生まれ変わったと思ったらハードな幼少期を過ごしました
不慣れですのであしからず。誤字脱字は歓迎。
目が覚めたらそこには女性の顔があった。
最初は意味が分からなかったし受け入れられなかった。けれど慣れるしかなくて家族として認められるようになった。
だって死んだと思ったら生まれてたのだ。意味わかんないよ。
現在ウィトリア・アイビスである私は、日本人だった時いわゆるブラック企業でOLとして働いていたのだが、ある夜いきなり後ろから刺されて相手の顔を見ることもできないまま意識を失った。死んだと思う。いや、死んだだろう。
そしてまるで眠りから覚めるように意識が浮上し目を覚めると、そこには赤毛の女性の顔のどアップがあった。外国人だった。
「かわいい私のウィトリア」
え?
そういって女性は満面の笑みを浮かべた。
え?
どうやら私は生まれ変わっていて、しかも外国人になったのだと把握したのはそれから三日後だった。
生まれ変わった私の名前はウィトリア・アイビスと言うらしい。しかも恐れ多くも子爵令嬢だった。
驚きの点はここまでに上げた分だけではない。
なんと、ここは地球ではないのだ!
アイルローゼンという異世界だった。地球とは違う部分ばかり。魔法が存在するし、アニメとかでお約束のカラフルな髪の毛も存在する。意味わかんないよ。
母は赤毛ロングの美人さんで父は茶髪のイケメンさん。眼福眼福、って思いながら現実逃避しましたとも。
そして私が3歳の時にかわいい妹ができました。子爵息子できなくていいの?って思いながら家族とお手伝いさんと執事とみんなで喜んだ。妹の名前はアルフィリア。もう超かわいい。
一人家族が増えて幸せにすごしてた。
その幸せが崩れるとも思わずに。
それが起こったのは私が10歳でアルフィリアが7歳の時。
私と妹はおつかいという名目で叔父でこれまた子爵の人の屋敷を尋ねていて、辛くもそれから逃れることができた。
叔父の家の召使の人に送られてアイビス家に送られると、普段は出迎えに来るはずのメイドさんたちが迎えに出てこない。不審に思った召使と三人で屋敷に入るとそこには誰もいなかった。否、生きた人は誰もいなかったというべきだろう。
衝撃が三人を襲い、召使はとっさに妹を気絶させた。壁や床のいたるところに人の死体が転がっていて血が撒かれていた。
私は父の書斎に向かった。制止の声も振り切って。
「いけません、ウィトリア様!」
そこに人は居なかった。床に大量の血だまりをつくったのは抱き合って死んでいる母と父だろう。
「いやだああああああああ」
目から涙がぼろぼろと溢れた。認めたくなかった。幸せな日常が壊れたことを、自分の世界がほとんど壊れてしまったことを。
小さな体から発される声は突然途切れた。物陰に隠れていた殺人犯に気絶させられたからだ。
それから7年が経ち、私は忙しく働いていた。
「リアー、これ運んで」
「分かった」
ここは王都レシディアの下町にあるごく普通の宿屋である。その名もヤドリギ亭。
殺人犯に気絶させられた私は王都の人買いに売られ、かくかくしかじか、何があったかは省略するが、解放されこの宿屋の店主夫婦に拾ってもらって働いている。
すごいいい人、ナーラおばさんとビルおじさん。
約7年ヤドリギ亭で住み込みで働いていて、おじさんとおばさんは私のことを実の娘のように扱ってくれて幸せに生きてる。
なぜ王都にいるかというと、まずアイビス子爵は結構離れた地方の貴族で私の身元が判明できなかったから。奴隷になってからしばらくの間私は記憶を失っていて、自分の名前は分かるけど姓が分からなかったから。しばらくって言っても一年ぐらいだけなんだけど。
記憶が戻った時、戻りたくなかった。大切な家族が殺されたのをきちんと認めたくなかった。
妹には悪いけど、私はここで働いて生計を立てるつもり。
そんなショッキングなできごとはこれだけじゃない。
なんと私は乙ゲーの主人公に成り代わったようだ。