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2話 目覚め 2

あわわわ

ブックマークありがとうございます。

跳び跳ねて喜んでいます。

マジで!


アダーラと呼ばれた少女、今は赤子の体の様であるが、その彼女がそれから数日、じっくりと観察をした結果、どうやらその彼女の体は、やはりと言うべきか、残念な事に赤子となっている事は決定のようだった。

つまりこの数日間、彼女は乳だけを飲み、それは母乳であったり哺乳瓶であったりした、下の世話はすべて他人任せで、そして何より、天使と女神に曇りのない愛情を注がれ続けていた。


食事は味気ないものかと思われたが、体が未熟な赤子のせいか、別段不満は感じなかった。

むしろ腹が膨れる事にとても満足をしていた。

下の世話も同様で、恥じらいと言う複雑な感情を抱く事はとても薄かった。

精神は10代後半にさしかかった年齢であっても、体は赤子である。

脳みそはつるっつるなのだ。

思考を続ける事は出来ても、燃費の悪いこの体ではそれも長くは続かず、生きる為に必要な欲求、つまり食欲に突き動かされる事が多かった。

腹が減れば泣き叫び、満たされれば寝る。そして排泄をした。

彼女の目が覚めると、稀に、いや時々、いやほぼ毎回、天使がこちらを愛おしげに覗いている事に気がついた。


飽きないのだろうか?


そう心配もしたが、何よりもここまでまっすぐな愛情の眼差しを向けられた事など彼女の記憶にはなく、それはとても心地よいものだった。


彼女にも、この数日の観察で分かったことがある。

まず、この天使が確かに自分の兄である事だ。

率直に言って、未だに彼女にも信じられない事だが、兄である。


まぁ、転生?っぽいし?

私の容姿も変化してるって事かな?


だとすればだ

この兄の妹である。

少々の期待と不安が入り交じる感情で、彼女は辺りを見回した。

が、やはり目当ての物は見当たらない。

そう、彼女はまだ自分の容姿を確認していないのだ。

分かったことのもう1つが鏡が見当たらない事だ。

すべての部屋に鏡があるとは限らないので、この現段階ではこの部屋にないと言うだけで判断のしようがないが、彼女に与えられた部屋には家電はおろか時計すら見当たらなかった。

噂にしか聞いたことはないが、高級旅館のように日常を忘れるため時計を置いていないのだろうか?

いや、赤子がいる部屋が日常でないはずがない。

それは文明レベル的な問題だろうか?

一抹の不安を感じつつ、彼女は思考を続ける。

生活レベルは低くはないはずだ。

母が、あの女神はなんと彼女の母であった、その母が不在の時は乳母と思われる女性が彼女の世話をした。そして乳母とは別にメイドと思われる女性もいた。

兄にも別の女性がついていた。

一人ならばまだしも、複数人の使用人がいるのである。これは裕福と言わざるを得ない。

彼女の感じた第一印象は正しかったのだ。

天使はちゃんとお屋敷の住人であった。


兄の容姿、母の容姿、そして生活レベルと文明レベルから考えるに、どうやら自分の知る世界とは異なるようだと彼女は考える。

そしてその結論は彼女を大いに興奮させた。


興奮した赤子がどうなるか?

赤子とは堪えることの出来ない生物である。

それは犬猫でも人でも同じである。

つまり、彼女は悪くない。

悪くないのだ、赤子だから。


近くで本を読んでいた兄が真っ先に彼女の異変に気がついた。

乙女の名誉のためには気がついて欲しくはなかったが、仕方ない。


「アダーラ、おむつ換えてあげるね。」


天使は今日もよい笑顔である。

恥じらいの感情など赤子には希薄だ。

希薄だが皆無ではない。

多少はあるのだ、長持ちはしないが。


選り好みが許されるのならば、母か乳母かメイドにして欲しい。

万感の思いを込めて彼女は叫ぶ。


おぎゃあ、おぎゃあ、と。


所詮赤子だ。

泣き叫んでも、おむつが不快なのかとしか思われない。

どんなに拒絶をしても赤子である。


兄の甲斐甲斐しい世話により、下半身が快適になれば泣いていた事も忘れケロリとしてしまうのだ、赤子だから。



そんな日々をさらに幾日か過ごし、彼女にはまた1つ気がついた事があった。

この家には父親の存在が感じられないのだ。

彼女の身の回り以外に、他の使用人がいる事は考えられるので、彼女の知る人物が家族構成の全てではない事は、もちろん彼女とて承知をしている。

しかし、父親である人物が、生まれたばかりの、おそらくは生まれたばかりだろう、赤子の顔を全く見に来ないものなのだろうか?


文化が違うから?


母は時折家を空けることがあるが、その間は乳母やらメイドやら兄やらが彼女の世話を焼き、不自由はしていない。

そもそも赤子なので空腹を満たせば寝るだけだ。


それにしても


と、彼女は思う。

意識が覚醒してから数日、長くはないが決して短くはない日にちを赤子として観察をしてきた彼女だ。

少なくとも彼女の知る限りの時間で家人の誰も父を示す言葉を発していなかった。

例えば平安時代に代表されるようにな通い婚であれば、父の不在も考えられる。だがそれにしても、話にすら上がらないと言うのはどう言う事だろうか。


父親はいないのかな?

母子家庭でこの生活レベルと言うことは、母は寡婦なんだろうか?

まぁ、私の生活は困らないし良いけど?


赤子としては、食事が与えられ睡眠が約束されていれば問題はない。

そんな無責任な事を考えているなど露知らず、兄は優しく彼女の頭を撫ていた。

その優しい感触に、彼女の意識はだんだんと白濁して行く。


彼女、アダーラは春の日の午後に微睡むような、穏やかな日々を過ごして行った。




話が進んでなかった件。

ちょっと主人公がだらだらと物思いに耽る傾向があるな。

次回はもちっと状況を進めます。

すみません。


もしも宜しければ感想なんかお聞かせ頂けたらと思います。

にゃんことステップ踏んで喜びます。

いやもう、お話進んでないのに感想もなにもあるかーい、なのは承知をしてますが!


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