序説
「我々人類は、不幸である。なぜならば、神々に祝福されることはありえないのだから」
古代のある歴史家は、そう嘆いた。
遥か昔、神話の時代。
世の理を決するために行われた、神々の戦い。
その最中、光の神々に属する一神により、従者として創造されたのが〈人類〉であった。
しかし人類を創りだした神はその戦いにおいて、敵対する神の前に敗れ去る。
人類は、主を失ったのだ。
そしてその後。
人類の多くは、光の神々の勢力にそのまま臣従することになる。
それからさらに数千年を下った現在。
何世代にも渡り戦場へと駆りだされ続けた人類は、光の神々の勝利によって解放され、恩賞として与えられた世界〈レイメルグ〉において、自らによる歴史を刻み続けていた。
しかしこの世界は、神々からただ与えた訳ではない。
レイメルグは、戦いに敗れ魔神と貶められた神々を幽閉する世界〈オグルライヤ〉と、光の神々の鎮座する世界〈リュースヒム〉との狭間に存在している世界なのだ。
このため、復讐の機を窺う魔神の勢力は幾度となく眷属らを駆りだして、レイメルグへ侵攻を企て続けている。
魔神の矢面に立たされた人類は、光の神々の恩恵を得続けるために。またそれ以上に自らの生存権を賭けて、侵略者との戦いを余儀なくされたのである。
それは、自らの創造主を失った者達の悲劇とでもいうべきであった……




