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極東の守護神〜日本再軍備〜  作者: 007


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2027年〜2040年

全ての始まりは2027年だった。これが日本には憲法改正と再軍備の起点となる。

アメリカ合衆国・イスラエル対イラン戦争は度々短期間の中断を挟みながら泥沼化し、アメリカは中東に戦力の大半を投入した。日本はマラッカ海峡封鎖の悪夢を危惧したが、イランは完全封鎖はしなかった。

だが石油市場は乱高下を繰り返し、日本はエネルギー対策に追われた。世界が中東に注目しているタイミングで経済不振にあえぐ中国は国内不満の解消を目的に、この隙を突き台湾侵攻を開始した。各国諜報機関はその可能性を指摘していたが、今回も可能性での問題だとして本気にしなかった。

だが中国は動いた。通常弾頭の弾道ミサイルによる飽和攻撃により、台湾は全土に次々と攻撃を受けた。この事態にアメリカ合衆国は対応が遅れた、というより対応不可能だった。中東に戦力を集中し過ぎており、第7艦隊も中東に派遣してしまっていた。アメリカ合衆国は原子力潜水艦を急派するから、日本にも自衛隊の派遣を要請した。平和安全法制による存立危機事態に当たるとして、集団的自衛権の行使だと語った。

これを受けてかなり紛糾したが日本は史上初の存立危機事態を認定し、防衛出動を発令。海上自衛隊を派遣したのである。ホルムズ海峡は封鎖される事は無かったが、台湾が中国の支配下になる事も日本には死活問題だった。

こうして戦後初の防衛出動により海上自衛隊は、東シナ海を経て台湾に接近した。水上戦群や潜水隊群は、アメリカ合衆国海軍原子力潜水艦の支援を受けながら展開した。

そしてその海上自衛隊に対して中国海空軍の攻撃が開始された。壮絶なる飽和攻撃であったが海上自衛隊は高い能力と練度を見せつけ、圧倒的な迎撃を行った。だがそれでも完璧では無く護衛艦(DD)2隻を喪失するという海上自衛隊史上初の損害が発生した。

だが海上自衛隊は意地を見せ潜水隊群と、アメリカ合衆国海軍原子力潜水艦の協力による反撃を開始した。中国海軍の誇る空母に打撃を与え多数の艦艇を撃沈する事に成功し、中国空軍の航空隊も多数を撃墜し一時的に中国海空軍を退避させた。

だが中国は次なる一手を打った。日本本土へ通常弾頭の弾道ミサイルを発射したのだ。日本は万が一にそなえて迎撃用に配備していた1個水上戦群と航空宇宙自衛隊のパトリオットが大部分を迎撃するも、数発が都市部に着弾してしまった。死傷者は最終的に827名にも及んだ。

この戦後初の日本本土への直接攻撃という事態に日本は反撃能力を発動し、中国本土の軍事施設をスタンドオフミサイルで攻撃した。それは陸海空自衛隊がそれぞれ配備する25式地対艦誘導弾と、25式高速滑空弾であった。自衛隊にとっては史上初となる敵国本土への攻撃だった。

これにより中国は予想以上の被害を受けた。25式地対艦誘導弾はバレルロールによる回避機動により、中国軍の迎撃を交わし全弾命中を誇った。25式高速滑空弾も驚異的な速度を誇る、極超音速滑空体は中国軍の迎撃を交わして全弾命中した。

こうして日中双方が被害を受けた為に、中国が『白紙講和(無条件停戦)』を提案したのである。日本政府は戦後初の本土への被害に動揺しており、かなり紛糾したが停戦を受け入れ海上自衛隊は撤退した。合意に従い中国も軍を撤退させた事から事態は終わったかに思われたが、停戦3週間後に中国が台湾に再侵攻を実施した。最初の侵攻時の弾道ミサイル飽和攻撃で台湾の抵抗力は崩壊しており、再びの中国による侵攻は成功し中国は台湾全土を支配下に置いたのである。

