はすぐにヒイラギ様がタブレットと呼んでいた魔石盤で、この見たこともないスケルトン二体について調べました。



 名称:ボーンベアタウロス 新種

 名前:なし

 種族:アンデッド(スケルトン)

 スキル:なし



 名称:スカルウルベロス 新種

 名前:なし

 種族:アンデッド(スケルトン)

 スキル:なし



「ししししし、新種認定!?」


 思わず大きな声が出てしまいましたが、ヒイラギ様は私の方を一度見ただけですぐにスケルトンの方へ目を向けました。

 名称の箇所に新種と出ていると新種の魔物として認定されたことになり、認定ボーナスとしてその魔物の魔力がダンジョン用魔力として加算されます。

 このボーンベアタウロスとスカルウルベロスは元々が動物ですから魔力は共に十と低いですけど、初日でこんな魔物を作り出した事自体が凄いです。

 焦る気持ちを落ち着かせてヒイラギ様にお伝えすると、今までこれを試した方はいないのかと聞かれました。

 いませんよ。誰が考えますか、複数の動物の骨を組み合わせて一体のスケルトンとして生み出すだなんて。


「そうなのか? ちなみにあっちでゴブリンやオーク、バイソンオーガにやらせている訓練は」

「前例の無い訓練方法です」


 私の返答にヒイラギ様は、信じられないものを見るような目でこっちを見ています。


「嘘だろ……」

「本当です」

「マジか。過去に一人もいないのか」


 残念ながらいないんです。少なくとも私が知っている範囲では。

 基本的にダンジョンに関する事は各ダンジョンマスターの秘匿情報となっているので、攻略されない限りは情報の公開はされません。

 ですので、ひょっとすると現在のダンジョンマスターの中にはいるかもしれません。

 その事をお伝えすると、それを先に言ってくれと言われました。すみません。


「情報が公開されていないなら、俺以上の事をやっている奴もいるかもな。そんな奴に負けないように、力を貸してくれ」

「承知しました!」


 どうやら天使の占いは私にとっても大当たりだったようです。

 訓練方法といい新たな魔物を生み出したことといい、私がかつて夢見ていたダンジョン運営以上の出来事を目撃して、今後を支えていけるなんて。

 まだまだ新人で至らない私ですが、頑張って彼を――ヒイラギ様を支えていきたいと思います!


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