第9話:死神の札殲滅作戦(7)
「"女帝"っ!」
「あ、おい、まて」
夜空と女帝の姿が森の奥に消える。
「ったく」
まあいいか。
今の夜空が"本気"になりゃ、女帝程度に遅れは取らないだろう。
「お互い、身勝手な仲間には苦労するなぁ。あいつも楽しそうに森の奥に消えていった」
「そちらもぞろぞろとまあ、たくさんお出ましで」
森からぞろぞろと出てくる。
後方から叫び声も聞こえた。
ファンタジアの団員が地面に倒れていた。
「! 愛歌! 回復!」
「任せて!」
団員たちの回復に愛歌を飛ばす。
「囲まれてるよ、ボクたち」
「面倒だ。こうなると、夜空のムーブが正解だったかもな」
いつの間にか、後ろにも回り込まれていた。
「全部で8人。レェスと夜空が今ここにいないから、俺らも8人か」
レェスってのは、あの低所恐怖症のやつだ。
「一人が一人倒すのがノルマってこと?」
「ああ」
ファアニイの問いに答える。
「だが、あまりバラバラになるのは得策ではない気もするね」
「背中を守りあって戦った方がいいかもね。離れた誰かが戻ってきたら情勢もひっくり返せるかもしれない」
ノールとシンビィが言った。
「ああ集団戦はあんたらの方が経験あるだろ。その作戦で行こう」
俺たちは夜空かレェスのどちらかが戻ってくるまで待つ作戦って事みたいだな。
「だが」
「うん?」
「別にあいつらを倒してしまっても構わないのだろ?」
『フラグになるセリフは言わないほうがいいと思うわよ』
『うるせ。いつ戻ってきたんだ。あいつらは大丈夫なんだろうな?』
『ええ。気づかれないように眠らせているけど、みんな無事よ』
『ならいい』
「確かにね。全員やっつけちゃうつもりで、僕らも頑張ろう」
なんて話していると、敵が上から飛んでくるのが見えた。
すぐに全員をかばうようにそれを受け止める。
「お前が一番強そうだな。俺は"皇帝"よろしくな」
「知るか」
そしてここでの戦いが始まった。
*
同時刻。森の中。
木の上をレェスが逃げ回っていた。
敵の姿は見えないが攻撃だけが飛んできていたのだ。
そして……。
「うっ!」
ドス、っと鈍い音共に痛みが走り、地面に落ちる。
「くっそぉ。この僕が地面に這いつくばることになるなんて……」
眼鏡をかけなおしながら彼はつぶやいた。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。