明らかな合意違反であり日本は再び海上自衛隊の派遣と、今度は航空宇宙自衛隊も投入しての攻撃を計画した。更には台湾奪還の為の陸上自衛隊派遣が決まり、水陸機動団を中心に上陸兵力は準備に入った。日本にとっては非常にアクティブな行動であるが、国民世論は支持した。

だがここでアメリカ合衆国とNATO諸国が『中国がこれ以上の拡大をしなければ容認する』と表明した。これは日本をほぼ蚊帳の外にして早期決着を目指すものだった。アメリカ合衆国はイランへの対応に注力する為であり、NATO諸国はウクライナ侵攻がロシア優勢になっている事からヨーロッパ情勢に注力する為であった。所詮はどの国も自国が大事であり、遠い極東での侵攻には興味が無かった。

だがこの事態に日本は『梯子を外された』として不満が爆発した。国民世論からは「第二次世界大戦前のミュンヘン合意に匹敵する愚策」「中国は第2のナチスドイツ」とSNS上で猛烈に非難する程であった。

しかも戦後初めて本土に被害が出た事のショックで国民世論が爆発していた。与党(民自党・国家維新の会連立政権)の弱腰を非難する大規模反政府デモが発生したのだ。そもそも政府が中国の白紙講話に応じた為に台湾が中国に制圧された、と国民世論は声高に非難した。

これを受けて政府与党は日本防衛の為に防衛費をGDP5%超を目指す『緊急再軍備計画』を決定した。この政府与党の断固とした決意により、政権支持率は急激に上昇した。だが国民世論は更に『普通の国』になるべきという声が急拡大したのだ。普通の国とは即ち憲法改正による軍隊の保有だった。

ここに至り防衛費増額には賛成した野党が猛烈に反対した。だがもはや国民世論は野党を『論外』だと呆れ果て、完全に見捨てた。そしてそんな論外の野党には極右勢力による、野党議員暗殺事件が発生した。これにはさすがに政府は民主主義の根幹を揺るがすとして強く非難した。

だが理解出来るとして政府与党は秘密裏に警察庁に、捜査は『形だけに』するように指示した。この暗殺事件の衝撃と国民世論からの圧力で野党は、政府与党に追従すると表明した。こうして与党が過半数を得ていない参議院でも賛成され、衆参両院で憲法改正が賛成され発議された。

これにより史上初の本格的な国民投票では、驚くべき事に82%という驚異的な賛成多数により可決した。

こうして日本国憲法第9条は改正され日本は『普通の国』として軍隊の保有を明記し、再軍備が完全に合法化された。更には軍拡を行う事による人員不足解消の為の、選抜徴兵制の導入が国民的議論として本格的に始まった。

再軍備により核兵器開発の議論も巻き起こったが、現実問題として核兵器は保有しても使用出来ない兵器という結論となった。そこで日本は核兵器とは違い実戦投入可能な、『現実的大量破壊兵器』開始を決定した。



そして憲法改正の翌年である2028年から第1次再軍備計画が始動した。自衛隊から新生日本軍への組織移行が開始されたのだ。

陸軍は陸上自衛隊時代より組織を大幅改編し1個師団約1万人弱の規模だったものを、2万人規模の師団人員に増設する事にした。更に総師団数を増加させ、南西諸島防衛に特化した水陸機動団は『水陸機動師団』に格上げして編成される事になった。廃止するとされた攻撃ヘリコプターも廃止は中止され、部隊数拡大が決定した。10式戦車に代わる次世代戦車開発も開始され、大量の新型兵器開発が開始された。

航空宇宙軍はF-35Aを数百機規模で大量導入する事が決定した。日英伊共同の第6世代戦闘機開発も大規模に、予算が増額され人員も増員されペースを大幅に加速させた。

海軍は特に大規模改編が行われた。『水上艦隊』を『連合艦隊』に、『水上戦群』を『空母打撃群又は遠征打撃群』に呼称変更した。そして中国海軍との戦いでいずも型DDHは所詮は改造空母でしか無い事から、能力不足が指摘され原子力空母4隻の建造計画が正式にスタートした。純粋CATOBAR空母でありアングルドデッキと電磁カタパルト、そして原子力機関を採用する事から、アメリカ合衆国に技術協力を要請した。輸送艦おおすみ型の代替として強襲揚陸艦(LHD型)2隻の建造も並行して決定され、上陸作戦能力を向上する事も進められた。各種艦艇の建造も進められ、原子力潜水艦の建造も開始された。

議論が進められていた選抜徴兵制は、国民世論の賛成もあり正式に導入され、人員基盤の強化が図られた。

そして現実的大量破壊兵器として日本が注目したのが、燃料気化爆弾だった。これを威力を向上させて更にはMIRV(多弾頭)化させる事により、実戦使用可能な『戦術核兵器』と位置付けた。その燃料気化爆弾MIRVを25式高速滑空弾、25式地対艦誘導弾それぞれに搭載する事になった。特に海軍は原子力潜水艦を『攻撃型』と『戦略型』として建造し、戦略型は大量に装備するVLSの半分を燃料気化爆弾MIRV弾道ミサイルとする計画とした。残るVLSは極超音速巡航ミサイルとして実戦投入可能な戦略型原子力潜水艦とされた。

この日本の再軍備を世界は、ただただ呆然と眺めるだけだった。何しろ日本は断固とした決意で、再軍備を始めたのだ。それは日本に再軍備をさせる事になった張本人の中国や、唯一の同盟国であるアメリカ合衆国も例外では無かった。

中国は日本が一気に原子力空母や原子力潜水艦の建造を開始し、核兵器に代わる大量破壊兵器の開発を開始した事に、ある種恐怖を感じていた。普段なら日本のこの再軍備は発狂したように非難する筈の、中国と北朝鮮はただただ事態を呆然と見守るだけだった。

アメリカ合衆国は日本が再軍備を開始し技術協力を求められたが、その規模に呆然としながら言われた通りに技術協力をした。驚くべき規模で行われる再軍備に、アメリカ合衆国は中国の覇権を封じ込めるのに必要だと考えを切り替えるばかりだった。

世界はこの時気付いたのである。日本の憲法第9条は『眠れる龍を縛るもの』であったのだと。その憲法第9条が改正され再軍備を日本は開始したが、それは日本の弧状列島通り昇龍の如く大規模に軍備増強をする事になったのだ。かつてアジア人唯一の列強となり、世界三大海軍国の地位にあった日本である。その血筋は脈々と受け継がれていたのだ。






そして2040年。第3次再軍備計画まで実行した日本軍は、かつてない規模の軍事力を有する事になった。海軍連合艦隊は原子力空母大和級4隻が2040年までに全4隻が戦力化を果たし、強襲揚陸艦2隻も就役し、遠征・島嶼作戦能力が整った。護衛する各種艦艇も就役し、戦前の連合艦隊を凌駕する戦力を新生連合艦隊は保有した。これにより空母打撃群を4個、遠征打撃群を2個編成したのである。

陸軍・航空宇宙軍の装備近代化と人員充足も大幅に進み、新生日本軍は極東で本格的な抑止力・反撃力を備えた。だが国民世論は『まだ甘い』とさらなる軍拡を求め続け、軍拡は国民の強い支持のもとで進行し続けていた。それは皮肉にも内需経済を大幅に刺激し、大規模な軍事予算増額は財政出動の一環として好景気に貢献した。


そして同年6月。中国は依然として覇権主義を掲げ、尖閣諸島周辺での武力示威・実効支配を試み、東シナ海での頻発する領海侵犯などを繰り返していた。日本政府はこれら一連の行動を『日本国の存立を脅かす明白な武力攻撃の継続』と認定した。

そして国民世論の圧倒的支持を受け、日本は中国に対して最後通牒を発するのである。同日、新生日本海軍連合艦隊が出港。針路南西、東シナ海へと向かった。

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